挑戦を生み、食の力で日本を元気にする――ブランド開発で広げる飲食FC
ワンズトライン株式会社 代表取締役 山内 仁氏
ワンズトライン株式会社は、フランチャイズ事業を中心に飲食ブランドを全国へ展開し、来年には創業10周年を迎えます。強みは、ブランドを生み出す開発力と展開力です。加盟希望者には、飲食店経営の難しさやリスクも伝え、一人ひとりの目的や条件に合った業態を提案しています。本記事では音楽活動から経営の道へ進んだ代表の山内仁氏に、事業の特徴、経営で大切にしていること、組織づくり、今後の展望について伺いました。
食の可能性を、ブランドで広げる
――現在の事業内容や特徴、強みについて教えてください。
FC事業を中心に、飲食店を全国へ展開しています。強みは、ブランドをつくる力と広げる力です。これまでに約35のブランドを開発してきました。つくって検証し、見直しながら新しいブランドへ変えることで、地域や条件に応じて戦える選択肢を蓄えています。
問い合わせのきっかけになったブランドとは別の業態が、希望や予算、出店エリアに合うこともあります。そのため、営業で強く勧めず、将来像を聞きながら提案しています。
――社名と理念に込めた思いを教えてください。
「個の挑戦」ということで、誰もが挑戦できる会社であり続けたいという思いを込めています。一人ひとりが挑戦することが、社名の由来です。2017年4月の創業以来、「食の力で日本を元気にする」という考えは変わっていません。事業を広げるだけでなく、社員一人ひとりが挑戦できる会社にしたいです。
挫折を越えて、経営者になる
――経営の道に進んだきっかけを教えてください。
19歳でCDデビューし、プロのバンドとして活動していました。21歳の時、自分たちの音楽をプロデュースするために音楽事務所のような組織を立ち上げたことが、最初の創業経験です。ただ、当時は経営者になりたいとは考えていませんでした。
23歳でバンドを解散した後、残った事務所を活用してさまざまな事業に挑戦しました。その過程で、社会保険や税金、ビジネスマナーなどを一から学びました。27歳の時にはカラオケ店を買収し、その後、26店舗ほどまで広げました。若い仲間たちとチームのように動けたことが大きかったと思います。
――判断や困難と、どのように向き合っていますか。
経営判断の多くは直感です。走っている途中で立ち止まった時に、初めて「このままで大丈夫か」と考えることがあります。ただ、悩む時も基本的には前向きです。
人生で最も大きな挫折は、バンドが成功しなかったことでした。プロミュージシャンになるために高校を辞め、本気で打ち込んでいたため、その夢が終わった時の喪失感は大きいものでした。その経験があるからこそ、その後に事業で困難があっても、立て直せないとはあまり思いませんでした。
厳しさも伝え、挑戦を支える
――加盟店との関係で大切にしていることは何ですか。
まず、「私たちはこうしたい。あなたはどうしたいですか」と聞きます。加盟する理由や将来像は人によって異なりますが、「やるからには成功させる」という一点は共有します。私たちができることはすべて行い、加盟店側にもできることをすべてやってもらう。双方が本気で動かなければ成功は難しいと、最初に伝えます。
また、良いことだけでなく、飲食業の厳しさや閉店の可能性も説明します。開業を勧めることが目的ではなく、リスクを理解したうえで、それでも挑戦したいのかを考えてもらうことが大切です。
――店舗運営で、失敗を防ぐために伝えていることはありますか。
掃除、接客、仕込みなどの基本を、慣れてからも変えずに続けることです。また、スタッフを自分の駒のように扱ってはいけません。一人ひとりに自立した人生があり、働いていて面白いと思える関係をつくらなければ、店の空気が悪くなります。
さらに、問題が起きた時に、本部やお客様、スタッフ、業者の責任にせず、まず自分の責任として受け止めることも伝えています。オープン日の営業後には、「今日の接客や声掛け、全力で動く姿勢を毎日続ければ勝てます。忘れないでください」と話します。
仲間とともに、次の成長へ
――現在、組織にどのような課題を感じていますか。
大きな課題は組織づくりです。会社の成長速度が速くなる中で、成長している人、成長したい人、会社との間を埋めていく必要がある人がいます。外部から能力の高い人材を入れれば、一気に成長できる可能性はあります。しかし、一緒に歩んできた仲間と上がっていきたいという思いがあり、簡単には割り切れません。
一方で、会社のフェーズに対して必要なスキルが足りないことも理解しています。特に必要なのは、財務を統括し、数字を整えながら戦略を描ける人材です。課題は見えているため、タイミングとバランスを見ながら解決していきたいです。
――社員との関係で、大切にしていることは何ですか。
社員も加盟店も、それぞれが何を目指しているのかを明確にすることです。全員が同じ将来像を持つ必要はありませんが、挑戦することと、成功を目指して自分のできることをやり切ることは共通して持っていたいです。外部委託も活用しながら、社員が本来学ぶべきことや挑戦すべき仕事に時間を使える状態をつくることも、今後の組織づくりには必要だと感じています。
食のブランドを、全国の街へ
――今後の展望を教えてください。
まずは、すべての都道府県に店舗を出したいです。その先には、国内で200から300店舗ほどまで、さまざまな業態を広げたいと考えています。売上は店舗数に伴って伸びていくものだと思いますが、100億円規模の企業を目指す意識も持たなければなりません。
店舗管理には蓄積されたノウハウがあり、店舗数が増えても対応できる仕組みがあります。ブランド開発とフランチャイズ展開をさらに進めていきます。
――情報発信については、どのように考えていますか。
これまで雑誌やインタビュー記事には多く登場してきましたが、自分自身ではSNSを行っていませんでした。今後は、会社のメンバーが客観的な視点で私を発信する形を考えています。自分から自分を語るのではなく、「私たちの社長」として、人間らしい面と経営者としての面を伝えてもらう形です。発信が増えれば、加盟を考える方だけでなく、一緒に働きたいと思う方との出会いにもつながります。会社が次の段階へ進むためにも、これまでとは異なる発信に挑戦していきたいです。
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
基本的に、休日という概念はありません。その代わり、一日の中で1時間ほど、何も考えず無になれる瞬間があります。経営者は寝ている時まで仕事のことを考えてしまいますが、ふと頭が空になる時間が休息になっています。
地方へ車で出かけた際は、帰り道に温浴施設へ立ち寄ります。県外で仕事をし、その土地のおいしいものを食べ、やるべきことを終えた後、数時間を温浴施設で過ごす。その時間が、自分にとってのオフです。一日の中で自分をリセットし、次の仕事や挑戦へ向かっています。