三現主義を軸に、中堅・中小企業のBPR×DXを推進する
合同会社BPRコンサルティング 代表社員 CEO 山浦 実氏
2026年3月に設立された合同会社BPRコンサルティングは、中堅・中小企業のBPR×DX支援と、高付加価値なDXツールを提供する事業者の営業支援を手がけています。山浦氏は、大学時代から培ってきた「三現主義」を軸に、現場の声を聞き、顧客起点で業務プロセスを見直すことを重視してきました。独立に至った経緯や経営に対する想い、今後の展望について伺いました。
目次
DXを導入するだけでなく、業務プロセスそのものを変える
――現在の事業内容について教えてください。
当社の事業には、大きく2つの柱があります。1つは、中堅・中小企業におけるBPR(Business Process Re-engineering)×DX(Digital Transformation)の推進。もう1つが、BPRの起爆剤となる高付加価値なDXツールを提供している事業者の営業支援です。
私は、DXはBPRとセットで考えなければ、期待する効果を得にくいと考えています。特にスマートフォンの普及やAIの進展によって、お客さま自身が手続きを完結できる範囲が広がりました。その結果、企業側の業務プロセスそのものを根本から見直しやすくなっています。
現在、数社と顧問契約を締結し、顧問先企業を短期~中長期的な視点から、じっくり支援するコンサルティングのスタイルをとっています。
――現在の顧問先では、どのように支援を進めていますか。
まずは営業やマーケティングの支援を通じて、クイックウィンをつくることを意識しています。営業成果を出して顧問先に勢いをつけた上で、なぜ成果につながったのかを掘り下げます。
その後、継続的に成果を出せる営業プロセスへとBPRし、さらにBPRを企業全体のサービスプロセスへ拡げていくのです。
また、BSC(Balanced Score Card)の考え方に基づき、財務、顧客、業務プロセス、学習と成長という4つの視点から、サービスプロセスを評価・管理し、最終的には持続的な競争優位を作り込み、仕上げていきます。
第三者から事業の当事者へ、34年の経験を経て独立
――これまでのキャリアについて教えてください。
大学卒業後から、いつかは起業したいという思いを持っていました。ただ、起業するには社会や企業経営を広く理解しておく必要があると考え、最初に三菱総合研究所へ入社したのです。
そこで16年間、さまざまな企業のコンサルティングに関わりました。一方で、コンサルタントはあくまで第三者であり、どれだけ良い提案をしても、採択するかどうかを決めるのはクライアント企業です。
次第に、事業の当事者として自分で事業を動かしたいという思いが強くなり、ゆうちょ銀行へ移りました。
――ゆうちょ銀行では、どのような経験をされましたか。
18年間在籍し、事務、システム、経営企画、営業、地域リレーションなど複数の部門を経験しました。最後は地域リレーション統括部長を務め、銀行100%出資の投資専門子会社の設立や単独GPファンドの立ち上げに関わっています。
そこまで取り組めたことが、1つの区切りになりました。60歳の役職定年まで2年ありましたが、その先を考えたとき、自分のペースで好きな仕事を長く続けたいという想いが強くなったのです。そこで、独立を決めました。
経営の判断軸となる「現場・現物・現実」の三現主義
――経営する上で、もっとも大切にしていることは何ですか。
私がもっとも大切にしているのは「三現主義」です。現場で、現物を、現実的に観る。この姿勢だけは譲らずに続けたいと考えています。
財務指標から企業の全体像を把握することも重要です。ただ、最後は顧問先で働く社員や、顧問先のお客さまの生の声を聞かなければ、本当の課題はわからないと思っています。
経営の視点だけでも、現場の視点だけでも十分ではありません。実際の状況を見た上で、両方のバランスを取りながら総合的に判断することを意識しています。
1人で運営するからこそ、自分自身への投資を続ける
――現在は、どのような体制で運営していますか。
現在は私1人で運営しています。コンサルティング業界は大きな設備投資が必要なく、参入障壁が低い業界です。その分、コンサルタント自身の質が問われると考えています。
私には、三菱総合研究所での16年間のコンサルティング経験と、ゆうちょ銀行での18年間の事業経験があります。あわせて、その34年間で築いてきた人的ネットワークも大きな強みです。まずはこれまでの経験を活かし、顧問先で確実に成果を出すことに集中しています。
――現在、特に力を入れている自己投資はありますか。
自分自身のスキル、知識、情報への投資をもっとも重視しています。その際に意識しているのが、古代ギリシャの哲学者ソクラテスが唱えた「無知の知」です。自分が知らないことを自覚し、知の探索、知の深化に真摯に取り組んでいます。
顧問先は、AIベンチャー企業、経済情報プラットフォームを提供するベンチャー企業、司法書士法人と不動産登記地図調整会社をシナジー経営する企業、企業の高卒採用支援を行う企業など、業界も規模もさまざまです。そのため、私が知らないこともたくさんあります。
DXの技術も日進月歩で進化しています。書籍を読むだけでなく、その道の専門家と直接会い、話を聞きながら知見を増やすことを大切にしています。
顧問先の成長を、社会課題の解決につなげる
――今後、事業をどのように成長させていきたいですか。
まずは、現在顧問契約を締結している企業の業績をしっかりと上げることが最優先です。スポットのコンサルティングを増やすより、自分が本当に支えたいと思う企業に長く伴走し、その企業を良くしていきたいと考えています。
顧問先で成果を上げ、口コミなどを通じて需要が増えていけば、複数人の体制も視野に入ります。また、顧問先から要請があれば、顧問という立場にとどまらず、直接経営に参画することも考えていきます。
――その先には、どのような展望を描いていますか。
少子高齢化、労働力不足、地方の過疎化、インフラ老朽化など、社会課題や企業課題は今後ますます深刻化していきます。そうした課題解決に取り組む企業を支援し、その企業が成長することで社会課題も解決していく。私は、そうした循環をつくりたいと思っています。
将来的には、これまでの「コンサルティング→事業運営→コンサルティング会社の起業」という経験に続き、タイミングを見ながら事業会社の起業にも挑戦したいと考えています。
「思走」――走る時間を、思考を整理する時間に
――仕事を離れた時間は、どのようにリフレッシュしていますか。
自宅兼オフィスが石神井公園の近くにあるため、公園の周りを走っています。以前は10月~3月のマラソンシーズンには毎月ハーフマラソン、3月はフルマラソンに出場していました。今は記録を求めるというより、心と身体をリフレッシュするために、ゆっくり長く走るようにしています。
仕事をしていると、なかなか答えが出ない課題に都度、直面します。そんな時こそ、走って汗を流すことで頭のなかが整理され、考えがまとまってくるのです。私はこれを、思考を巡らせ緩走する、「思走(しそう)」と呼んでいます。
また、夏休みには嬬恋にある別荘で山に触れ、鳥のさえずりや木々の音を聞きながら過ごすこともあります。しっかり、オンとオフのメリハリをつけ、無知の知の思想で、三現主義を軸に、これからもBPR×DXを推進していきたいと考えています。