社員の可能性が、会社を変える――「人とパーパス」で育てる伴走型IT人材支援

株式会社オープンアップITエンジニア 代表取締役社長 𠮷田 周平氏

株式会社オープンアップITエンジニアは、『幸せな仕事を通じてひとりひとりの可能性をひらく社会に』というグループパーパスのもと、未経験からITエンジニアを目指す人材の挑戦と成長に伴走する企業です。研修やキャリア支援を通じて、多様な活躍の場へ送り出しています。本記事では、代表の𠮷田氏に、会社独自の人材育成や「人とパーパス」を軸とした経営観、組織づくり、AI時代を見据えた今後の展望について伺いました。

未経験から「キャリアの扉」を開く伴走型のITエンジニア派遣

――現在の事業内容と特徴を教えてください。

当社はオープンアップグループのIT領域を担う会社として、ITエンジニアを採用し、お客様先へ派遣しています。

特徴は、未経験者を採用していることです。飲食業などのサービス業をはじめ、異業種から挑戦する方もおり、入社後に1〜3ヶ月程度の研修を行ったうえで配属しています。

――未経験から挑戦するエンジニアのキャリアを、どのように支援していますか?

私たちの役割は、派遣すること自体ではなく、その先のキャリアまで支えることだと考えています。

経験を積んだ後に、顧客先へ転籍する道も積極的に応援していますし、情報システム部門やフリーランス、研修講師など、さまざまな選択肢があります。

一人ひとりの「こうなりたい」を聞きながら、可能性を広げられる就業機会を用意していきたいですね。

企業再生の経験からたどり着いた「パーパスと人」の経営

――経営者になられた経緯を教えてください。

最初の約10年は外資系のITソフトウェアベンダーで働き、その後、建設会社に移りました。

経営者になったきっかけは、リーマンショックで経営が厳しくなっていた親族の会社の再生に、外部の人間として入ったことです。

その後は、ファンドの投資先である旅行会社や建設派遣会社の経営にも携わり、次は上場企業で経験を積みたいと考えて当社に入りました。自分で会社を立ち上げたというより、私は基本的に「雇われプロ経営者」です。

――経営判断の軸になっている価値観は何ですか?

私が特に大事にしているのは「パーパス」と「人」です。会社が何のために存在し、何のために仕事をするのか。その意味を社員が理解することが重要だと考えています。

人材は単なる経営資源のひとつというより、パーパスに向かって進むためのエネルギー源だと考えています。上から細かく行動指示するのではなく、自分たちで考え、正しいと思うことを実行できる組織をつくることを意識しています。

――個人や組織の「強み」を重視する理由を教えてください。

価値は弱みからではなく、強みから創造されると考えているからです。

個人であれば、その人にしかない強みをどう仕事に生かすか。組織であれば、他社にはない差別化ポイントをどこまで伸ばせるかを重視しています。

できないことばかりを見るのではなく、自分たちだからこそできることに目を向けたいと思っています。

「Why」を共有し、一人ひとりが自走できる組織へ

――組織内のコミュニケーションで意識していることはありますか?

当社には約5,000人のエンジニアと、約500人のサポートスタッフがいます。

私が意識しているのは、「What」や「How」よりも「Why」を伝えることです。

「なぜやるのか」「何のためにやるのか」を繰り返し共有し、行き先への共通理解をつくる。そこが揃っていれば、何をどう実行するかは極力現場で考えてもらいたいですね。

――採用や人材育成において、どのような姿勢を大切にしていますか?

まず大切なのは、会社が目指していることやパーパス、価値観に共感してもらえるかどうかです。

そこに納得してこそ、自分で考えて動けると思っています。ですから、共感を土台にしたうえで、自走できる人になってもらうことを大切にしています。

――未経験のエンジニアを育てる研修・伴走体制について教えてください。

当社では、人材開発部門が中心となり、入社時に1〜3ヶ月の研修を実施しています。

配属後も継続して学べるよう、オンラインの学習環境を整えていますが、目的は効率化ではありません。自ら学ぶ習慣を身につけてもらうことを重視しています。

一方で、オンラインの自主学習環境だからこそ放置しない、脱落させない仕組みも必要です。そのため、メンターが一人ひとりの学習状況や理解度を確認し、必要に応じて声をかけたり、1on1や少人数でフォローしたりしています。

人材開発部門には約60〜70人が在籍し、就業中の学びやキャリア相談まで支援しています。人材育成は、当社がこれまで特に力を入れて投資してきた部分ですね。

AIとデータで伴走力を高め、キャリアの選択肢を広げる

――現在向き合っている課題は何ですか?

約5,000人のエンジニアを支援する中で、サポートが担当者個人の記憶や経験に依存しやすいことは課題ですね。

担当者が変わったとき、それまでの面談内容や経緯が十分に引き継がれなければ、継続的な伴走が難しくなります。人に依存しすぎず、一人ひとりを継続して支えられる仕組みが必要だと考えています。

――AIやデータを活用し、エンジニアへの支援をどのように進化させようとしていますか?

入社時の面接や研修、配属先での経験、面談内容など、エンジニアとの接点をデータとして統合していきたいと考えています。その情報をAIで活用すれば、担当者が変わっても過去の経緯を踏まえたコミュニケーションが可能になります。

テクノロジーを使い、当社が大切にする「伴走力」をさらに強くしていきます。

――今後、事業やエンジニアのキャリアをどのように広げていきたいですか?

インフラ構築やアプリケーション開発、保守運用など、より幅広い技術領域に対応できる会社にしていきたいです。お客様へ提供できるサービスが広がれば、その裏側でエンジニアに用意できるキャリアの選択肢も増えます。

必要に応じてM&Aや新たな領域の立ち上げも考え、AIなど新しいテクノロジーを使いこなせる環境も整えていきます。

社員の可能性を引き出すことが、会社を変える

――エンジニアに、会社とのどのような関係性や帰属意識を持ってほしいと考えていますか?

派遣先への転籍は、一つのゴールとして応援しています。

一方で、当社にいる間は「この会社に所属して良かった」と思ってほしいですし、卒業した後にも「ここで過ごした時間が今のキャリアにつながっている」と感じてもらえたらうれしいですね。

教育やキャリア相談、メンタル面まで伴走しながら、その人の成長を支えていきたいと思っています。

――最後に、経営者・起業家の読者へ伝えたいことをお聞かせください。

私は、社員が同じでも会社は大きく変わると思っています。会社の状態が良くないときは、個人や組織が持っている力を十分に発揮できていないことも少なくありません。

経営者が「あれをやれ、これをやれ」と指示すること以上に、一人ひとりが持つ強みや組織の強みを見つけ、本人たちに認識してもらうことが大切です。そのポテンシャルを最大限発揮できる状態をつくることで、会社は大きく変わっていくと考えています。

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