「仕組み」で未来を変える─エンジニア出身の経営者が描く、DXの最前線

「外から口を出す表面的なコンサルでは終わらせない」。エンジニアからキャリアを始め、サイバーエージェントやメルカリでの経験を経て独立したパキシーノ株式会社代表取締役増田謙一さん。現在は、DXを起点に新規事業支援やSEOマーケティングなど幅広く展開する会社を率いています。

組織づくりの根底には「人の成長」への深い思いがある。そんな増田さんに、事業の軸や組織への思い、そして未来への構想をお伺いしました。

DXで事業の核を支える─パキシーノのビジョン

御社の事業内容について教えてください。

当社では、DX(デジタルトランスフォーメーション)支援を軸に、お客様の接点を改善しながら収益向上につなげるための伴走型支援を行っています。開発、セールス、マーケティングを横断的に設計しながら、事業の立ち上げからグロースまで一気通貫でサポートするのが特徴です。

特に注力しているのが、SEOを活用した集客基盤の構築と、新規事業開発の支援。例えば、直近支援した企業では、毎週コンスタントにリードを創出する仕組みを構築しており、その運用実績自体が新たなクライアントへの提案材料となっています。成功事例を自らの手で生み出し、それを武器に横展開する。まさに「実践知」に基づいた支援スタイルです。

どんなお客様に多く利用されていますか?

スタートアップから中堅企業まで、「これから何かを始めたい」「新しい売り方を見つけたい」という企業様が多いですね。単にWebサイトをつくる、広告を回すという点の施策ではなく、「どんな事業を、どう収益化し、どう育てるか」という“線”の視点から支援するのが当社の特徴です。

特に新規事業においては、プロダクトが良くても、ターゲットとの接点がなければ価値は届けられません。開発経験とマーケ視点の両方を持つ当社だからこそ、作って終わりではなく、「届けて、伸ばす」までを見据えた設計ができます。

御社の強みはどんな点にありますか?

僕自身が元エンジニアということもあり、プロダクトとビジネスを同時に見られる点が強みです。例えば、「この仕様だと開発コストがかかりすぎて、検証できない」「このUXだとコンバージョンに繋がりにくい」といった技術とビジネス双方の観点からアドバイスできます。

特に今の時代、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、プロダクトと一貫したお客様体験を生み出さないと、継続率を高めることはできず、お客様は離脱してしまいます。

それぞれの領域において専門チームを持っているので、特定の領域に絞って個別最適な施策を打つのではなく、全体のLTVを高めるためどのような施策を打つべきか、全体最適の視点で伴走できるのが我々の強みです。

変化を恐れず、挑戦し続ける─増田さんのキャリアと原点

エンジニアからキャリアをスタートされたきっかけは?

2000年代前半、自分のホームページを持つことが流行り始めた時代。当時まだADSLが主流で、インターネットはどこか秘密基地のようなワクワク感がありました。HTMLを独学で書きながら、自分のサイトを作ることが純粋に楽しかったんです。

最初は完全に趣味でしたが、次第に「サイトを手伝ってほしい」と声がかかるようになり、学会や企業のウェブサイト制作の依頼も受けるように。遊びがそのまま仕事になった感覚でした。

企業勤めで得たタフな経験とは?

サイバーエージェントでアメーバピグのインフラを担当した経験は、非常に大きな学びでした。数千万人規模のユーザーを支えるシステムの安定運用は、常にプレッシャーとの戦い。数十人ではなく、数千万人ですからね。深夜の障害対応や物理サーバーの管理など、理屈だけでは通用しない“現場力”が鍛えられました。

ユーザーの当たり前を守るという視点は、この頃に身についたと思います。

メルカリでの経営戦略室への異動は、どんな挑戦でしたか?

技術畑からまったく異なるフィールドへ飛び込んだのが、メルカリでの経営戦略室。最初は本当に大変で、組織や人を相手にする仕事に対する「思考の切り替え」に苦労しました。

それでも300冊近い本を読み、実践を重ねる中で、徐々に「経営の視点」が自分の中に育っていきました。この経験は、現在の事業設計に直結していると感じています。

独立を決めた理由は?

メルカリに5年ほどいて、エンジニアから経営戦略まで経験させていただき、そろそろ次のチャレンジをしたいと思うようになりました。メルカリを作った進太郎さんと一緒に働くことができるという貴重な経験だったのですが、進太郎さんは「常に社会の動きを見ながら、自分はどう生きるか」を考える人でした。
当時の自分にはそのような発想がなく、未来を描きながら意思決定していく姿に刺激を受け、「自分も一度、自分の責任で社会にインパクトを与えたい。それを人生の最後の取り組みにしよう」と思うようになったんです。

社会の変化に合わせて生き方を設計する。その感覚に背中を押され、自然と独立を決断する流れになっていきました。

組織づくりは“相互成長”が鍵

現在の組織の特徴を教えてください。

当社には正社員はおらず、業務委託やインターン生を中心に構成された、しなやかな組織です。現在関わってくれているメンバーは約20名ほど。中にはリモートでのやり取りのみで2年以上関係性を築いているメンバーもいます。

固定された階層組織ではなく、案件やプロジェクトごとに最適な人材をアサインする「流動型」の運営スタイルを採用しているのも特徴です。優秀なプロフェッショナルと連携することで、少数精鋭ながらも幅広い案件に対応できる体制を整えています。

特に注目しているのがインターン生の存在です。SEOリサーチや提案資料の作成、オウンドメディアの記事執筆まで、自立的に活躍してくれる学生がいて、その吸収力や視点には驚かされることも多いです。何より、インターン生の成長が会社にとっても“血流”になる感覚がありますね。

リモート環境でのコミュニケーションの工夫は?

意識していることは大きく2つあって、まずひとつ目は、面談のタイミングなどで「何ができるか」「何がやりたいか」、そして「将来どう働きたいか」まで丁寧に把握することです。

その人の思いと、お願いする仕事がちゃんとマッチしているかどうかは、長く一緒にやっていくうえでとても重要だと思っているので、最初の段階でしっかりと確認するようにしています。

もうひとつは、業務の開始・終了の際の簡単な報告や、進捗共有のルールをきちんと整えることですね。「今何をしているのか」「どこでつまずいているのか」「どんなことを考えているのか」といった情報を見える化しています。

これはメンバーを監視するためではなく、安心して働くための仕組みづくり。お互いに顔が見えない環境だからこそ、小さなリアクションやフィードバックの積み重ねが、信頼関係を築くカギになると思っています。

インターン採用の意義とは?

若手の持つ柔軟な思考と、吸収する姿勢は本当に素晴らしいと感じています。未経験であっても一つ一つ経験を積み、徐々に大きな仕事を任せられるようになる過程は、何事にも代えがたい学びになっています。なぜそれを行うかを大事にしている印象で、だからこそこちらもロジカルに説明するよう心がけています。

※インターン生が中心になって作っているメディア。未経験からここまで作れるようになっている。

もちろん、ただ任せるのではなく、こちらからもビジネスの基礎やプロジェクト推進の手順を伝えるようにしています。僕の持っている知見や経験が、彼らの武器になるなら、それに越したことはないし、逆に彼らから学ぶことも多い。お互いのリズムで、教え合い・育ち合う相互成長の文化をこれからも育てていきたいですね。

社会に変化を─これからの挑戦

社名「パキシーノ」に込めた思いを教えてください。

「パキシーノ(Paxinno)」は、「PAX(平和)」と「INNO(革新)」を組み合わせた造語です。単に新しいことを生み出すのではなく、社会に対して前向きなインパクトを与えるイノベーションでありたい。そうした願いを込めて名付けました。

今、世の中には「変わりたいけど、どう変えたらいいかわからない」と悩んでいる企業がたくさんあります。私たちは、その葛藤を乗り越えるための“導火線”のような存在でありたい。つまり、内に秘めた可能性に火をつけ、形にしていく。

そのプロセスをデザインするのが、私たちの役割だと考えています。

今後の事業展開について教えてください。

いくつかあるのですが、ストック事業の構築と、若いメンバーがチャレンジできる組織の構築が直近の目標です。

DXや新規事業立ち上げ支援といった現在の事業領域はコンサルティングということもあり、フロー型の事業となっています。フロー型は柔軟な対応ができ、多くのご支援ができるという点で良いものの、常に「人が介在する」というデメリットもあります。

そのために、弊社では既存事業の知見を活かしたうえで、メディア等の事業を立ち上げており、ストック型の事業の売上比率を高めることを目指しています。

もう一つがフロー型のコンサルティングや、新たな収益の柱となるストック事業を一緒に作ってくれる若いメンバーの採用です。

いつの時代も、世の中を変えるのは若い人だと考えています。僕らが学んできたビジネスの知見・考え方を会社の仕組みとして伝えつつ、彼らのオリジナリティで事業をグロースさせる。こうした取り組みを増やしたいです。

弊社では企業様の事業グロースの支援をしていることもあり、様々な知見が溜まっています。また、僕自身多くのスタートアップで学んできた自分なりの考えもあります。

こういったことを社内メンバーにも展開していくことで、お客様の事業だけではなく、自社の事業もさらに伸ばせると考えています。

組織づくりの未来構想についても教えてください。

成長したい・チャレンジしたい意欲がある人が、実践を通して学び、結果事業がグロースするそんな環境を作っていきたいです。

サイバーエージェントという会社にいたのですが、サイバーでは少数精鋭のチームをたくさん作りながら、うまく行ったものを残し、そうではないものは新しい事業チャレンジを促すようにしていました。スマホアプリのときなんかは100アプリぐらい同時に作ってましたからね。

うちの会社も同様に一つの事業にアサインする人数は減らし、メンバーが自分の判断で事業を伸ばせる組織にしていきたいと考えています。自分で判断するってすごく怖いことですが、一番成長すると思っていますし。

部門なのか子会社なのかは分かりませんが、そういうのを広げ、自己組織化されたチームを増やしていく。

そうすれば人が少ないので多くの報酬が還元できたり、調整コストも少ないのでスピーディーに意思決定できたりして、エンゲージメントも高まると考えています。

そのためにも今の既存事業でより収益をあげること、またこういった未来を実現できる人材を採用することが今の大きな目標になっています。

原点に立ち返る時間─音楽とリズムと

お忙しい日々の中、どのような時間をリフレッシュに充てていますか?

最近はあまり時間が取れていないのですが、合間を見て音楽に触れるようにしています。ピアノやギターを弾いたり、少しだけ作曲をしてみたり。大人になってから始めた趣味ですが、手を動かして音を重ねる時間は、自然と気持ちが整っていく感じがあって、すごく貴重ですね。

音楽をやるときってそのことだけ考えないとできないので、いいリフレッシュになってます。右手と左手で全然違うことをする感覚も、最初は難しいけれど、慣れてくると心地よくて。仕事で頭を使い続けている分、音楽のように感覚的なものに触れる時間があると、思考がリセットされて、新しいアイデアに出会える気がします。

自分の「好き」に立ち返る時間があることで、ビジネスの現場でもより柔軟に、前向きに向き合える。そんなふうに感じています。どんなに忙しくても、自分のリズムを取り戻せるものをひとつ持っているだけで、日々の濃度が変わってくる─今はそんな感覚を大切にしています。

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