ミズサキ株式会社は、「小さな会社でも採用を通して大きな夢を持てる社会をつくる」という理念のもと、成果報酬型の採用支援を行っています。
求人媒体に頼る“待つ採用”から、企業が自ら採用できる“攻めの採用”へ――。
人材業界の常識にとらわれず、独自の支援スタイルで中小企業の採用力を高めてきた藤村俊太郎代表に、事業の特徴や理念、独立の背景、そして今後の展望について伺いました。
目次
採用力を高める仕組みを――企業が“自ら採れる会社”になるために
御社の事業内容について教えてください。
当社は、採用代行および採用支援事業を展開しており、高卒・大卒新卒・中途採用と幅広い領域に対応しています。中でも主に、大学新卒と中途採用を中心に支援しています。最大の特徴は、成果報酬型で採用戦略から実務までを一貫して支援できる点です。採用戦略の構築をはじめ、求人媒体の導入、求人原稿の作成、スカウト送信、応募者対応、面接調整など、採用活動全体をトータルでサポートしています。また、面接官トレーニングや評価基準の設計、質問集の作成など、企業が自社で採用を完結できる体制づくりにも注力しています。
人材紹介とは異なる「採用支援」ならではの強みは何でしょうか。
私たちは“紹介して終わり”ではなく、企業が自らの採用力を高めることを目的としています。採用担当者と並走し、「なぜこの採用が必要なのか」「どんな人物を求めているのか」を一緒に整理しながら進めます。求人原稿も単なる募集文ではなく、“企業のストーリー”として設計します。特に重視しているのは競合との差別化で、求人情報の文言の背景にある「機能」「効能」を伝えらるようにしています。また、リアルな職場の価値を、求職者に伝わる言葉で表現しています。
採用支援を始められた背景を教えてください。
私は以前、医療業界の求人サイトを運営する会社に勤務していました。求人依頼を受けて原稿を掲載し、応募を待つという仕組みの中で、「企業の採用力自体は育っていないのではないか」と感じたのが出発点です。求人媒体、人材紹介からの応募者の案内だけに頼るのではなく、企業が自ら採用戦略を描き、採用できる仕組みを持つことが重要だと考えました。そのために、採用の全体像を理解し、実行できるよう支援することが当社の使命です。
会社の理念を教えてください。
当社の理念は「小さな会社でも採用を通して大きな夢を持てる社会をつくる」です。中小企業でも、自社の魅力、”違い”を正しく伝えられれば採用は必ず成功します。当社はその力を引き出し、仕組みとして根付かせることで、企業が“自ら採用できる状態”を実現することを目指しています。
キャリアの原点と独立への決意――“採用の仕組み”を変えたかった
これまでのご経歴について教えてください。
大学卒業後は、まず学校法人に勤務しました。教育機関としての採用に関わる中で、人と仕事をつなぐ現場に興味を持ったのが原点です。その後、医療業界の求人サイトを運営する企業に勤務し求人原稿の作成や自社自身の採用担当業務を通して、約5年間、人材採用の実務を学びました。
独立を意識されたのは、いつ頃からでしょうか。
2023年頃からです。社内で新規事業を検討する機会があり、自分が本当にやりたいことを整理する中で「採用の在り方を変えたい」という思いが明確になりました。人材業界はどうしても費用が高く、特に中小企業やスタートアップにとっては負担が大きい。その課題を何とかできないかという思いが、独立のきっかけでした。
なぜ起業という選択をされたのでしょうか。
会社でも新規事業として提案はしていましたが、どうしても中途半端にはしたくなかったんです。社員として働く以上、業務時間や責任範囲には限界があります。だからこそ、「自分の事業としてやるなら、結果に対してすべて責任を持てる」と思い、独立を決めました。当時の職場は独立志向の強い人が多く、代表も挑戦を後押しする環境だったため、その雰囲気も背中を押してくれました。
経営を始めてから感じたギャップや気づきはありますか。
最初は想像以上に反響がなく、「思っていたよりお客さまに届かない」と悩む時期がありました。当初は月額制の定額プランでサービスを提供していましたが、営業を重ねるうちに、中小企業は成果が見えないものには費用をかけづらいと実感しました。そこで現在の成果報酬型モデルに切り替えたんです。この経験から、「顧客の立場に立って仕組みをつくる大切さ」を学びました。思いだけでなく、現場の課題と向き合うことで、ようやく事業の方向性が見えてきたと感じています。
目の前のお客さまに誠実であること――“最善の選択”を提案する姿勢
経営者として、日々の仕事の中で大切にされていることを教えてください。
そうですね。いろいろやりたいことはありますが、やはり一番大切にしているのは、目の前のお客さまに満足していただくことです。最終的に「採用が成功した」と感じていただけることが、当社の存在意義だと思っています。
そのため、場合によっては当社のサービスを強引に勧めることはしません。採用の緊急度や状況によっては、「人材紹介会社を使った方が良いですよ」と正直にお伝えすることもあります。
大事なのは、お客さまにとって今何が一番良い選択なのかを一緒に考えること。短期的な取引ではなく、長期的な信頼関係を築くことを目指しています。
お客さま一社一社に丁寧に向き合う姿勢が伝わってきます。
ありがとうございます。採用支援という仕事は、企業の未来に関わる責任ある仕事です。
だからこそ、「どうすればこの会社が理想の人材と出会えるのか」を常に考え続けています。たとえ小さな案件でも、そこで結果を出すことで、次の信頼や紹介につながる。そうした積み重ねを大切にしています。
当社の理念である「小さな会社でも採用を通して大きな夢を持てる社会をつくる」という言葉には、そんな思いが込められています。一社一社の採用成功が、やがて社会全体の活性化につながっていく――それを信じて、これからも誠実にお客さまと向き合っていきたいと思っています。
“採用できる会社”を増やす――中小企業の採用力を底上げする挑戦
今後の展望や、描いているビジョンを教えてください。
まずは、対応できる業界や職種の幅を広げることが当面の目標です。現在は採用代行・支援を中心に事業を展開していますが、今後はより多くの中小企業に対応できるよう、各業界特有の採用課題に合わせた支援体制を整えていきたいと考えています。特に重視しているのは、「企業が自分たちで採用できるようになること」。採用の仕組みを整え、企業内部にノウハウを残すことで、外部に依存せず継続的に採用活動を行える会社を増やしていくことが、当社の使命です。将来的には、業界ごとの課題に応じて、独自の求人サイト構築や人材紹介事業の展開も視野に入れています。新しい取り組みを行う際も常に、「お客さまの現場にどんな価値を提供できるか」を軸にしています。
事業拡大に向けて、現時点での課題はありますか。
現状、集客の中心はSEO(検索流入)によるものですが、特定のキーワードに偏っている部分が課題です。より多くの企業に知ってもらうためには、発信力や影響力を強化していく必要があります。そのため、提携企業を増やすことや、自社の人員体制を拡充し、組織全体のスケールアップを図っていく予定です。
採用業界全体にも、新しい価値を提示できそうですね。
ありがとうございます。まさにそれを目指しています。採用は「ネームバリューのある会社だけが成功するもの」ではありません。当社のクライアントは、知名度の高くない中小企業が多く、そこにこそ支援の意義があります。私たちは、「ネームバリューがなくても採用で勝てる仕組み」を追求しています。たとえば求人原稿では、単に条件を並べるのではなく、「なぜこの会社で働くのか」を求職者が理解できるように構成します。今後もこうしたノウハウを磨き続け、知名度に頼らずとも人を惹きつける採用の仕組みをつくり、全国の中小企業が自分たちの力で採用できる社会を実現していきたいと考えています。
創ることを楽しみ、つながることを大切に――挑戦はまだ始まったばかり
お仕事以外で、リフレッシュや趣味にしていることはありますか。
最近は仕事中心の生活ですが、もともと小説を書くことが好きなんです。大学時代は文芸サークルに所属していて、時間があれば物語を描いていました。意外に思われるかもしれませんが、学生時代には学生プロレスにも打ち込んでいたんですよ。プロレスにはストーリーがあり、観客を楽しませる“物語”をつくる感覚がすごく魅力的でした。
今はその創作のエネルギーを、採用ノウハウの記事執筆やSEOコンテンツ制作に活かしています。当社のサイトでも、私自身が書いた「採用に関するコラム」や「ノウハウ記事」を発信していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
▼記事
https://mizusaki-inc.com/knowledge
“ストーリーをつくる”という点で、経営にも通じるものがありますね。
そうですね。採用も経営も、小説やプロレスのように「人を動かす物語づくり」だと思っています。お客さまや働く人の人生の一部に関わる以上、心を動かす提案ができる会社でありたい。まだ始まったばかりの挑戦ですが、これからも創ることを楽しみながら、一歩ずつ前に進んでいきたいです。
最後に『経営道』を読まれている経営者の方や、採用に課題を感じている方へメッセージをお願いします。
ありがとうございます。
当社はまだ創業して間もない小さな会社ですが、その分、柔軟に動ける強みがあります。
同じように挑戦を続ける経営者の皆さまと、協業できるパートナー関係を築いていけたらと思っています。
また、採用に関してお悩みのある企業様も、ぜひお気軽にご相談ください。「人が採れない」「採用の仕組みを見直したい」など、どんな段階からでも一緒に考え、最適な方法をご提案させていただきます。

