福岡市とオンラインで学習指導を行う「個別予備校ユメカナ」は、勉強に苦手意識をもつ子どもたちや医学部、国公立大学など高い目標に向かって挑戦する生徒さん、発達の問題を抱えた生徒さん、多くの生徒を成績向上へ導いてきました。偏差値29から医学部合格を実現した生徒のエピソードをはじめ、一人ひとりの課題と向き合いながら着実に成長を支援する独自の指導スタイルが注目を集めています。本記事では、ユメカナが大切にしている理念や指導に込めた思い、そして学力に悩む子どもたちへの向き合い方について伺いました。
目次
「学力で悩まない子を増やす」ユメカナの教育理念とは
まず、現在の事業内容と特徴について教えてください。
福岡市とオンラインを拠点に、小学生から高校生・浪人生まで幅広い生徒を対象とした学習指導を行っています。当塾の最大の特徴は、学力が伸び悩むお子さんに丁寧に寄り添い、「なぜ理解できないのか」「どこでつまずいているのか」を徹底的に分析することです。表面的な指導ではなく、根本原因に向き合い、一人ひとりに合う学び方を一緒に探し、改善のサイクルを着実に回していきます。
また、生徒が自分から勉強に向かえる環境づくりにも力を入れています。質問しやすい自習室、毎日常駐の優秀な九大生・東大卒コーチ陣によるサポート、そして私自身が日々の課題に伴走する体制を整えており、「ここなら頑張れる」と感じてもらえる塾づくりを大切にしています。こうした積み重ねの結果、偏差値が大きく伸びた生徒や、苦手科目を克服して志望校に合格していく体制を築いてきました。
他塾との違いや、大切にされている理念について教えてください。
ユメカナが掲げている理念は、「学力で悩まない子を増やす」ことです。勉強につまずくと、自信を失い「自分はできない」と思い込んでしまう子が少なくありません。しかし、正しい学び方を身につければ誰でも成長できますし、その成功体験は将来の大きな財産になります。
私たちが目指す“強さ”とは、スパルタ的な厳しさではなく、「自分の力で課題に向き合える心の強さ」です。努力が成果につながる喜びを知ってもらうことで、勉強だけでなく、その後の人生でも前向きに挑戦できるようになってほしいと考えています。
大手塾はどうしても“できる子をさらに伸ばす”方向に傾きがちですが、ユメカナは“伸び悩む子の可能性を引き出す”ことを使命としています。その子の「自己ベスト」をしっかり伸ばし、未来へ自信を持って進めるよう支えていくことが私たちのビジョンです。
多様な現場で積み上げた経験が「ユメカナ」の原点に
これまでのご経歴について改めて教えてください。
もともとは司法試験の勉強をしながら、大手塾で指導に携わっていました。しかし、大学時代は苦学生だったこともあり、将来を考えた結果、司法の道ではなく教育へ進むことを決めました。最初に勤めた福岡の進学塾では、成績の高い生徒がさらに伸びていく一方で、「すべての生徒が本当に力を伸ばせているのか」という疑問が残り、生徒一人ひとりに寄り添う教育を目指したいという思いが強まりました。
その後、神奈川県の上場企業・ステップに声をかけていただき、授業研修や指導法を徹底的に学びました。「生徒と同じ目線で向き合う」という姿勢を得られた一方、大学受験を専門的に教えたいという自分の希望とは役割が異なったため、再び福岡へ戻り、予備校の新規校舎立ち上げに携わりながら指導にあたりました。運営から集客まで幅広い経験を積んだことで、教育の仕組みを包括的に学ぶ機会となりました。
独立を意識したきっかけは何だったのでしょうか。
大きな転機は、医学部予備校に関わったことです。何年間か、手厚く一人ひとりと向き合うことで、学力をあげることの重要性や可能性に気づきました。多くの生徒の成長を支える中で、「もっと良い指導方法があるはずだ」という思いが強まりました。また、大手塾時代から、塾に通っても伸び悩む生徒が生まれる理由に疑問を抱いており、自分の手で理想の教育を形にしたいと考えるようになりました。30代に入り、ベンチャーでの幹部経験やフランチャイズ運営など多様な環境を経たことで、「今なら自分の理想に近い塾をつくれる」と確信し、独立を決断しました。
キャリアを振り返って感じることはありますか。
どの職場でも共通していたのは「生徒をどう伸ばすか」を真剣に考え続けてきたことです。大手塾、上場企業、ベンチャー、フランチャイズ、医学部予備校――それぞれでの経験が、現在のユメカナの教育観につながっています。独立したことで、自分の理想とする指導をまっすぐ実践できるようになり、大きなやりがいを感じています。
学生講師の“強み”を引き出しながら、共につくる学びの場
学生講師の方々が多いとのことですが、どのようにコミュニケーションを取られていますか。
現在は社会人スタッフ2名(東大卒・元小学校教員)と、九州大学の学生講師が中心となって授業を支えてくれています。学生講師は学業との両立が前提のため、負担が偏らないようコミュニケーションには特に気を配っています。連絡はLINEやNotionも使いますが、もっとも大切にしているのは対面での会話です。授業前後に「今日の生徒の様子」「どんなサポートが必要か」を必ず直接話し、お互いの理解を深めるようにしています。学生の中には、最初は目を合わせて話すことが苦手な方もいますので、「言葉で理解するタイプ」「文章で整理するタイプ」など、その人に合った伝え方を選ぶことを意識しています。
これまでのご経験は講師育成にも生かされていますか。
はい。医学部受験の指導では長期間生徒と向き合うため、「伸び悩む理由」や「学習の癖」がよく見えるようになりました。これは講師も同じで、性格や得意・不得意を理解すると、どのように役割を任せれば力を発揮できるかが見えてきます。寄り添うだけでなく、共に高い目標を見据えることも大切にしており、大学生講師ならではの視点を“教える力”ではなく“引き出す力”として活かせるよう心がけています。
組織運営のうえで大切にしていることは何でしょうか。
もっとも大事にしているのは「目的を一緒に見つけること」です。講師には、生徒がどこを目指したいのかを丁寧に聞き、その目標に向けて伴走する姿勢を持ってほしいと伝えています。また、私自身は子どもの頃コミュニケーションが得意ではなかった経験があるため、「本当に伝わったか」を確認する習慣を大切にしています。理解できるまで丁寧に説明し、地道な改善を積み重ねる――その文化を講師全員で共有できていることが、今のユメカナの強みだと感じています。
地域に根ざし、福岡から“新しい教育の形”を広げていく
今後の展望について、改めて教えてください。
まずは福岡の地域で「信頼できる塾」としての地位をさらに確かなものにしていきたいと考えています。ユメカナの強みである“寄り添いながら伸ばす指導”を磨き、生徒一人ひとりの特性に合わせた改善と成長を積み重ねていくことが、当面の最も大きな目標です。「ここに通えば成績が伸びる」「自分に合った学び方が見つかる」と感じてもらえる場所でありたいと思っています。
特に大切にしているのは、実績だけでなく“居場所としての価値”です。勉強につまずいたときや自信を失ったときに、安心して訪れ、前向きな気持ちを取り戻せる環境をつくること。講師と協力しながら、生徒が自然と「頑張ろう」と思える空気づくりをこれからも徹底していきたいと考えています。
地域を越えて発信したいことはありますか。
これまで積み上げてきた指導ノウハウを、より多くの方に届けていきたいと思っています。「学力が伸びる仕組み」「伸び悩みの原因」「家庭学習の整え方」など、保護者や生徒に役立つ情報を積極的に発信し、学び方の文化そのものを広げていきたいと考えています。単に塾を運営するだけではなく、地域全体にポジティブな学習環境をつくることも、これから果たしていきたい役割です。
長期的にはどのようなビジョンを描いていますか。
将来的には、福岡市内に複数の教室を展開し、より多くの子どもたちにユメカナの指導を届けたいと考えています。「点数を上げるだけの塾」ではなく、「人生にとって意味のある学び」を提供できる塾でありたい。勉強を通して得た自信や習慣は、将来の選択肢を大きく広げてくれます。だからこそ、ユメカナを“子どもたちの未来を支える教育ブランド”へと成長させたいと思っています。
福岡から、学習に悩む子どもを一人でも減らすこと。そして「勉強が苦手でも必ず伸びる」という文化を広げていくこと。その2つを軸に、これからも挑戦を続けていきたいと考えています。

生徒の合格を願い、自らも学び続ける日々
お忙しい日々の中で、大切にしている趣味やリフレッシュ方法はありますか。
一番のリフレッシュはドライブです。受験シーズンには生徒の合格祈願を兼ねて神社へ足を運ぶことも多く、車を走らせながら気持ちを整える時間が心の支えになっています。静かな場所で手を合わせると、生徒の努力が浮かび、自分自身も前向きな気持ちを取り戻せます。日頃からドライブ中に考えが整理されたり、授業のアイデアが思い浮かぶことも多く、忙しい中で自分と向き合える大切な時間になっています。
勉強に関する活動も続けていらっしゃるのでしょうか。
はい。英語学習は今でも楽しんで続けています。生徒に「コツコツ続ける大切さ」を伝えている以上、私自身も学び続けたいという思いがあります。英字新聞を読んだり、YouTubeでリスニングをしたりと、日々少しずつ積み重ねることで気分転換にもなり、指導の質を高める良い刺激にもなっています。
他にもご趣味はありますか。
読書も好きで、もっと読書量を増やしたいと思っています。近くの唐人町商店街でおいしいものを買ったり、生徒と地元の話をしたりする時間も密かな楽しみです。こうした小さな癒しを大切にしながら、日々の指導に向き合っています。
これからもこうした自分らしいリフレッシュを大切にしながら、生徒たちにより良い学びを届けていきたいと思っています。

