タクシー業界の人手不足が深刻化するなか、ドライバーと企業をつなぐ新たな支援に挑む株式会社PM Agent。タクシー・自動車整備士・外国人材の三軸で独自のマッチングサービスを展開し、業界の課題に真正面から向き合っています。今回は、代表の梅津哲豪さんに、事業の立ち上げ背景、これまでのキャリア、組織づくりへの想い、今後の展望、さらには意外なリフレッシュ方法まで、幅広くお話を伺いました。
目次
タクシー・整備士領域に特化した転職支援──業界課題を“人の力”で変えていく
まず、御社の事業内容と特徴について教えてください。
当社はタクシードライバーと自動車整備士に特化した転職支援サービスを展開しています。大手から地域の中小企業まで全国のタクシー会社と取引があり、求職者の希望に合わせた幅広いマッチングが可能です。近年は整備士領域にも力を入れ、自動車ディーラーや中古車販売店など多様な企業の採用を支援しています。
タクシー業界に特化した背景にはどのような理由があったのでしょうか?
私自身、タクシーを利用する中で「車が来ない」「サービスの質にばらつきがある」といった課題を実感していました。調べたところ、コロナ禍でドライバー人口が大幅に減った一方、インバウンドや配車アプリの普及により需要は回復しているという“供給不足”の状況が判明しました。採用マーケティングの経験から「この課題は人材紹介で解決できる」と感じ、事業化を決意。実際に募集を開始すると想像以上の応募が集まり、潜在ニーズの大きさを改めて認識しました。
他社が増える中、PM Agentならではの差別化ポイントはどこにありますか?
大きな強みが、外国人タクシードライバーの紹介です。特定技能として認められたのは2024年12月で、まだ事例が少ない領域ですが、当社はビザ手続きから生活サポートまで一気通貫で支援できる体制を整えています。また、タクシードライバーと整備士の両方を扱える点も特徴で、片方のみを扱う企業が多い中、一社で完結できるサービスは企業側から高い評価をいただいています。さらに、自社メディア運営やSNS広告など多様な募集チャネルを活用し、応募獲得力と求職者フォローを磨き続けています。
“影響を与える大人になりたい”──経営者を志した原点とキャリアの軌跡
これまでのキャリアについて教えてください。
新卒ではITベンチャー企業に入社し、最前線で新規事業に携わりました。規模は100名規模と聞いて入社しましたが、実際に配属された事業部は15名ほどの少人数。良い意味でギャップのある環境に飛び込んだことが、自走力を鍛える大きなきっかけになりました。その後転職したIndeed Japanでは、知名度がまだ低い時期に自社プロダクトの販売・コンサルティングを担当。無名から市場を開拓していく経験が、今の事業づくりの原点にもつながっています。
経営者を志したきっかけは何だったのでしょうか?
大学時代、社会で活躍する大人たちと接する機会が増え、「仕事で人を動かし、社会を変える姿」に強く心を動かされました。彼らに共通していたのが“経営者”という立場であったことから、「自分も人に影響を与えられる大人になりたい」と思うようになり、自然とベンチャー就職や新規事業への挑戦を選択するようになりました。
実際に社会人になってからも、先輩社員の圧倒的な実力に触れ、「比較にならない成果で成長していく」という強い意識を持って仕事に向き合いました。その姿勢が評価され、新卒時には新人MVPを受賞。努力が形になった経験は、自信とともに「自分の会社をつくる」という想いをさらに後押ししました。
経営していく中でターニングポイントになった出来事はありますか?
順調に事業を伸ばしていた中、ある時期に大切な取引解約が重なり、売上が急激にゼロ近くまで落ち込むという大きな壁に直面しました。事業の売却や組織の再構築など、多くの決断を短期間に実施しましたが、その経験を通して「もう一度挑戦する力」が自分の中に育ったと実感しています。
自己破産すら覚悟した状況でしたが、尊敬する方から「今の借入金額で破産の選択はもったいないよ」と励まされ、再挑戦を決断しました。そこから改めて市場を見直し、今の“タクシー・整備士特化の転職支援”という事業にたどり着きました。逆境の中で見つけたテーマだからこそ、今の事業には強い使命感を持って向き合えています。
“人と向き合い続ける”──組織づくりで最も大切にしている姿勢
社員やメンバーと向き合う際、大切にしていることは何でしょうか?
最も意識しているのは、「問題から逃げない」姿勢です。組織が大きくなるほど、課題の多くは人間関係やコミュニケーションのすれ違いから生まれます。以前の会社では離職やトラブルが続いた経験もあり、「人と向き合い続ける重要性」を痛感しました。
その反省を踏まえ、現在は“問題が起きないように先手を打つ”ことを徹底しています。日頃から小さな違和感に気づくように意識し、もし何かが起きた場合はすぐ対処する。後回しにしないことで、組織全体の安心感と信頼関係が高まると感じています。
前職・前事業の経験は、今の組織づくりにどのように活きていますか?
以前の組織では、採用しても辞めてしまう、チームが不安定になるといった場面を多く経験しました。その経験があったからこそ、「人を大切にしない組織は続かない」という強烈な学びが得られました。
現在のPM Agentでは、メンバーの不安や悩みを放置しない体制づくりを心がけています。働き方やキャリアの相談を定期的に行い、課題があれば早い段階で一緒に解消する。ひとりひとりに寄り添うスタンスは、過去の失敗から得た“自分なりの組織運営の指針”です。
経営者として、以前と比べて自身が変わったと感じる点はありますか?
最も大きな変化は、「人に向き合う覚悟」が明確に持てるようになったことです。事業の成功よりも、メンバーが安心して働ける環境づくりが重要だと気づけたのは、逆境や組織の揺らぎを経験したからこそ。
組織運営において、正解はひとつではありません。ただ、問題から目を背けず、誠実に対話し続けることだけは変わらない。そうした姿勢が、今のPM Agentの風土につながっていると感じています。
日本と海外をつなぐ“架け橋”へ──タクシー業界を越えた人材支援の未来構想
今後の展望として、どのような未来を描いていますか?
2024年からタクシー分野に特化した転職支援を開始しましたが、足元では“自動車整備士”や“外国人材”の領域へも事業が広がっています。今後は、これらの領域をより大きく発展させ、タクシー業界に留まらず、建設・飲食・営業など、幅広い業種と海外人材をつなぐ“架け橋となる存在”を目指しています。
特に外国人材の支援は可能性が大きい領域です。これまで整備士やドライバーに限定されていたサポートも、今後はより幅広い職種へ拡大されていくと考えています。採用から生活サポートまで一貫で支援できる強みを武器に、さまざまな業界が抱える慢性的な人手不足の解消に貢献していきたいと考えています。
海外との連携にも注力されていくのでしょうか?
はい。現在は日本国内での転職支援が中心ですが、今後は海外現地での採用から支援に踏み込む体制づくりにも挑戦していきたいと考えています。海外支社の設立も視野に入れており、日本で働きたい人材と日本企業をつなぐ“入り口”となる仕組みを構築していく予定です。
「母国では運転経験があるが日本の免許は持っていない」という方の在留資格切り替えサポートや、来日前の準備支援など、より広い段階から支援できるような仕組みも整備していきます。国内外の両面から、より多くの人の挑戦を後押しできる存在を目指しています。
社員の皆さんと目指している未来についても教えてください。
組織面では「チーム全員で前進する」という一体感を大切にしています。実際に、社員同士で「合宿をして事業の未来を語り合いたい」といった声が上がるほど、前向きな空気が生まれています。
また、最近はオフィスを新築ビルへ移転し、働く環境が大きくアップデートされました。明るく開放的な空間になったことで、社員の士気も一段と向上しています。この環境を活かし、メンバー全員が「もっと成長したい」「もっと挑戦したい」と思えるチームをつくり、事業の未来に向かって力強く進んでいくつもりです。
“マインドが整う時間”──ブラジリアン柔術がくれるリフレッシュと成長
多忙な経営のなかで、どのようにリフレッシュされていますか?
私の一番のリフレッシュ方法は、ブラジリアン柔術です。格闘技というと激しい印象がありますが、柔術は相手の動きを読み、技を組み立てる “頭を使うスポーツ”でもあります。練習中は目の前の一手に集中するため、仕事のことや日々の雑念が自然と消えていき、マインドフルネスのような感覚になれるのが魅力です。30歳から未経験で始めましたが、コツコツと続け、昨年青帯に昇格しました。道場の特徴として経営者が多いこともあり、同じ空間で練習できる環境は「もっと成長したい」という前向きな気持ちを生んでくれます。
今後の目標や取り組んでいるチャレンジはありますか?
現在は週2回の練習を続けていますが、12月からは週3回を目指しています。帯の昇格には数年単位の積み重ねが必要で、努力が形になるまでのプロセスをじっくり楽しめるのも柔術の魅力です。今は代々木体育館で開催される世界大会を目標に、日々練習を積み重ねています。柔術を通して得た「続ければ必ず成長できる」という実感は、経営にも通じる大切な学びです。これからも、自分を高める挑戦を続けていきたいと思います。


