ランニング用品の企画・販売ブランド「Team One Day」を展開しながら、30年以上にわたりテニス指導にも携わってきた大村竜助氏。現場で直接人と関わる指導者としての経験を活かしながら、ランナーやビジネスマンの日常を支える“ライフスタイルブランド”オーナーとしての成長を目指しています。本記事では、大村氏のこれまでの歩み、事業に込めた想い、そして未来へのビジョンについて伺いました。
目次
ランナーの体験価値を高めるブランドづくり――現在の事業と特徴
まず、現在取り組まれている事業内容について教えてください。
当社では、ランニングを楽しむ方々に向けたオリジナル商品の企画・開発・販売を行っています。私自身が長年テニス指導に携わってきたこともあり、「スポーツに関わる仕事をしていきたい」という思いが根底にあります。ただ、指導業は場所や時間に縛られるため、自分の経験を生かしながら、場所や時間にとらわれず取り組める仕事を模索した結果、ランニング用品の企画販売にたどり着きました。販売は主にAmazonや楽天といったECモール中心で、やはりECモールの大きな集客力が魅力です。またレビュー等で反応が早く返ってくるため、求められているものを素早く商品に反映できる点もこの事業の面白さだと感じています。
事業を進めるうえで大切にされている特徴やこだわりについて教えてください。
当社が大切にしていることは「利用者の声を商品づくりに最大限反映する」という点です。レビューやSNSの声を丁寧に読み取り、改良点があればすぐに次のロットへ反映するなど、長く使い続けてもらえる設計を重視しています。またクラウドファンディングの「Makuake」も積極的に活用しており、新商品の認知拡大だけでなく、リアルな反応を受け取れる貴重な場になっています。近々、新商品プロジェクトを予定しており、価値を丁寧に伝えながら期待に応えられる形でリリースできるよう準備を進めています。
スポーツをより快適に、安全で、楽しく続けられるように。「Team One Day」は、これからも“日常に寄り添うスポーツブランド”として挑戦を続けていきます。
指導者からブランドオーナーへ――キャリアの変遷と新たな挑戦
これまでのキャリアとして、最も長く力を注がれてきた領域について教えてください。
私のキャリアの中心は、30年以上続けているテニス指導です。学生時代から指導を始め、リゾートホテルやテニスクラブでレッスンを行ってきました。近年は中国のテニスクラブから依頼を受けて指導する機会もあり、幅広い環境で選手や愛好者と向き合ってきました。現在は長野に移住し、指導環境をつくることでテニスの普及活動に携わっています。自分の経験が地域のスポーツ文化に少しでも貢献できれば嬉しいという思いで続けています。
長く続けてきたテニス指導とは別に、ブランド事業を始められたきっかけは何だったのでしょうか。
指導業は大きなやりがいがあります。しかし、サービスを提供し続けることで売上を生むフロー型ビジネスのため、時間の制約と将来的な身体的不安が大きい仕事です。そこで「仕組みで収益を生む第二の軸を持ちたい」と考え、ブランド事業に挑戦しました。未経験からのスタートだったため、まずはコンサルティングを受けて基礎を徹底的に習得。そこから実践を重ね、最初の1商品から現在では20商品前後までラインナップを広げることができました。クラウドファンディング「Makuake」も積極的に活用し、2024年1月のプロジェクトでは1000人を超える多くの支援をいただき、商品認知やブランドづくりにもつながりました。
テニスではなく“ランニング市場”を選ばれた理由は何でしょうか。
ブランド事業を学ぶ中で「市場選び」という商売の原則を知りました。テニス用品は大手ブランドの影響力が強く、特にラケットやシューズはブランド力が購入理由に直結します。一方でランニング市場にはヘッドライトやキャップなど、オンライン販売と相性の良い小物ジャンルも多く、検索需要も明確です。“スポーツを頑張る人に役立ちたい”という自分の価値観にも一致していたため、ランニング用品を中心に商品展開を進めることを決めました。ビジネスには熱量が重要だと感じています。興味のない分野に参入するのではなく、自分が共感できるユーザーに価値を届けたいという思いが根底にあります。
顔の見えない相手にこそ誠実に――一人経営に宿る“コーチの視点”とコミュニケーション
現在の事業を運営するうえで、大切にされている価値観やこだわりについて教えてください。
重視しているのは「お客様との向き合い方」です。オンライン販売は相手の顔が見えないため、問い合わせ対応やアフターフォローは丁寧さを最優先にしています。「故障した」「使い方が知りたい」といった連絡には一つひとつ誠実に向き合い、サービス業で培った姿勢を活かすよう心がけています。“見えない相手ほど大切にする”という意識は、長年のテニス指導で自然と身についたものだと感じています。
スポーツ用品を扱ううえで意識している点はありますか。
扱う商品はランナーやスポーツを楽しむ方の生活を支えるものです。ボディーケアアイテムを通して、「体が軽くなった」「練習に欠かせない」といった声をいただくと、売れたこと以上に“役に立っている”実感があります。テニスコーチとして「相手が求める姿に近づけるためにサポートする」という姿勢が根本にあるため、物販でも「購入した方が快適に走れるように」という意識が自然と商品づくりに反映されています。
お一人での事業運営で工夫されている点はありますか。
一人経営は自由な一方、判断も改善もすべて自分の責任です。だからこそ日々の細かな対応を大切にし、お客様の声は丁寧に読み、改善できる点はすぐ反映するように心がけています。レビューやSNSの声も次の開発に活かしています。オンライン販売でも購入者一人ひとりに背景があり、怪我に悩むランナーや初マラソンの挑戦者などを想像しながら、「この商品が前向きな一歩を支えれば」という気持ちを忘れないようにしています。結果として、テニス指導で培った、「この人は何を求めているのか?」と想像し続ける“寄り添う姿勢”がブランド運営の軸になっています。
“ライフスタイルを支えるブランド”へ——複数ブランド展開と未来への挑戦
今後の展望について、どのような未来像を描いているのでしょうか。
ランニングライフブランド「Team One Day」をさらに成長させ、より多くの方に選ばれる存在へ育てていきたいと考えています。ランニングを楽しむ方のライフスタイルを想像し、商品を提案しながら「Team One Day」のオリジナリティーを形作っていけたらと思っています。
新たに展開しているブランドについて教えてください。
「サウナ×働く人」をテーマにした新ブランドも立ち上げています。サウナは私にとって“仕事のパフォーマンスを整える場所”であり、ネット環境から離れて頭をゼロに戻すことで新しい発想が生まれる大切な時間です。この価値観を形にしたサウナライフブランド「Saunaoneday」(サウナワンデイ)では、すでに5商品をリリースし、Makuakeでもプロジェクトを展開しました。多くの反響をいただき、徐々に認知も広がり始めています。
複数ブランドを展開するうえで意識している戦略はありますか。
目指しているのは、ライフスタイルブランド=“日常生活を支えるブランド”として成長させることです。ユーザーの「行動を支える習慣」に寄り添う商品を増やしていくことで、ブランドの幅を自然に広げられると考えています。また、ブランドに合わせた専門家とも手を組んでいくことも大切にしています。例えば「Saunaoneday」ブランドのローンチでは、サウナ好きでありながら企業ブランディングの専門家の方の協力を得ることができ、高いデザインクオリティを強みにした商品をつくることができました。今後も各界の専門家と協力しながらブランドを育て、多くの方の生活に役立つ商品を届けていきたいと考えています。
整える時間と、未来へ向かうエネルギー——仕事を支えるリフレッシュの習慣
リフレッシュや気分転換の方法について教えてください。
今は事業に集中しているため、特別な趣味は多くありませんが、「しっかり眠ること」を大切にしています。時間に縛られない働き方をしているので、疲れているときは思い切り休む。その分、翌日の仕事に向けて頭が整い、自然と前向きな気持ちに切り替えられます。
睡眠以外でリラックスできる習慣はありますか。
サウナですね。汗をかいて頭を空っぽにできるので、心身ともにリセットされる感覚があります。忙しい時期ほど効果が大きく、整う時間は自分にとって必要不可欠です。
旅行もお好きだと伺いました。
はい。海外リゾートホテルで働いていた経験があり、様々な方との出会いは楽しみの一つです。仕事とは離れた景色や文化に触れることで気持ちが切り替わり、新しい発想にもつながります。これからも、日々の挑戦を続けながら、自分を整える時間も大切にしていきたいと思っています。

