失敗の再現性から学ぶ——PMIを標準化し、M&Aを「確実な成長戦略」へ変える挑戦

一般社団法人日本PMIサポート協会 代表理事 後藤 俊輔氏

M&A成約後に押し寄せる組織の摩擦、進まないプロジェクト、そして離れていく従業員の心。一般社団法人日本PMIサポート協会は、こうしたPMI(買収後統合)の混乱を、一部のハイパフォーマーの属人的な経験則ではなく、再現性のある“仕組み”へと昇華させています。代表理事の後藤俊輔氏が提唱する、企業変革を成功に導くためのPMIの正体とは。

同時多発する経営課題をワンストップで解決する

――どのような体制でPMIを支援しているのでしょうか。

後藤氏: 当協会には、コンサルタントや研修講師、副業人材などがパートナーとして所属しています。現在は約10名のプロフェッショナルとともに、私がフロントに立ちながら「実効性」に徹底してこだわったPMIを支援しています。

PMIは、M&A後に短期間で多様な経営課題が同時に発生します。経営者であってもコンサルタントであっても一人で抱え込めるものではありません。私たちは、システム統合、DX、人事制度設計、オペレーション改善、チームビルディング、ブランディングなど各分野の専門性を持つメンバーを最適に配置し、ワンストップでサポートする体制を取っています。

また支援は、M&Aを「プレディール」「ディール執行」「PMI初期」「PMI再成長期」という4つのフェーズで整理しています。目の前に流れてくる怒涛の情報で混乱に陥る企業も多い中、時間軸で「今やるべきこと」を重要度、緊急度の観点で明確にして整理しています。

失敗を「見える化」し、成約のその先にある勝利を描く

――プレディールやディール執行の段階では、どのような課題が起きがちですか。

後藤氏: ディールの段階では、しばしば「成約すること自体」が目的化し、当事者は目の前のタスクに没入するため、その後のPMIに手が回らないケースが散見されます。ですが、本当に重要なのは成約後です。

だからこそ、PMI計画は第三者の力を借りてでも、できるだけ早い段階で作るべきだと考えています。また、リスク低減のための財務や法務のデューデリジェンスは定式化されていますが、戦略や組織といった「血の通った」事業デューデリジェンスは、M&Aの目的に直結しているにも関わらず、後回しにされがちです。

私は、そこを含めて丁寧に設計しなければ、M&Aは「本当の意味でのシナジー」を産まないと感じています。「成約がピークだった」という残念なM&Aをなくし、むしろ積極的にM&Aを企業変革の真に有効な戦略オプションとして活用してほしい。その思いで支援を続けています。

現場の「安心」を土台に、シナジーを最大化する実行力

――後半の「PMI初期」や「PMI再成長期」における具体的なアプローチを教えてください。

後藤氏: 成約直後の「PMI初期」で最も大切なのは、信頼関係の醸成と心理的一体感の底上げです。まずは権限委譲の範囲やレポートラインの確立、会議体設計といった最低限の仕組みを整え、現場の迷いを払拭します。さらに名刺やHPなどブランディングに関わる細部を整えることで、「一つのチームになった」という実感を従業員に浸透させます。この時期はまず既存事業をへこませないことを最優先し、業務の可視化やチームビルディングを通じてシナジーの土台を構築します。

そして半年以降の「PMI再成長期」には、具体的なシナジーの実現へと舵を切ります。クロスセルの推進、拠点の統廃合、システムや人事制度の統合といったハード・ソフト両面での最適化を断行する。単に二つの会社を「くっつける」だけではなく、新しい一つの成長エンジンとして再始動させるまで、私たちは時期に応じた意図に基づくアクションアイテムを整理し、徹底して並走します。

「当事者」だったからこそ見える現場の熱感

――他の支援事業者との違いはどこにあるとお考えですか。

後藤氏: 私たちのメンバーの多くは、アドバイザーやコンサル経験者ではなく、事業会社の中でPMIや組織変革を自ら泥臭く経験してきた「当事者」です。私自身も、会社員として長くPMIの現場に身を置き、数多くの血の滲むような失敗を経験してきました。

PMIでは、「次に何が起こるか」という肌感覚の予知を持っていることが、大きな強みになります。外部の立場だからこそ、中立的に、時にはトップに対しても「耳の痛い真実」を直言できる。今やるべきことを率直に伝えることが、PMIでは欠かせないと考えています。

属人性により寄り添いながら、再現性を育てる

――PMIの難しさを、どのように捉えていますか。

後藤氏: PMIは人の個性が複雑に絡み、再現が難しい「アート的」な領域だと捉えています。一方で、属人性に寄り添いすぎると、組織としての再現性の確保が劣後し、スケールしません。

そこで、複数の事例から再現できる部分は徹底的に「サイエンス(標準化)」し、クライアントと共有する。経営者には、従業員との対話やビジョンの発信といった**「心」の掌握に集中**してもらい、仕組みは私たちが支える。そうした役割分担を意識しています。

ロールアップが、労働力不足に悩む業界を救う

――今後、取り組んでいきたい新しい展開はありますか。

後藤氏: 特に注力したいのが、同一業界内での「連続M&A(ロールアップ)」の支援です。特に人手不足が深刻な製造、建設、運送といった「現場力に支えられた産業」では、同業の連続買収を通じた経営効率向上と処遇改善が生き残りの鍵となると考えています。

複数の会社を統合し、バックオフィス機能を集約・DX化、更にベストプラクティスを横展開することで経営を効率化する。そこで生まれた利益を現場の処遇改善に還元し、さらに求心力を高めて次の買収へ繋げる。こうしたポジティブな循環を、私たちがPMIというエンジンを通じて実現したい。連続買収でPMIを型化し、グループ全体で共有できれば、M&Aは業界全体の地位を底上げする「最強の企業変革」の手段になります。

絵を描き、心を休める時間

――リフレッシュ方法はありますか。

後藤氏: リフレッシュ法は「絵を描くこと」です。2週間に1回の教室で「技法(型)」を学びながら「自分だけの表現(アート)」を追求しています。まさに「標準化(サイエンス)」と「人心掌握(アート)」の融合。私自身のPMIの捉え方そのものです。そんなことを考えている時点で、リフレッシュになっているのか分かりませんが(笑)。

――最後に、M&AやPMIに悩む経営者へメッセージをお願いします。

後藤氏:買収したその日が未来への出発点

もし今、M&Aしたその後の姿に、少しでも不安や違和感があるのなら、それが決定的な亀裂になる前にぜひ一度お話しさせていただきたいと思います。その不安・違和感の正体を突き止め、共に未来への設計図を描きましょう。買って、買われて、「一緒になって本当によかった」と言える企業を一社でも増やすこと。それが、私の使命だと思っています。

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