ダブルケアの現場から考える育児×介護×仕事の両立支援――現役世代を支える新しいかたち

NPO法人こだまの集い 代表理事 室津 瞳氏

少子高齢化が進む日本では、働き盛りの世代が「育児×介護×仕事」を同時に担うケースが増えています。NPO法人こだまの集いは、そうした現役世代のケアラーが直面する課題に向き合い、当事者の声を社会や支援の仕組みへとつなぐ活動を続けてきました。代表の室津氏は、自身がダブルケアを経験した当事者として、支援が届きにくい構造に疑問を抱き、団体を立ち上げています。本記事では、事業の背景や組織運営の考え方、今後の展望について話を伺いました。

現役世代のダブルケアを支える事業の全体像

――事業内容を教えてください。

事業は、大きく3つの柱で構成しています。

1つ目は、育児・介護・仕事の両立をテーマにしたセミナー事業です。自治体向けには専門職を対象とした研修を行い、近年は企業向けセミナーの依頼も増えています。現役世代のケアラーが直面する課題や当事者の声をもとに、専門職や企業が現場で生かせる知見を共有しています。

2つ目は、ケアサポート事業です。育児や介護、仕事の両立に悩む方々に向けて、地域包括支援センターなどの相談窓口と連携しながら支援を行っています。

3つ目は、法人設立当初から取り組んできた研究事業です。大学と連携し、当事者の声を集めて分析し、「何に困り、何が支えになっているのか」を体系化する調査を行ってきました。こうした研究を土台に、居場所づくりや現在のセミナー事業へと展開しています。

当事者経験から生まれたNPO設立の原点

――活動を始めようと思ったきっかけを教えてください。

もともとは介護職として働き、その後看護師になりました。医療の現場では、退院後に必要な介護体制について家族に説明する立場でしたが、実際には介護保険の申請などがなかなか進まないケースを多く見てきました。

その後、自身が育児と両親の介護を同時に担う立場になり、フルタイムで働きながら介護体制を整えることの難しさを実感しました。

知識がある立場でもこれだけ大変なのだから、一般の方にとっては相当な負担になると感じたことが、活動の出発点です。

――ご自身の経験は、考え方にどのような影響を与えましたか?

実際に当事者になって初めて、これまでの自分の支援者としての視点が一方的だったと気づきました。

育児・介護・仕事が重なったとき、多くの人が真っ先に「仕事を手放そう」と考えてしまう現実があります。

現役世代が介護を担うことで生じる社会的・経済的な影響の大きさにも関心を持つようになり、当事者の声を行政や支援機関に届け、支援体制そのものを整えたいと考えるようになりました。

「通訳」という役割が生む組織の強み

――こだまの集い様ならではの強みを教えてください。

一番の強みは「通訳」ができる点だと思っています。

育児、介護、医療、それぞれの専門職には独自の言語や前提がありますし、ビジネスパーソンの感覚とも異なります。同じ日本語でも、意図が正確に伝わっていない場面は少なくありません。

当事者一人ひとりの小さな声や事例を拾い上げ、それを専門職や企業、行政に伝わる言葉に翻訳する。その見えにくい部分を担っていることが、私たちの役割です。

――今後、どのような事業に取り組んでいきたいですか?

非営利法人として、当事者が安心して語れる場を守ることを最も大切にしています。

一方で、企業からのセミナー依頼が増える中で、非営利と営利の活動が混在すると、活動の性質が分かりにくくなる懸念も感じています。

今後は株式会社を設立し、企業向けの営利事業とNPOの非営利活動を分けつつ、連携して進める準備を進めています。

――今後の展望についても教えてください。

私は最近、キャリアカウンセラーの国家試験を受験しました。

今後は企業向けセミナーや個別相談、社内制度設計の支援をひとつの枠組みとして展開していきたいです。

働く人が安心して語り合える場づくりと、制度設計の支援を組み合わせた新たな非営利事業を構想しています。

組織運営と、これから描く支援のかたち

――組織運営で大切にしていることは何ですか?

現在は12名ほどのコアメンバーで活動しています。メンバーの属性は、大企業で中間管理職を務める方と、育児・介護・医療などの専門職が中心です。

組織運営で意識しているのは、各メンバーが自分の強みを発揮できる場面で主役になってもらうことです。企業向けのセミナーではビジネスパーソンの視点が生かされ、自治体向け研修では専門職の知見が前に出る場面が多くなります。

案件ごとに前に立つ人が変わるスタンスを取り、役割を固定しすぎないようにしています。誰か一人が引っ張るのではなく、それぞれがリーダーシップを発揮できる機会をつくることが、組織の活力につながると考えています。

――将来、社会にどのような影響を生み出していきたいですか?

育児・介護・仕事の両立支援において、企業や自治体と一緒に考えるパートナーとしての役割を担いたいと考えています。

人口減少が進む中で、働き方や支援の仕組みは見直しが必要です。

家庭の話を仕事に持ち込まないという従来の価値観を超え、経営層や組織全体の意識変革を後押しする。そのために、育児分野と介護分野の情報をつなぐ存在として、現場と制度の間に立ち続けたいと思っています。

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