若手の国際力で、日本の本当の魅力を世界へ――AlvaJapanが挑むインバウンド観光
AlvaJapan合同会社 代表 伊藤 好生氏
AlvaJapan合同会社は、若手バイリンガルガイドの採用・育成を強みに、訪日外国人向けのツアー・体験を企画・提供するインバウンド企業です。全国の地域事業者との連携や、ガイドのアサインを効率化する独自システムの開発など、「人材・体験・テクノロジー」を掛け合わせながら事業を展開しています。
代表の伊藤好生氏は、自身の海外経験や学生時代からの挑戦を背景に、「若手の国際力で日本の本当の魅力を世界に届ける」というミッションを掲げ、2025年4月に事業を開始し、同年6月にAlvaJapan合同会社を設立しました。
本記事では代表の伊藤氏に、創業の経緯や事業の強み、組織づくり、そして今後の展望について伺いました。
海外経験から生まれたインバウンド事業
――立ち上げに至った経緯をお聞かせください。
もともと上場しているPR会社で約2年間、営業をしていました。
大学時代からバックパッカーとして多くの国や都市を巡っており、海外で出会った友人が日本を訪れた際には、日本を案内する機会がよくありました。
そのたびに、自分たちにとっては当たり前に感じている日本の文化や街並み、食事などが、海外の方にとって非常に大きな魅力を持っていることを実感していました。
2025年4月、本格的にインバウンド市場について調べ始め、旅行会社や体験事業者の方々に話を伺う中で、訪日需要が伸びている一方、英語で日本の魅力を伝えられるガイドや体験コンテンツが不足していることを知りました。
そこで、これまで関わってきた学生起業家や学生団体など、若手人材とのネットワークを活かすことで、日本の魅力をより深く海外の方々へ届けられるのではないかと考え、事業をスタートしました。
――現在取り組まれている事業の特徴や強みはどのような点でしょうか。
強みは大きく3つあります。
1つ目は、商品造成のスピードです。2025年6月に法人登記をしてから、半年間で約30本のツアーをつくりました。
2つ目は、若手を中心としたガイド体制です。約40名のガイドが所属しており、7割が学生、3割が社会人やフリーランスです。若手のバイリンガルガイドを採用・育成し、日本の魅力を自分たちの言葉で伝えられる人材を増やすことに力を入れています。
3つ目は、DX化です。ガイド専用アプリを自社で開発し、案件を半自動的に共有できる仕組みやチャット機能などを整えています。
まずは自社の業務効率化を進めながら、将来的には旅行会社や体験事業者のDXにも貢献できる仕組みへ発展させていきたいと考えています。
若手の国際力で、日本の本当の魅力を届ける
――理念やビジョンには、どのような想いが込められていますか。
当社のミッションは、「若手の国際力で日本の本当の魅力を世界に届ける」ことです。
東京、大阪、京都に観光客が集中する一方で、日本にはまだ世界に十分伝わっていない地方の魅力が数多くあると感じています。
表面的な体験だけではなく、インターネットには出てこないローカルな情報や、日本の精神性、文化がどのように成り立ってきたのかまで伝えることが、日本の本当の魅力を届けることにつながると考えています。
ビジョンとしては、「リアルな日本を届ける挑戦を通じて、世界で通用する人材を輩出する日本最大の登竜門になる」ことを掲げています。
私たちにとってガイドの仕事は、単なるアルバイトではありません。
お客様とのコミュニケーションはもちろん、事前準備や報告・連絡・相談といった社会人としての基礎も含め、実践を通じて成長できる環境をつくりたいと考えています。
AlvaJapanでの経験を通じて、学生が社会に出た後もグローバルに活躍できる土台をつくっていきたいです。
――経営の道に進まれたきっかけや背景を教えてください。
大学時代から、いつか起業したいという思いを持っていました。
経営者交流会への参加や、人材紹介会社でのテレアポ営業、新規事業の立ち上げなどにも関わってきました。
一方で、当時は自分自身の営業力やビジネスの基礎がまだ十分ではないと感じていたため、まずは上場企業に就職し、営業として経験を積むことを選びました。
その後、2025年4月にインバウンド事業について本格的に考え始め、旅行業者や体験事業者の皆様に連絡し、業界の状況や現場の課題について伺いました。
そこで、訪日旅行の需要がある一方、体験コンテンツや、それを英語で届けられるガイドが不足していることを知りました。
そこに、自分たちが持っていた若手人材のネットワークや営業経験を掛け合わせることで、新しい価値を生み出せるのではないかと考え、事業をスタートしました。
120点の体験を目指す組織づくり
――経営判断の軸になっている価値観や信条を教えてください。
1つは、お客様に最大限喜んでいただくことです。
私たちは、100点のツアーや体験ではなく、120点を目指しています。
決められた内容を問題なく提供するだけではなく、お客様一人ひとりの興味や状況に合わせて、期待を超える情報や体験を届けることが大切だと考えています。
母国に帰ったときや友人に日本旅行について話すときに、「このガイドは本当に良かった」「この体験は間違いない」と誰かに紹介してもらえる状態が理想です。
「このガイドと出会えてよかった」と思っていただける体験をつくることを大切にしています。
もう1つは、常にミッションに立ち返ることです。
「若手の国際力で日本の本当の魅力を世界に届ける」。
そのために、若手が実際の現場で価値を創造し、その経験を通じて成長し、これから世界で活躍していくための土台をつくることを大切にしています。
――社内のコミュニケーションで大事にしていることは何でしょうか。
定期的にオフラインで交流会を行っていますし、私自身も現場に出向き、ガイドとは日々コミュニケーションを取るようにしています。
また、ツアー終了後には必ず終了報告を提出してもらっています。
単に「問題なく終わりました」という報告ではなく、良かった点、改善すべき点、次回どのように改善するのかまで考えて書いてもらいます。
ガイドの仕事では、準備力が非常に重要です。
知識を身につけるだけでなく、当日起こり得るさまざまな状況を想定し、それに対してどのように対応するのかを事前に考えておく必要があります。
提出された内容には毎回フィードバックを行い、必要に応じて電話でも確認しています。
一つひとつのツアーを振り返り、次のツアーをさらに良くする。その積み重ねによって、ガイド個人としても、会社としても成長していける組織を目指しています。
挑戦する人とともに、世界で通用する人材を育てる
――採用や育成の際に、一緒に働きたいと感じるポイントはありますか。
まず大切にしているのは、「挑戦してみたい」という気持ちです。
採用では一定の英語力を基準としつつ、それ以上に、その人自身の挑戦する意欲やコミュニケーション力を大切にしています。
カジュアル面談では、これまでどのような人生を歩んできたのか、これから何をやりたいのかといったことまで聞くようにしています。
ガイドとして働く期間だけではなく、AlvaJapanでの経験が、その人の将来につながる環境をつくりたいと考えているからです。
大学を卒業した後、それぞれがさまざまな業界や世界へ進み、活躍するようになったときに、「実は学生時代にAlvaJapanでガイドをしていた」と言ってもらえるような存在になりたいと思っています。
そのため、英語力だけではなく、日本の文化やおもてなしを海外の方々へ届けたいという想いを持った方に参加していただいています。
――今後取り組んでいきたい挑戦や展開を教えてください。
現在の都内でのツアーや体験に加え、今後は全国各地へ事業を展開していきます。
同時に、ガイドのアサインなどを効率化するDXの仕組みづくりと、海外の旅行会社やトラベルエージェントと連携し、訪日旅行のツアーや体験、ガイドなどを手配するランドオペレーター事業の拡大にも取り組んでいます。
北海道から沖縄まで全国60社以上の現地体験事業者や旅行会社と提携しており、地域にある魅力的な文化や体験を、海外の方々へ届けられるネットワークを広げています。
日本には、まだ海外の方々に知られていない魅力が数多くあります。
そうした地方の魅力や文化を発掘し、世界へ届けていくことにも、今後さらに力を入れていきたいと考えています。
現場の声を聞き、地域とともに挑戦を続ける
――今後の課題や、それにどう取り組んでいくかを教えてください。
全国各地でツアーをつくり、DXを進めていく中では、地域の方々との連携がますます重要になると考えています。
また、訪日外国人が増えていく中で、それを支えるガイドの不足も大きな課題です。
そこに対しては、当社の強みである若手の力を活かしながら、ガイドの採用・育成を進めていきたいと考えています。
一方で、私たちだけで事業をつくることはできません。
現地の体験事業者や旅行会社、地域住民の方々、行政の方々など、多くの方と密なコミュニケーションを取りながら進めていく必要があります。
地域には、その場所で長く暮らしている方だからこそ分かる文化や価値があります。
現場の声をしっかりと聞きながら、その地域が本来持っている魅力を大切にし、海外のお客様にも「ここを選んでよかった」と言っていただける体験をつくっていきたいです。
――最後に、お休みの日など、リフレッシュの仕方を教えてください。
仕事とプライベートの境目は、今はあまりないかもしれません(笑)。
朝から晩まで仕事をしていることが多いのですが、ガイドのメンバーと会って話したり、食事に行ったりする時間も好きです。
若手ならではの情報や最近のトレンドを聞くことは、自分にとって大きなインプットになりますし、自分とは異なる視点や価値観に触れることで、新しい発見もあります。
仕事というより、自分自身が刺激をもらえる時間になっています。
一人で気持ちを切り替えたいときには、仕事終わりに1時間ほどサウナに行くこともあります。
短い時間ではありますが、頭をリセットし、また次の日に向けて切り替える時間になっています。