名古屋を起点に広げる――自社管理とITで築く不動産事業

かりるーむ株式会社 代表取締役 鈴木 健一氏

かりるーむ株式会社は、名古屋市を拠点に、自社で所有する賃貸物件の管理・運営を行っています。現在管理する物件は30数カ所に上り、名古屋市内の集合住宅に加え、周辺地域では管理のしやすい戸建て住宅も積極的に取得しています。また、複数のWebサービスの検索結果をまとめて表示する検索エンジンも運営。不動産収入を事業の中心としながら、ITを活用した情報発信にも取り組んでいます。代表の鈴木健一氏に、物件取得の考え方や自社管理の仕組み、仕事で大切にしている価値観、今後の展望について伺いました。

不動産を中心に、検索エンジンも運営

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

収益の中心は、所有している不動産から得る賃貸収入です。物件を自社で購入し、管理物件として増やしていく形で事業を進めています。

もう一つ、複数のサービスから検索結果を集めて表示する検索エンジンも運営しています。例えば、入力されたキーワードをYouTubeや通販サイトなどへAPIを通じて渡し、それぞれから返ってきた検索結果をまとめて表示する仕組みです。

検索結果の画面には広告も掲載しているため、クリックに応じた収益が若干発生します。ただし、検索エンジンは収益の柱というより、会社や不動産事業を知っていただくための入口という位置付けです。売上の大部分は、あくまで不動産事業によるものです。

――検索エンジンをつくったきっかけは何だったのでしょうか。

検索エンジンであれば、多様なニーズに対応でき、IT業界にも参入できるのではないかと考えたことがきっかけです。以前は、IDとパスワードを発行し、利用者に使ってもらうシステムなど、さまざまな仕組みをつくったこともありました。ただ、現在はシステムの改良を外部の方へ依頼することが多くなっています。

今後、AIのAPIが一般的に利用できるようになれば、それを自社サイトへ取り入れることも考えています。AIそのものを一から開発するのではなく、外部の優れた仕組みを活用し、自社のサービスに組み込む形が現実的だと考えています。

名古屋を起点に、次の市場へ

――物件を購入する際は、どのような点を重視していますか。

名古屋市内は物件価格が高いため、市外や周辺地域にも目を向けています。ただし、単に名古屋から離れて価格が安くなる場所を選ぶのではなく、東京や大阪といった大きな都市圏へつながるルート上にある地域を意識しています。名古屋を起点にしながら、比較的安く取得でき、今後の可能性も考えられる地域へ少しずつ広げていく考えです。将来的には関東まで進出できればと思っていますが、距離が離れるほど管理が難しくなります。また、名古屋を拠点とする会社が関東の物件を購入することに対し、金融機関が慎重になる場合もあります。そのため、まずは名古屋から近い地域を押さえ、徐々に東西へ広げていく方針です。具体的な数値目標を設けているわけではありませんが、現在の路線を継続していきたいと考えています。

――周辺地域では戸建てを購入することが多いそうですね。

名古屋市外や東海三県の物件では、戸建て住宅を購入することが多くなっています。戸建ては集合住宅のような共用部分がないため、日常的な共用部の清掃が必要ありません。名古屋から少し離れた場所であっても、比較的管理しやすいことが大きな理由です。

また、建築費や解体費が高くなっている中で、大きな建物は簡単に建て替えられないケースもあります。その点、戸建ては管理しやすく、将来的な対応も考えやすいと感じています。現在の事業の進め方では、戸建てが最も取り組みやすい物件だと考えています。

昔ながらの自社管理を受け継ぐ

――30数カ所の物件を、どのような体制で管理しているのでしょうか。

社内の業務は、基本的に私と事務員の二人で行っています。加えて、物件の共用部分の清掃などを担当してくれる方がいます。その方は簡単な修理にも対応できるため、とても助かっています。それでも対応できない設備の不具合などが発生した場合は、地域の水道業者や電気業者、さまざまな工事に対応できる建設会社などへ個別に依頼しています。水道だけの故障であれば水道業者へ連絡し、複数の箇所にまたがる修理であれば、まとめて対応できる会社へ依頼するという形です。

規模の大きな会社よりも、電話で依頼すれば柔軟に対応してくれる地域の小規模な事業者へお願いすることが多いです。それぞれの得意分野を生かしながら、必要に応じて連携しています。

――仲介会社とはどのように役割を分けていますか。

入居者を募集し、契約につなげる「客付け」の部分は、ほとんど仲介会社にお願いしています。ただし、入居が決まった後の管理は、基本的に自社で行っています。

入居者からの連絡への対応、修理業者の手配、事務処理などが主な業務です。名古屋市内の物件は一定の地域に集まっているため、退去時の鍵は入居者に直接返しに来ていただくこともあります。難しい場合には、現地での受け渡しなど、状況に応じて対応しています。

最近では自社管理を行う大家は少なくなっているようですが、当社は昔から続けてきた方法を現在も引き継いでいます。事務員にお願いしておけば日常の業務はおおむね回るため、現状では少人数でも無理なく運営できています。

入居者に寄り添う大家でありたい

――仕事をする上で、大切にしている価値観はありますか。

大家だけが特別に良い住環境をつくり、入居者との間に大きな差をつけるようなことは、基本的にしたくないと考えています。

例えば、自分だけが安全性の高い場所に住み、入居者には異なる条件の部屋を提供するのではなく、同じような建物の中に自分も住むという考え方です。入居者と大家という立場の違いはありますが、必要以上に差をつけるのではなく、同じ目線で考えたいという思いがあります。

経営者だけが特別な扱いを受けるのではなく、働く人たちと同じ環境にいるという企業の考え方にも共感しています。現実にはすべてを完全に実践できているわけではありませんが、私自身の基本的な発想として大切にしています。

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

もともと、それほど趣味が多い方ではありません。最近は名古屋市外にも物件を購入しているため、現地へ行くことが仕事を兼ねた気分転換になっています。今年は三重県鈴鹿市、昨年は岐阜県に物件を購入しました。物件を見に行く仕事と、少し旅行をするような感覚を組み合わせて過ごしています。

そのほかには、動画を見ることもあります。授業のような学習動画と、アニメなどの気晴らしになる動画を切り替えながら、勉強したり休んだりしています。友人と出かけることもあります。

今後も不動産事業を軸に、名古屋から近い地域の物件を一つずつ増やしながら、将来的には東西、そして関東へと事業エリアを広げていきたいと考えています。

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