親切・丁寧な水道修理を地域へ――「三方よし」で職人とお客様を支えるHLSの経営
株式会社HLS 代表取締役 芝村 潤也氏
株式会社HLSは、水道設備の故障やトラブルへの緊急対応を含む、水道修理を手掛けています。一般のお客様からの依頼が約7割、業者など法人からの依頼が約3割を占め、地域に密着したサービスを展開してきました。創業当初から大切にしているのは「親切・丁寧」であること。そして、お客様だけでなく、現場で働く職人にとっても良い会社であることです。今回は代表取締役の芝村潤也氏に、事業の特徴や経営における価値観、職人への思い、今後の展望について伺いました。
目次
地域密着だからこそ実現できる、安心して相談できる水道修理
――現在の事業内容について教えてください。
当社では、水道設備の故障やトラブルに対する水道修理を中心に行っています。緊急対応も含め、一般のお客様が約7割、業者などのお客様が約3割という割合です。平たく言えば、地域の方々の水回りの困りごとに対応する水道修理会社ですね。
――事業の特徴や強みはどのようなところにありますか。
水道修理は、商品を販売する場合とは違い、あらかじめ一律の価格を決めることが難しい仕事です。トイレの詰まりなど、ある程度費用をお伝えできるものもありますが、実際に現場を見なければ原因や必要な作業が分からないケースもあります。そのため、お客様にとって「いくらかかるか分からない」という不安は大きいと思います。
当社では、その不安を少しでも減らすために、原因調査と見積もりを無料で行い、金額をご提示してから依頼するかどうかを判断していただいています。その分、人件費や移動費などのコストがかかるため、対応エリアをあえて狭くしています。移動コストを抑えることで、お客様が相談しやすい仕組みを維持しているのが特徴です。
――会社として大切にしている理念を教えてください。
「地域のお客様にとって、一番親切で丁寧な会社でありたい」ということです。これは創業当初から変わりません。とにかく親切に、丁寧に仕事をする。その姿勢は今でも常に意識しています。
自分の考える仕事を実現するために選んだ経営の道
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともと経営者になりたいと思っていたわけではありません。以前から建築や住宅関係の仕事に携わっていましたが、会社に勤めていると、自分が「こうしてみたい」と思うことを自由に実現するのは難しい面があります。リスクはあっても、自分の考えで仕事をしてみたいと思ったことが独立の一番の理由です。
2008年に個人事業として始め、2009年に法人化しました。経営者になること自体が目的だったというより、この仕事を続ける中で法人の方が運営しやすいと考えた結果です。
――現在の仕事につながった背景についても教えてください。
祖父の代から職人の家系で、祖父と父は屋根工事の仕事をしていました。私自身もその流れで屋根工事に携わっていましたが、途中で腰を痛めたことをきっかけに、不動産会社で住宅販売の仕事をするようになりました。
その後、設備の仕事を覚えたいと思い、関連する会社に勤めたことが現在の事業につながっています。仕事内容は変わっても、ずっと住宅や建築に関わる業界で仕事をしてきました。
お客様も職人も会社も良くなる「三方よし」
――経営判断の軸になっている価値観は何でしょうか。
社名の「HLS」は、「Human」「Life」「Support」を組み合わせたものです。地域の方々の生活上のトラブルを支える仕事だからこそ、「人の役に立ちたい」という思いを込めています。
経営で最も大切にしているのは「三方よし」の考え方です。お客様に喜んでいただくことはもちろんですが、サービスを提供する職人が苦しい思いをするような状態ではいけません。職人も適正な対価を受け取り、「やって良かった」と思える状態にする。お客様、働く人、会社の全てにとって良い形を目指しています。
――特に、働く人に対して大切にしていることはありますか。
現場の人たちが、いかに働きやすい環境をつくれるかは非常に重要だと考えています。私自身も現場を経験しているので、現場で働く側の気持ちはよく分かります。
会社にとって売上や利益はもちろん大切ですが、それを生み出してくれる現場の人たちが働きにくければ、長く続けることはできません。「三方よし」の中でも、最近は特に働く側が無理なく仕事を続けられる環境を重視しています。
現場の声を生かし、職人の価値を高めていく
――社内のコミュニケーションでは、どのようなことを意識していますか。
現在、現場では5名程度の職人が契約社員として働いています。月に一度ほど皆で集まり、仕事の話や現場で起きたことを共有する機会を設けています。
現場で直接お客様とやり取りしている職人の話は、まさに生の情報です。お客様の変化や社会の状況、景気の良し悪しなども、現場だからこそ感じられる部分があります。そうした声を直接聞くことを大切にしています。
――今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
全く新しいことを始めるというより、今の仕事の中で職人の力をより生かし、仕事の質を高めていきたいと思っています。
最近は、「ブルーカラー」の仕事がこれからさらに重要になると感じています。AIに置き換えられる仕事が出てくる一方、水道工事や大工、屋根工事のように、人が現場で作業しなければできない仕事があります。さらに当社の仕事では、お客様と会話し、状況を説明した上で適切に施工する力も必要です。ただ体を使うだけではなく、技術力とコミュニケーション力を備えた職人の質を高め、その力を社会に提供していきたいですね。
体を動かしながら、いつかの復帰に備える
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
これといった趣味があるわけではありませんが、最近はジョギングやウォーキング、軽いウエイトトレーニングなどで体を動かしています。
もともと空手や体術のような格闘技もしていましたが、最近は忙しくてなかなかできていません。いつかまた復帰できる時のためにも、体だけは鍛えておこうと思って続けています。決まった定休日はありませんが、疲れた時には休むようにしています。
――会社としての今後の展望を教えてください。
会社をむやみに大きくしたいとは考えていません。人数が増えれば人件費も増え、その分たくさんの仕事を取らなければならなくなります。また、私自身が直接やり取りできる人数にも限界があり、経験上、5〜6人程度が一つの目安だと感じています。
一方で、最近は不動産会社やビル管理会社など、法人のお客様から声をかけていただく機会も増えています。必要に応じて人数を増やし、法人案件の割合を少し高めていくことは選択肢の一つです。
規模や利益だけを追うのではなく、自分がやりたい方法を守りながら、どれだけ長く事業を続けていけるかを大切にしています。形を大きく変えず、自分たちのスタイルで末永く生き残っていくことが目標です。