顧客視点と時代の変化を捉え、法務の可能性を広げる――「すべての法務活動の障壁をなくす」未来
GVA TECH株式会社 代表取締役 山本 俊氏
GVA TECH株式会社は法務向けにSaaSとコンサルティング、企業の法務関連手続きをオンラインで支援するサービス、法律事務所向けのサービスという3本柱で事業を展開しています。AIの進化をいち早く捉え、裁判書類の自動作成など新たなサービスにも取り組んでいます。今回は、代表取締役の山本氏に、事業を始めた背景や経営において大切にしている価値観、組織づくり、今後の展望について伺いました。
目次
「顧客視点」を軸に、法務の可能性を広げる
――現在の事業内容について教えてください。
現在は大きく3本柱で事業を展開しています。
1つ目が、法務向けSaaSの「OLGA(オルガ)」と、それを活用したコンサルティングです。案件管理やAI契約レビュー、締結後の契約書管理などの機能を提供するとともに、SaaSだけでは解決できない課題については、汎用的なAIツールなども組み合わせながら支援しています。
2つ目は、中小企業向けに法務手続きの支援を行うオンラインサービスです。本店移転や役員変更などの変更登記、商標の取得、会社設立後に必要となる労務関係の届け出など、専門家に依頼したり、自分で法務局へ行ったりする必要がある手続きをオンラインで簡単にできるようにしています。
3つ目は法律事務所向けの事業です。法律事務所の専門商社としてさまざまなサービスを提供しています。中でも特徴的なのがAIを活用して裁判書類を自動作成するサービスです。AIの発展によって実現できるようになったもので、弁護士向けに提供しています。
このように、法務に関わるさまざまな課題に対して、SaaSやAI、オンラインサービスなどを活用しながら、それぞれに合った形で支援しています。
時代の変化を捉え、スタートアップ支援からAIへ
――GVA 法律事務所を立ち上げた背景には、どのような思いがあったのでしょうか。
GVA 法律事務所を作ったのは2012年です。スタートアップを支援するような事務所を作りたかったことが、一番大きな理由でした。もともとスタートアップの支援に関わる機会が多く、そこにやりがいを感じていたんです。
――その後、GVA TECH株式会社の設立につながった経緯を教えてください。
法律事務所では、シンガポールやマレーシア、インドネシアなど海外の事業にも取り組み、私自身もシンガポールに半年ほど住んでいました。
日本に戻る頃、囲碁や将棋などでAIが人に勝つようになり、AIの可能性に注目するようになりました。「AI技術を使えば、これまでサービスが行き届かなかった人たちにも提供できるのではないか」「弁護士自身の業務効率化にもつながるのではないか」と考え、調べ始めたことが現在の事業につながっています。
その後、2017年にGVA TECH株式会社を設立し、GVA 法律事務所と会社の両方を運営する形になりました。
「顧客視点」を軸に、変化の先を見据える
――経営判断をする際に大切にしていることは何でしょうか。
基本的には顧客視点です。お客様に役立つプロダクトを作って、届けていきたいという思いがあります。
経営という意味では、もう一つ大事なのが時代の流れです。私は「外部環境の変化」という言葉をよく使います。
法律事務所時代の話にはなりますが、スタートアップや東南アジアの領域に入ったのも、技術の変化や市場の変化を考えた結果でした。日本は少子高齢化によってマーケットが小さくなっていく可能性がある一方、若い人が多く、今後人口が増えていくアジアには可能性があると考えました。その後、AIの変化がさらに大きいと感じ、AIの領域に進みました。一定程度、変化を先回りすることは意識しています。
――経営をする中で、特に達成感を感じるのはどのような瞬間ですか。
お客様が成果を出されたときに、喜びや達成感を感じます。自分たちが何をするかということ以上に、お客様にとってうまくいっているかどうかを大切にしています。
自由な環境から、より強い組織へ
――社員の皆さんと接する際に、心がけていることはありますか。
あまり特別なことはしていませんが、分け隔てなく、特に戦略性も持たずに接しています。1年目や2年目の社員でも、上のレイヤーの人でも、分け隔てなくコミュニケーションをとっています。
社員から見ても、社長室にずっとこもっているというより、社内に出てきたり、他の事業部の定例に参加したりすることが多いので、常に現場にいる人として動いています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
「お客様視点」で見る思考を持っている人です。エンジニアやビジネスサイドなど、さまざまな人の採用に関わりますが、どの職種の採用でもお客様視点を持っているかどうかを見ています。
顧客視点がベースにないと、思考がずれていってしまうと感じているからです。もちろん、お客様視点と会社視点が相反する場面もありますが、それでもお客様に役立つことを考える姿勢は大切にしています。
「自由」だからこそ、事業を形にする面白さがある
――社内の雰囲気について、どのように感じていますか。
決まりきったルールなどは細かく決められていないですが、やるべきことをやる、やりきるということを大事にする雰囲気があります。自由だからこそ大変な部分もありますが、面白いところもあると思います。
新しく事業を立ち上げることもありますし、既存の事業でも新しいプロダクトを立ち上げることがあります。まだ形になっていないものを一つひとつ固めていくことが、これからのテーマだと思っています。
AIを起点に、新たな事業を素早く形にする
――今後の展望について教えてください。
基本的には現在の3本柱を軸に新しいサービスも検討しながら「法とすべての活動の垣根をなくす」という方針を実現していきたいです。法律関係の活動は幅広いので、時代の変化に合わせてサービスを拡大していきたいと考えています。
これからも「法とすべての活動の垣根をなくす」という軸を大切に、時代の変化を捉えながら新しいサービスを生み出していきたいと考えています。顧客視点を忘れず、お客様に価値を届けていきたいと思っています。