誠実に制度と人に向き合う――圏友協同組合が大切にする外国人材支援と信頼づくり

圏友協同組合 専務理事兼事務局長 平井 勝行氏

圏友協同組合は、外国人技能実習生の受け入れ斡旋事業を中心に、特定技能外国人の紹介、共同購買、高速道路事業におけるETCの取り扱いなどを行っています。現在は建設業の組合員が約7割を占める一方、製造業や介護など異業種にも広がっています。外国人材を単なる労働力として捉えるのではなく、制度の本質に誠実に向き合い、本人との信頼関係を築くことを重視してきました。今回は、専務理事兼事務局長として組合運営を担う平井勝行氏に、事業の特徴や組織づくり、制度改正への対応、今後の展望について伺いました。

外国人材との信頼関係を築くことから始める

――現在の事業内容について教えてください。

中小企業協同組合という性質上、複数の事業を行っていますが、中心となっているのは外国人技能実習生の受け入れ斡旋事業です。また、それに付随して特定技能の外国人材も紹介しています。そのほか、共同購買や高速道路事業でのETCの取り扱いなども行っていますが、現在の主軸は外国人材に関する事業です。

もともとは建設業に特化した組合としてスタートしました。現在も組合員の約7割は建設業ですが、残りの約3割は製造業や介護など、建設業以外の企業です。徐々に異業種の企業にも賛同いただき、組合の領域が広がってきました。

――外国人材支援において、大切にしていることは何でしょうか。

技能実習制度には国際貢献や技能移転という目的があります。一方、実際には人材確保という側面もあると感じています。私たちは、ただ外国人労働者を確保するためだけにこの事業に向き合うのではなく、制度の本質を大切にしながら、外国人材本人が制度の中でより良い経験を得られるよう支援することを重視しています。

その一つが、入国後1カ月間の講習を外部委託せず、自分たちで行っていることです。日本語を教えるだけではなく、日々コミュニケーションを取りながら一人ひとりの性格を知り、信頼関係を築いてから企業へ配属します。配属後に初めて担当者と会うのでは、相談できる関係になるまで時間がかかります。だからこそ、この1カ月をとても大切にしています。

また、正職員として複数の通訳を配置し、相談相手を選べる環境も整えています。たとえばベトナムでも地域によって文化が異なりますし、インドネシアでも出身地域による違いがあります。外国人材が相談しやすい環境をつくることは、私たちの仕事に欠かせないと考えています。

明るさとコミュニケーションを大切にする組織づくり

――現在の組織構成について教えてください。

本部は埼玉県所沢市にあり、常勤職員が25名います。大阪の事業所には5名がおり、私を含めた常勤のメンバーに加え、非常勤役員4名という体制で運営しています。

――採用では、どのような方と一緒に働きたいと感じますか。

大切にしているのは「明るさ」です。ただ明るければいいということではなく、自分が好きなことや、やりがいを感じることを楽しそうに話せる人ですね。その人がどんなことに喜びを感じるのかが見える方とは、一緒に働きたいと感じます。

私たちの仕事では、一人で自分の業務だけを終わらせればいいわけではありません。周囲との調整やコミュニケーションが非常に重要です。そのため、真面目に淡々と仕事だけをこなすというより、人と関わりながら仕事を進められる方が、組合のカラーにも合っていると思います。

制度改正を見据え、新たな分野へ可能性を広げる

――今後、注力していきたい分野を教えてください。

建設業は今後も大切な分野ですが、伸び代として考えているのは建設業以外です。特に製造業や飲食業などの組合員を増やしていきたいと考えています。

外国人材の側から見ると、建設業よりも工場など室内で働く仕事のほうが人気があります。私たちはこれまで、比較的人材を集めることが難しい建設分野で受け入れを続けてきました。その経験があるため、製造業などでニーズがあれば、人材を集める力は強みになると考えています。

今後、育成就労へ制度が変わる中で、倉庫業など新たな領域にも可能性が広がると見ています。日本側にニーズがあることも感じているため、制度の動きを見ながら対応できる幅を広げていきたいです。

――現在、特に向き合っている課題は何でしょうか。

最も大きいのは制度改正への対応です。法改正があれば、昨日までの運用が大きく変わることもあります。そのため、いち早く情報を把握し、自分たちの実務へ落とし込み、組合員の皆さまへできるだけ早く伝えることが重要です。

新制度では日本語教育の体制にも変化があり、日本語教員の資格を持つ人材の確保も課題になっています。有資格者が少なく、採用条件を見直す必要も出てきました。一方で、資格の有無だけではなく、外国人材が楽しく学べる授業を提供できるかという点も大切にしたいと考えています。

また、組合員からいただく監理費についても、設立以来一度も値上げをしていません。新制度によって業務内容が変わる中で、価格転嫁も検討する必要があります。ただし、まずは制度がどう変わり、私たちが何を行うのかを丁寧に説明し、理解していただくことが先だと考えています。

「誠実」を判断の軸に、外国人材の未来に向き合う

――経営や組合運営で、譲れない価値観はありますか。

一番大切にしているのは「誠実」であることです。隠し事をしない、嘘をつかない、言いづらいことであっても必要なら伝える。それが誠実さだと思っています。その場では厳しい話でも、時間が経って「あの時言ってくれて良かった」と思ってもらえることがあります。

料金についても、一部の企業だけを特別扱いすることはしていません。紹介によって組合員が広がってきたからこそ、企業によって対応を変えてしまえば、職員も説明ができなくなります。誰に対しても同じ姿勢で向き合える状態を守ることは、信頼を積み重ねるうえで大切です。

――この事業を通じて、どのような未来をつくりたいですか。

日本に来る外国人材には、お金を稼ぐことだけではなく、日本でさまざまな価値観や文化の違いを経験してほしいと思っています。日本では当たり前のことが、別の国では当たり前ではありません。逆に、日本人の当たり前を外国人の目線から見ると、不思議に映ることもあります。

だからこそ、一方的に日本の価値観を押し付けるのではなく、相手の立場から考えることを大切にしています。日本で学んだことを母国に持ち帰り、それが本人や周囲にとって少しでも良い変化につながる。そうした人を一人でも多く増やしたいですね。そのために私たちに何ができるのかを、これからも考え続けていきたいと思っています。

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