「違う」からこそ、新しい可能性が生まれる――外国人材とともに築く日本とネパールの架け橋
株式会社Glowing Partner 代表取締役 上中 豪氏
株式会社Glowing Partnerは、外国人専門の人材紹介や労働者派遣事業を中心に展開しています。社員は上中豪氏を除いて全員が外国人で、その多くをネパール人が占めています。さらにネパールにも現地法人を設立し、日本語教育や職業訓練を通じた人材育成にも取り組んでいます。「違うからいいと思える社会に」という理念を掲げる上中氏に、外国人材事業への思い、経営判断で大切にしていること、そして日本とネパールをつなぐ今後の展望について伺いました。
目次
「違い」を可能性に変える外国人材ビジネス
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社は、外国人専門の人材紹介と労働者派遣事業を中心に行っています。社員は私以外全員外国人で、派遣スタッフを含めるとネパール人が約95%を占めています。これまで8年以上、外国人材の派遣、特にビルクリーニング・清掃分野の人材派遣に継続して取り組んできました。
私自身は国家資格のキャリアコンサルタントでもあるため、専門学校などで留学生向けの就職活動に関するセミナーを行ったり、北海道の補助事業に関わる就職活動セミナーを担当したりすることもあります。
また、昨年にはネパールに現地法人を設立しました。現地では日本語教育や職業訓練を行い、人材を育成したうえで、特定技能などの在留資格を活用して日本企業への紹介につなげています。
――御社ならではの強みはどのような点にありますか。
長年ネパール人と一緒に事業を続けてきたことで、外国人材をどのようにマネジメントするのか、どのようにコミュニケーションを取るのかといったノウハウが蓄積されていることです。自分たち自身が試行錯誤してきた経験だからこそ、企業にも実践的な形で提供できると考えています。
また、日本国内外で就職活動スクールも運営しているため、企業側だけでなく求職者側にもサービスを提供できる仕組みがあります。当社では求職者側にもサービスを提供することで収益源を分散できます。その分、企業に対する紹介手数料などを抑えられることも一つの特徴です。
「違うからいいと思える社会に」を自ら証明する
――企業理念には、どのような思いが込められていますか。
当社では「違うからいいと思える社会に」という企業理念を掲げています。外国人と一緒に働けば、文化や考え方が違うため、マネジメントが難しくなる場面もあります。「違う」ということ自体がネガティブに捉えられることもあります。
ただ、私は違いがあるからこそ、新しいチャンスや可能性が生まれると思っています。自分とは違う視点を持つ人がいることで、自分には見えていないものを見てもらえることもある。そうした「違いの価値」を、日本企業をはじめ多くの方に感じてもらいたいという思いで事業を続けています。
失敗を経て見つけた、経営判断の軸
――経営者を目指したきっかけと、これまでの経歴を教えてください。
祖父が経営者だったことが原点です。私が暮らしていた家の1階が祖父のオフィスだったため、小学生の頃から毎日のようにその姿を見ていました。いずれ自分も経営者になりたいという思いは、その頃から持っていました。
大学では九州大学の理系で農薬に関する研究をしており、新卒で農薬の研究員を5年ほど経験しました。その後、東京で農薬の営業を2〜3年経験し、一度目の独立をしました。初年度には大きな利益が出たものの、目の前のお金を追うような事業になり、最終的には倒産しました。
その後、外国人材ビジネスの新規立ち上げを行う会社に迎えていただいたことが転機です。そこで約3年間経験を積み、2018年にもう一度独立しました。
――経営判断で大切にしていることは何でしょうか。
会社にとって、社員にとって、そして自分にとって「成長の機会になるかどうか」は一つの判断軸です。一度目の独立では目の前の売上やお金ばかりを追って失敗しました。その経験があるからこそ、今は短期的な利益だけではなく、将来につながるかどうかを考えています。
もう一つは、利益と貢献のバランスです。まず相手の役に立てるのか、誰かに貢献できるのかを考える。そのうえで事業として利益を生み出す。この両方のバランスを整えることが、ビジネスだと思っています。
外国人組織だからこそ「具体的に伝える」
――社内コミュニケーションで意識していることを教えてください。
できるだけ具体的に表現することです。外国人とのコミュニケーションでは、言葉だけでなく文化やバックグラウンドも違います。そのため、同じ言葉でも受け取り方が異なる場合があります。
曖昧な言葉をできるだけ避け、言葉の意味を定義することを意識しています。組織運営において、まず言葉の定義をそろえることが第一歩だと考えています。
――一緒に会社を支えてくれる人との関係について、どのように考えていますか。
現在、創業当初から一緒に働いてくれているネパール人のメンバーがいます。2018年、まだ売上も何もない頃から支えてくれました。コロナ禍で会社が厳しい状況にあり、十分な給与を払えない時期も含めて、一緒に苦難を乗り越えてきた存在です。同じような関係を今からもう一度つくろうとしても、簡単にはできないと思っています。
日本とネパールをつなぐ「信頼の橋」をつくる
――今後、挑戦していきたいことを教えてください。
昨年ネパールに現地法人を設立し、創業時から思い描いていた一つの中間目標に近づいています。今後は私自身がネパール側に入り、日本人である私がネパールにいて、日本側にはネパール人のメンバーがいるという体制をつくりたいと考えています。
外国には日本人がいて、日本には外国人がいる。その形そのものが、日本とネパールの信頼や信用をつなぐ架け橋になると思っています。目に見えない「信頼の橋」を、目に見える形にしていきたいです。
変化を受け入れながら、周囲の幸せをつくる
――経営の中で、譲れない思いはありますか。
自分の周りにいる人、特に社員を幸せにしたいという思いは強くあります。そのためには社員の成長も必要ですし、会社として利益を出し、事業を育てていかなければなりません。人を大切にすることと、利益を生み出すことは、どちらか一方だけでは成り立たない。その矛盾の中でバランスを取ることが経営だと思っています。
また、変化を拒まないことも大切にしています。強さや賢さだけではなく、変化に対応できることが生き残るためには重要だという考え方があります。
――休日や日々のリフレッシュ方法を教えてください。
週に3〜4回ほど、朝7時からジムに通っています。サウナも利用していて、汗をかくことでストレスも一緒に流れていくような感覚があります。朝に運動してから仕事を始めることで、自分の生活や仕事のリズムを整えています。
「違う」ということは、決して悪いことではありません。むしろ、自分と違う人がいるからこそ、自分には見えないものを見てもらえる。違いの中にこそ、新しい可能性があると思っています。外国人雇用を一つのきっかけとして、そうしたことを多くの方に感じてもらいたいです。