介護と音楽をつなぎ、一人ひとりが輝ける居場所へ――翔が描く新たな福祉のかたち
合同会社翔 代表 安原 有花氏
合同会社翔は、介護事業の居宅介護支援事業所を軸に、音楽エンターテインメント文化事業へ活動の幅を広げています。代表の安原有花氏は、一人で事業所を運営しながら、ケアマネジャーとして利用者や家族を支援する一方、「歌うケアマネシンガー」として歌を届けてきました。独立から7年目を迎えた現在、福祉と音楽を結びつけ、「私とあなたの輝く居場所」を広げることを目指しています。本記事では、安原氏に、独立までの歩みや事業に込めた想い、今後の挑戦などについて伺いました。
福祉と音楽で「輝ける居場所」をつくる
――現在の事業内容について教えてください。
現在は、居宅介護支援事業所を私一人で運営しています。在宅で暮らす高齢者の方などが介護保険サービスを利用するための申請や手続き、ケアプランの作成を行い、住み慣れた場所で生活を続けられるよう支援しています。
また、2026年8月からは、新たに音楽エンターテインメント文化事業も始めました。私は以前、プロの歌手を目指して活動していた時期があり、2年ほど前から「歌うケアマネシンガー」として、さまざまな場所で歌わせていただいてきましたが、今後も介護だけでなく、歌や音楽を通じて、その方が生き生きと輝ける居場所をつくっていきたいと考えています。
――会社名や理念には、どのような想いが込められていますか。
当社では、「一人ひとりが自分らしく輝き、安心できる居場所を持ち、未来へ向かって翔いていけるように」という想いを大切にしています。
「翔」という文字には、「未来へ向かって大きく翔く」という願いを込めました。そして私にとって「翔」は、3人の息子たちの名前にも共通する大切な文字です。
これまで介護の仕事を通して、多くの方々の人生に寄り添ってきました。そのなかで、人が安心して暮らしていくためには、支えてくれる人とのつながりや、「ここにいていい」と思える居場所がとても大切だと感じています。
これからは介護だけでなく、音楽や文化、エンターテインメントを通しても人と人をつなぎ、笑顔や生きがい、自分らしく輝ける時間を届けていきたいです。
介護を通して寄り添うこと、音楽を通してつながること、文化やエンターテインメントを通して輝くこと。それぞれの活動を大切にしながら、一人ひとりの人生がより豊かになるお手伝いをしていきたいと思っています。
「翔く・輝く・繋がる。」という想いのもと、人と人とのつながりを大切にしながら、未来へ向かって新しい挑戦を続けていきます。
自分らしい働き方を求めて――家族の後押しで踏み出した独立
――独立に至った経緯を教えてください。
大学卒業後はアパレル関係に就職し、その後、医療事務の資格を取得して大学病院の医局秘書などの仕事をしました。当時は仕事と並行して歌手を目指して活動していましたが、よさこい結婚と子育てを機に、一度歌から離れています。
3人の息子が保育園に入る頃、再び働こうと考え、ヘルパーの資格を取ったことが福祉の仕事に入るきっかけでした。その後、介護福祉士やケアマネージャーの資格を取得し、施設など複数の現場で実務経験を重ねました。
ケアマネージャーの仕事はとても好きでしたが、3人の息子を育てながら正社員として勤務を続けることには大変さもあり、周囲の皆さんの理解や協力も必要でした。一方で、働く環境を変えるために転職を繰り返すことは、できるだけ避けたいという気持ちもありました。
そんななかで、以前から「いつかは独立したい」と思っていたことを改めて思い出したんです。家族からも、「以前から独立したいと言っていたよね」と背中を押してもらい、自分らしい働き方を実現するために独立を決断しました。不安もありましたが、かなりの勇気を持って踏み出した一歩でした。
――独立する際、不安はありませんでしたか。
コロナ禍でもあり、本当に利用者の方が来てくださるのかという不安はありました。ただ、前の法人で担当していた10数名の方が、独立後も私を信頼してついてきてくださったんです。その存在が大きな支えになりました。
独立後は営業や交流会、研修会、セミナーなどに積極的に参加し、自分や会社のことを発信してきました。その結果、福祉に携わる仲間との横のつながりが増え、今では相談できる方や支えてくださる方がたくさんいます。現在は新規のご依頼も、担当している方や知人からの紹介で自然に広がるケースが多くなりました。
一人だからこそできる、柔軟で身近な支援
――仕事をするうえで譲れないことは何ですか。
利用者の方やご家族にとって、いつでも相談できる身近な存在であることです。一人で運営しているからこそ、柔軟に対応できる体制を大切にしています。
利用者の方やご家族には、LINEやSNS、チャット、メールなどで「いつ連絡していただいても大丈夫です」とお伝えしており、気づいた際には対応するほか、必要に応じて土日祝日に動くこともあります。
もちろん、制度の範囲内で対応することが前提です。そのうえで、不安や心配を抱えたときに気軽に連絡していただける関係を築きたいと考えています。
一人で運営する大変さはありますが、臨機応変に柔軟に動けることは、自分だからこそ提供できる支援の一つだと思っています。
――今後、一緒に働く人を迎えるとしたら、どのような点を重視しますか。
相手のことを考えながら話せるかどうかです。価値観は一人ひとり違うからこそ、きちんと話し合い、相手がどのように感じるかまで考えて接する姿勢が大切だと思います。加えて、素直に話せる関係であることや、人を悪く言わないことも重視したいですね。
やりたいことは諦めない――音楽と福祉の可能性を広げる
――今後、どのような会社を目指していきたいですか。
介護と歌や音楽は一見すると異なる分野に見えるかもしれませんが、私のなかではどちらも「その人が自分らしくいられる居場所をつくる」という点でつながっています。
これまでケアマネジャーとして培ってきた経験と、自分自身が好きな歌や音楽を掛け合わせながら、介護という枠だけにとらわれず、一人ひとりが自分らしく輝ける居場所を広げていきたいです。福祉と音楽、それぞれの経験を活かしながら、合同会社翔だからこそできる形をつくっていきたいと思っています。
――今後、挑戦していきたいことについてもお聞かせください。
これからは、音楽エンターテインメント文化事業をさらに広げていきたいです。現在は音楽健康指導士の勉強をしており、歌を聴いていただくだけでなく、一緒に歌ったり身体を動かしたりしながら、皆さんが元気になれるような活動につなげたいと思っています。今後は関連する資格の取得も進め、セミナーやイベント、教室などにも展開していく予定です。
また、オリジナル曲を制作してラジオやライブで歌うことや、ピアノを弾けるようになって弾き語りに挑戦することも考えています。将来的には、息子たちが自立したタイミングでケアマネジャーとしての業務を少し調整し、音楽やエンターテインメントの活動にも、より力を注いでいきたいですね。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
私自身、一度は歌手になる夢を諦めました。それでも時間が経ってから再び歌う機会をいただき、今では歌うことが仕事にも生きがいにもつながっています。だからこそ、やりたいことは年齢に関係なく、タイミングが来たときに挑戦できると伝えたいです。
諦めずに自分のやりたいことへ進めば、そこから新しいご縁も生まれていくと思います。私自身も挑戦する姿を発信しながら、福祉と音楽を通じて、一人ひとりが自分らしく輝ける居場所をつくり、これからも皆さんと一緒に羽ばたいていきたいです。