人はまだ進化できる、学生人材の育成とAIの社会実装に挑むGugen株式会社
Gugen株式会社 代表取締役 郷 由稀斗氏
筑波大学に在学しながら、10歳から培ってきたプログラミング経験を活かし、AI領域で事業を展開するGugen株式会社の郷氏。大学1年生の頃にAI関連の受託を個人事業として始め、より多くの企業へAIを届けるために組織化を進めました。現在はAI受託と人材育成を軸に、学生をAIネイティブな人材へ育成し、企業のAI活用を支援しています。起業に至った経緯や、組織づくりで大切にしていること、今後の展望について伺いました。
目次
「人はまだ進化できる」を掲げ、具現化を支援する
――現在の事業内容について教えてください。
当社の事業は大きく2つあります。1つはAIの受託事業です。AIの学生団体も運営しており、そこで大学生をAIネイティブな人材に育成し、企業や経営者のもとへ、付き人のような形でアサインしています。
学生を育成するためのツールについては、特許を取得済みです。私自身の業界知識に加え、フリーランスやエンジニアの方へのヒアリングも踏まえて項目を設計しており、一定の質を担保したAIネイティブな人材を育成できることが強みだと考えています。
もう1つは、タマゴ型の瞑想ポッドの開発です。AI受託とは異なる領域ですが、フィジカルAIのような分野にも取り組んでおり、現在はこの2軸で事業を進めています。
――社名や理念には、どのような思いを込めていますか。
Gugen株式会社という社名には、「AIでアイデアを具現化する」という思いを込めています。AIの普及によって、「この業務はAIにできるかもしれない」とイメージできる人も増えてきました。
一方で、実際に形にしようとすると、エンジニアリングの知識やセキュリティへの不安などが壁です。そうした懸念を当社が支援によって取り除き、アイデアをAIで形にしていきます。それを「具現化」することが、当社の理念です。
起業ありきではなく、日本全国にAIを届けるために組織をつくる
――これまでのキャリアについて教えてください。
現在は筑波大学の4年生で、プログラミングは10歳から始めています。大学1年生の頃から、個人事業のような形でAI系の受託を始めました。
2023年当時は、ChatGPTが世に出て間もない頃です。まだAIという言葉が今ほど浸透していない時期でしたが、私はその可能性を強く感じ、社会実装を進めていこうと考えました。
――起業のきっかけは何だったのでしょうか。
最初から起業したいと思っていたわけではありません。個人事業の頃は、月に8案件ほどを1人で担当し、営業も開発も自分で行う状態でした。
ただ、日本全国にAIを届けるのであれば、1人で何でもこなすのではなく、きちんと組織をつくって人数を増やす必要があります。そこで組織づくりを始め、社風や雰囲気づくりにも意識を向けるようになりました。その積み重ねによって、現在の組織という形になっています。
――経営のなかで大切にしている価値観を教えてください。
少し変わった表現かもしれませんが、「仁義」を大切にしています。AIの時代だからこそ、人と人とのつながりはとても重要だと考えているからです。
それぞれの出会いは、意図すれば簡単に生み出せるものではありません。だからこそ出会いを大切にし、それを裏切るようなことはしたくないと考えています。当社のメンバーにも、関わる相手にも、仁義を尽くして向き合うことが、私の大切にしている姿勢です。
「熱狂」と最初のアクションを大切にする組織づくり
――現在の組織体制について教えてください。
業務委託のメンバーは、およそ15人が常時入れ替わりながら関わる体制です。また、学生団体では、当社のメンバーとしてではなく、サブプロジェクトのような形で、学生がやりたいことに対して当社が資金を渡し、挑戦してもらう取り組みも行っています。そうした活動が、今後当社の取り組みにもつながっていけばよいという考えです。
――社内コミュニケーションで意識していることはありますか。
全員が学生というわけではありません。月に1回は同じ場所に集まり、話し合う機会を設けています。
AIは特に進歩が速いため、社内で情報格差が生まれないようにすることが重要です。最新情報をどのようにキャッチアップしていくかといった点も含め、定期的に共有するようにしています。
受託で得た知見を活かし、横断的なAI推進へ
――今後、どのような展開を考えていますか。
これまでAI受託を通じて、製造業や漁業を始め、さまざまな業界のドメイン知識を学んできました。そのなかで、それぞれの業界が抱える課題も見えてきています。
これまでは1社ずつ受託でつくり込んでいましたが、それだけでは日本全国にAIを広げるには時間がかかります。そこで現在は、BPaaS的なツールをつくり、横串でAI推進を進められる体制を整えているところです。ここが今後の新しい動きになっていくと考えています。
――現在感じている課題を教えてください。
まだメンバーが少ないこともあり、営業面を十分に強化できていないことは課題です。また、製造業や地方企業に伺う機会も多いため、そうした企業への販路拡大については、当社自身も学びながら進めていきたいと考えています。
――現在、特に投資している分野はありますか。
AIネイティブな人材を育てるため、学生団体への投資が重点分野です。AIは、大学生が使うか社会人が使うかという属性よりも、どれだけAIに精通し、うまく指示を出せるかによってアウトプットが変わります。
そのため、大学生にもわかりやすいカリキュラムを組み、育成に集中的に取り組んでいるところです。OJT型で経験を積めるようにしながら、一定の質を担保するための育成ツールも自分たちでつくってきました。
車と研究がつながる、リフレッシュの時間
――仕事以外で関心を持っていることを教えてください。
車がとても好きで、F1も見ています。現在所属している研究室では、車関係の研究にも取り組んでいるところです。
また、実際に自分で車を走らせながら実験をすることもあります。その一方で、ドライブそのものを楽しむ時間もあり、研究と好きなことがつながっています。車を走らせることは休日の楽しみであり、私にとってのリフレッシュにもなっています。
――今後、どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
何かしら、自分のなかに「熱狂」がある人です。本当にやりたいことがあれば、最低限調べたり、ロボットであれば秋葉原に行っていろいろ見てみたりと、何かしらのアクションを起こしていると思います。そのワンアクションを起こせた人を、当社は全力でフォローしていきたいです。