品質へのこだわりで未来を切り拓く――アイニックスが描く自動認識技術とAIへの挑戦
アイニックス株式会社 執行役員 兼 技術本部長 関口 恭司氏
1994年の設立以来、自動認識技術を軸に、多様な業界の現場課題に向き合ってきたアイニックス株式会社。最先端技術を取り入れながら、お客様に最適なソリューションを提供し続けています。本記事では、執行役員の関口恭司氏に、技術者として培ってきた価値観や品質へのこだわり、組織づくり、そしてAI時代を見据えた今後の挑戦について伺いました。
目次
現場の課題を解決する、自動認識技術のワンストップソリューション
――現在の事業内容と強みについて教えてください。
当社は1994年の設立以来、自動認識事業を中心に展開してきました。バーコードやQRコード、RFID、音声認識、マシンビジョンなどの技術に加え、SI体制も有しており、自動認識技術とシステム開発を組み合わせたソリューションをワンストップで提供しています。
電子棚札事業では、小売業だけでなく製造業やホテル、会議室など幅広い分野へ展開しています。次世代物流事業では、物流事業者向けにDXやAXを活用した物流現場のシステムを提供しています。こうした事業を通じて、製造、物流、小売、医療、教育など幅広い業界に対応できることも当社の強みです。
さらに、SIerを介さずエンドユーザーと直接取引する案件も多く、現場に近い立場で課題に向き合えることも当社の特徴です。
――会社の理念やビジョンについて教えてください。
当社では、「お客様に最適な自動認識ソリューションをワンストップで提供すること」、「最先端技術をもとに働く現場を改善するソリューションを提供すること」を理念に掲げています。
そして、「自動認識・ネットワーク・システムの3つのコア技術を通じてお客様の課題を解決し、ともに未来を切り拓くこと」をビジョンとして掲げています。技術本部としても、自動認識技術に関わるハードウェアとソフトウェアを活用しながら、新しい技術を積極的に取り入れ、お客様に最適なソリューションを届けることで、さまざまな業界の持続的な発展に貢献したいと考えています。
また、「これまで培ってきた自動認識技術を時代に合わせて進化させ、市場で存在し続けること」を技術本部のパーパスとして掲げています。
技術者として培った経験が導く、品質を軸にした経営判断
――これまでのキャリアと、現在の役割について教えてください。
現在は技術本部長を兼務し、基盤開発グループ、受託開発グループ、西日本技術グループの3つを統括しています。
前職は富士通の関係会社で、ハードウェア開発やシステムエンジニアなど、さまざまな業務を経験してきました。
アイニックスへ入社した当初は、「商社における技術部門の役割とは何か」が自分のなかではっきり見えておらず、会社の歴史や技術部門の歩みを調べながら、自問自答を重ねていました。さらに社員へのヒアリングを行うなかで、これから技術部門が目指すべき姿を少しずつ整理していったんです。
当時は、技術者一人ひとりの専門性に支えられた体制でした。そこから、組織としてより安定した品質を担保できる仕組みへと進化してきました。そうした歩みを踏まえて、技術部門としてあるべき姿を考え続けてきました。
――経営判断の軸として大切にしていることは何でしょうか。
入社後は技術部門の全社員と1on1を行い、一人ひとりが大切にしていることや目指したい姿を丁寧に聞き取りました。その内容と企業理念、ビジョンをもとに技術本部のビジョンやパーパスを策定し、今でも判断に迷ったときには、その軸に立ち返るようにしています。
また、ものづくりの現場で長く経験を積んできたこともあり、「品質」は私にとって譲れない価値観です。商社として製品を扱う以上、メーカー任せにするのではなく、お客様へ提供するものには責任を持ちたいという想いがあります。コストとのバランスを考える難しさはありますが、品質へのこだわりだけはこれからも大切にしていきたいですね。
風通しの良い組織が育む、人と技術の成長
――社内で大切にしているコミュニケーションについて教えてください。
私が大切にしているのは、役職や部署に関係なく、思ったことを率直に言い合える関係です。当社は創業当時から風通しの良い会社で、社員アンケートでもその点を評価する声が多く寄せられています。私が入社する前から、そうした雰囲気が自然と根付いていたのも、この会社の魅力だと感じています。
社員旅行や忘年会、年2回の全体会議後に開く懇親会など、役職に関係なく交流できる機会も多くあります。そうした積み重ねが、一体感のある組織づくりにつながっているのだと思います。
加えて、技術部門では全社員と1on1を行い、上下関係を気にせず本音を聞ける場をつくることを意識してきました。目標管理制度では社長や会長をはじめ経営層が全社員と面談を行い、一人ひとりと直接コミュニケーションを取る機会も設けています。判断に迷ったときほど、現場に近い声を拾えるかどうかが大事だと考えています。
――どのような人材と一緒に働きたいと考えていますか。
求める人物像として大切にしているのは3つあります。
1つ目は、自分らしさを発揮しながら主体性を持って行動できること。2つ目は、会社とともに成長していこうという意欲を持っていること。そして3つ目は、知識やスキルを地道に学び続けられる姿勢です。
若手の育成にも力を入れており、営業、管理、技術の垣根を越えて事業を推進する体制を整えています。若手社員にもプロダクトマネージャーを任せ、商品企画や仕様調査、開発、検証まで幅広い経験を積んでもらっていますが、それも「自分らしさを発揮しながら主体性を持って挑戦してほしい」という思いからです。そうした経験の積み重ねが、一人ひとりの成長につながっていると感じています。
AIを取り入れ、次世代のソリューション創出へ
――今後挑戦したいことについて教えてください。
現在は受託開発グループを中心に、AIを活用した開発手法の導入を進めています。
既存の開発プロセスへどう組み込んでいくかを検討しており、まずは社内で活用し、その経験をもとに将来的にはお客様へ提案できる体制の構築を目指しています。その実現に向けて、おおよそ3カ年計画で取り組みを進めています。
――今後の課題と、それにどう向き合っていきますか。
AIを活用していく上で、最も大きな課題だと感じているのが品質の確保です。システムとしての品質はもちろん、AIが生成したコードに著作権上の問題がないかなど、これまでとは異なる視点で確認していく必要があります。
現在は情報収集を進めながら、AIを安心して活用できる仕組みづくりについて検討を重ねています。そうした環境を整えることが、お客様へより良い価値の提供につながると思っています。
愛犬との時間が育む、仕事への活力
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
休日は愛犬と過ごす時間が何よりの楽しみです。犬を飼うのは初めてですが、一緒に暮らしてみて、その存在の大きさを実感しました。散歩へ出かけたり、自宅で遊んだりと、何気ない時間を過ごすことが一番の癒やしになっています。
そうした時間を過ごすことで自然と気持ちもリフレッシュでき、仕事へ向かう気持ちも切り替えられます。
これからも仕事と向き合いながら、新しい技術を取り入れ、お客様やさまざまな業界の持続的な発展に貢献できる環境づくりを目指して取り組んでいきたいですね。