「人と仕組み」で事業を前進させる――Trigger株式会社が描く“第3章”と次の10年
Trigger株式会社 代表取締役 田中 哲平氏
Trigger株式会社は、採用支援、業務設計、マーケティング支援、物流の4領域を軸に事業を展開しています。物流事業を基盤に、自社の成長過程で培ってきた採用や業務設計、システム開発などのノウハウを他社への支援へと広げてきました。現在は「人と仕組みで事業を前進させる」という考えを掲げ、事業全体を再構築する新たな段階に入っています。本記事では、代表取締役の田中哲平氏に、事業の強みや経営における価値観、組織づくり、今後の展望について伺いました。
目次
自社で培った力を、企業の課題解決へ
――現在の事業内容について教えてください。
当社では、採用支援、業務設計、マーケティング・新規事業支援、物流の4領域で事業を展開しています。もともとは物流事業を基盤としており、その中で培った採用や業務設計、システム開発のノウハウを他社にも提供する形で事業を広げてきました。現在は、採用支援が中心となっています。
――他社にはない強みは、どのような部分にありますか。
一つの領域だけで完結せず、企業が目指すゴールから逆算し、複数の領域を横断して支援できる点です。また、自社の事業運営で実際に培ったノウハウを提供していることも特徴です。採用支援では、自社求人だけで年間3,000名以上の応募を集めてきた実績があり、その過程で蓄積した採用ノウハウを企業支援にも活用しています。物流をはじめ、製造、営業、建設、店舗、バックオフィスなど幅広い業種・職種に対応しています。
設立以来、取り組んできた物流事業では、独自開発した社内アプリを活用し、内部管理だけでなく、ドライバー自身も日々の業務をアプリ上で管理できる体制を構築しています。こうした自社でのDX化や業務効率化の実践を通じて培ったノウハウを基盤に、システム開発や業務設計といった形でクライアント様の支援にも展開しています。
「きっかけを提供する」が、創業以来変わらない軸
――企業理念には、どのような思いが込められていますか。
「きっかけを提供したい」という思いが、当社の企業理念の根幹にあります。Triggerという社名も、「きっかけ」という意味から付けました。
僕自身、10代の頃はダンスをしていました。それ以前は、勉強やスポーツに強い自信があったわけではなく、コンプレックスを感じることもありましたが、ダンスとの出会いによって人生が変わりました。だからこそ、人や企業が変わるきっかけを提供できる存在でありたいと思っています。
――起業から物流事業へ進まれた経緯を教えてください。
18歳のときに個人事業主として起業しました。当時はダンサーとして活動しながら、インストラクターや舞台出演、イベントの主催、結婚式などで行うフラッシュモブの演出などを行っていました。
その後、ダンスという領域だけではなく、もっと幅広い人にきっかけを提供したいと考えるようになりました。過去の経歴や学歴にかかわらず、しっかり稼げる仕事は何かと考えた結果、物流にたどり着いたんです。その後、24歳で法人化し、現在に至ります。
――経営判断で大切にしている軸は何でしょうか。
事業領域が変わっても、「きっかけを提供できるかどうか」はずっと判断の軸です。クライアントや一緒に働く人など、関わる方々にとって何らかのきっかけになるものかどうかを大切にしています。この考え自体は、起業した当初から変わっていません。
能力よりも「自分を変えるために行動できる人」を
――社内のコミュニケーションで意識していることを教えてください。
社員や関わってくださる方が、仕事とは関係のない私生活で困ったときにも、一番に頭に浮かぶような人でありたいと思っています。
経営者という立場上、社員からすると話しにくいこともあると思うので、発言しにくい環境をつくらないことは意識しています。また、会議では仕事の話をしますが、それ以外の時間ではできるだけ仕事以外の話もするようにしています。
――一緒に働きたいのは、どのような人ですか。
学歴や職歴、現在のスキルだけで判断することはあまりありません。それよりも、自分がどうなりたいのかという思いに対して、本気で取り組める人かどうかを見ています。
単に「頑張ります」と言うだけではなく、自分の状況を良くするために覚悟を持って行動できることが大切です。結果につながらなかったとしても構いません。仕事で判断を間違えたり、失敗したりすることも歓迎しています。それよりも、実際に考えて行動したかどうかを重視しています。
また、働く人には、自分が一番幸せになれる道を選んでほしいと思っています。その選択肢の中で当社が一番良いと思ってもらえる環境を、会社として整えていきたいです。
点在していた事業をつなぎ、“第3章”へ
――今後の展望について教えてください。
今、当社は「第3章」に入ったと捉えています。第1章は、法人化して物流事業を伸ばしていった時期です。第2章では、その中で生まれた採用や仕組み、システムなどを他社へ提供してきました。
一方で、それぞれが独立した事業として見えていたため、「Triggerは何をしている会社なのか」を明確に伝えきれていないことが課題でした。そこで今回、コーポレートアイデンティティを含めて事業を再定義し、「人と仕組みの力で事業を前進させる」という形に言語化しました。
これまで点在していたものをシームレスにつなぎ、より分かりやすく価値の高い形に整えていく。それが今取り組んでいることです。法人として10年目、その先の10年をより良い形で迎えるためにも、まずはこの第3章をしっかり形にしていきたいと思っています。
――現在、特に力を入れている投資はありますか。
意識としては、人への投資です。当社では長年、業務に直結する内容だけではなく、人間関係や自分自身の磨き方、お金との付き合い方など、個人の人生にも役立つような社内研修を行っています。
せっかく当社に関わってもらうのであれば、仕事をして給与を得るだけではなく、それ以上の価値を感じてもらいたいと思っています。また、現在進めている事業の再構築に関わるプロジェクトを任せるなど、実践の中で成長できる機会もつくっています。
「知は武也」――知識を戦略につなげて考える
――田中代表ご自身が大切にしている考え方を教えてください。
「知は武也」という言葉を大切にしています。「知識は武器になる」という意味です。ダンサーから起業し、実業の世界で14年間やってきた中で、さまざまな局面がありました。その中で頼りになったのは、自分が学び、身につけてきた知識でした。
ただ、知識はあくまで武器です。どれだけ良い武器を持っていても、それをどう使うのかという戦略によって結果は変わります。だからこそ、経営でも物事を単発で見るのではなく、仕組みや戦略、前後の文脈まで含めて判断することを大切にしています。
――リフレッシュするときは、どのように過ごしていますか。
完全に仕事をしない日はほとんどありませんが、考えが行き詰まったときには近所の公園へ行き、太陽の光を浴びるようにしています。携帯電話も手元から離し、一人で空を眺めながら過ごします。そうやって、いったん仕事から距離を置く時間をつくっています。
今はまさに、Triggerの第3章が始まったタイミングです。これまで自分たちでも見えていなかった可能性が、事業を細かく見直す中で見えてきました。これから出会う企業や個人の方にも期待していただき、その期待を超えられる会社でありたいと思っています。次の10年に向けて、Triggerを社会にとってさらに意味のある存在へとアップデートしていきたいです。