データが企業の未来を拓く――「データマネタイゼーション」が支える日本企業の成長
一般社団法人データマネタイゼーション協会 代表理事 三木 朋和氏
企業が保有するデータを新たな収益や企業価値の向上につなげる「データマネタイゼーション」の普及を目指し、2025年8月に設立された一般社団法人データマネタイゼーション協会。データ活用の可能性を広げ、日本企業の成長を支える活動を展開しています。本記事では、代表理事の三木朋和氏に、協会設立の背景や理念、今後の展望について伺いました。
目次
企業データに新たな価値を生み出す「データマネタイゼーション」
――一般社団法人データマネタイゼーション協会について教えてください。
一般社団法人データマネタイゼーション協会は、2025年8月に設立した非営利の一般社団法人です。
私たちは、企業や組織が保有・蓄積しているデータの価値を最大化し、新たな収益源の創出や企業価値の向上につなげる取り組みを「データマネタイゼーション」と呼んでいます。
協会では、「データマネタイゼーション」を通じて、データドリブンな意思決定の普及や持続可能なデジタル社会の実現を支援しています。企業が持つデータを経営資源として有効に活かし、日本企業全体の競争力向上につなげていくことが、私たちの目的です。
――協会の特徴や強みを教えてください。
協会には、「データマネタイゼーション」の先進企業をはじめ、コンサルティングやインフラ分野、アカデミアなど、さまざまな領域で第一線を担ってきた実務家・専門家が理事として参画しています。それぞれ専門分野は異なりますが、この分野を発展させたいという想いを共有していることが、私たちの大きな強みです。
もう一つの特徴は、立ち位置です。協会はデータの売買や仲介には一切関わらず、掲載の対価も受け取らず、企業やデータの評価・格付けも行いません。中立の立場を規約で定めているからこそ、企業が安心して相談でき、複数の事業者や研究機関と等距離で連携できると考えています。そして私たちが主に向き合いたいのは、データ専業でも巨大テック企業でもない、一般の企業です。データはあるのに、それを外に出して価値に変える方法を知らない。そうした企業こそ、この分野の伸びしろだと考えています。
今後は会員制度の導入に向けた準備を進めながら、情報発信をはじめ、「データマネタイゼーション」を支援する機能やツールの提供、業界を超えたネットワーキング、人材育成の4つを柱に活動を展開していく予定です。
企業がデータ活用を進める上で直面する課題の解決を後押ししながら、日本全体に「データマネタイゼーション」の考え方を広げていくことが目標です。
日本企業の可能性を信じ、協会設立へ
――これまでのご経歴と協会設立のきっかけを教えてください。
以前は日本経済新聞社で新聞記者やデータ関連の業務に携わり、日本企業のデータ活用の実態を長年見続けてきました。そのなかで感じていたのは、多くの企業が独自性の高い貴重なデータを保有しているにもかかわらず、それを十分に活用したり、収益につなげたりできている事例は決して多くないということです。
その背景には、成功事例だけでなく失敗事例も含めたユースケースが十分に共有されていない現状があると考えています。企業が新しい取り組みに挑戦するには、参考となる事例の存在が欠かせません。
さらに、AIの普及によって企業データの価値は今後ますます高まっていくと感じ、この分野を支援する団体が必要だという想いから、志を同じくする理事とともに協会を設立しました。
――活動する上で大切にしている価値観を教えてください。
非営利の一般社団法人として、何より大切にしているのは公益性です。日本企業が新たな収益源を確保し、より強い経営基盤を築いていくためには、データ活用が大きな可能性を持っていると考えています。
一方で、多くの企業には価値あるデータが蓄積されているにもかかわらず、それを十分に収益化できていないケースが少なくありません。そうした課題を一つひとつ解決し、日本企業の成長につなげていくことが、私たちの使命です。その想いが、協会の活動を続ける原動力にもなっています。
多様な専門家が力を結集し、新たな価値を創造する
――組織運営で大切にしていることを教えてください。
協会には、企業で実際にデータ活用を推進している方をはじめ、企業支援を行う方、インフラ分野の専門家、アカデミアなど、それぞれ異なる専門領域で活躍する理事が集まっています。立場や専門分野はさまざまですが、「データマネタイゼーション」を発展させたいという想いは共通しています。
だからこそ、それぞれの視点から率直に意見を交わし、多角的な議論を重ねることを大切にしています。異なる専門性が集まっていることを強みに変えながら、日本全体で「データマネタイゼーション」を盛り上げていけるよう取り組んでいます。
――どのような企業や方々と一緒に活動していきたいと考えていますか。
「データマネタイゼーション」に関心をお持ちの企業には、ぜひ会員として参加していただきたいですね。会員制度は現在準備中で、受付の開始時期は協会のウェブサイトで改めてご案内します。データは蓄積しているものの、「どう活用すればよいのかわからない」と課題を感じている企業は少なくありません。そうした企業に対して、私たちが持つ知見や情報を提供しながら、一緒に取り組みたいと考えています。
また、まだデータ活用の事例がない企業にも、ぜひ参加していただきたいです。ゼロから取り組む企業だからこそ、今の時代に合った新しい「データマネタイゼーション」を築いていける可能性があります。そうした企業とも力を合わせ、新たな価値の創出につなげていきたいですね。
普及の先に描く、新たな挑戦
――今後の展望について教えてください。
まずは会員制度を本格的にスタートさせることが、大きな節目になると見ています。その後は情報発信をさらに充実させるほか、優れた「データマネタイゼーション」の取り組みを行う企業を表彰する活動など、新たな挑戦にも取り組んでいきたいです。
協会が整えていく情報や場を活用していただきながら、多くの企業や組織の皆さまと一緒に「データマネタイゼーション」を広げていきたいです。そうした取り組みが、日本企業の新たな収益源の創出や経営資源の有効活用につながればと考えています。
――今後取り組むべき課題について教えてください。
「データマネタイゼーション」が広がっていくためには、成功事例や失敗事例を含めたユースケースを、さらに積み重ねていく必要があると感じています。また、企業のなかでは組織の縦割りや権利関係、新たな業務への負担感など、目に見えないハードルが取り組みを進める妨げになっているケースも少なくありません。
こうした課題は、一社だけで解決するのは難しい部分もあります。そのため、ネットワーキングの場を通じて企業同士が知見を持ち寄り、互いに課題を解決していける環境をつくることが、協会の役割だと考えています。
社会に「データマネタイゼーション」が根付く未来を目指して
――お休みの日やリフレッシュ方法について教えてください。
協会を立ち上げてまだ間もないこともあり、現在はさまざまな活動を進めている最中です。そのため、今は走り続けているような毎日で、特別なリフレッシュの時間を取るというよりも、まずは目の前の活動に力を注いでいます。一段落したら、少しゆっくり過ごす時間も持てればと思っています。
今は何よりも、「データマネタイゼーション」という考え方を多くの企業や組織に知っていただくことが最優先です。情報発信や人材育成を通じて、「自社でも取り組んでみたい」と感じていただける企業を一社でも増やしていきたいですね。
そして、「データマネタイゼーション」が社会に根付き、日本企業の成長を支えるとともに、持続可能なデジタル社会の実現につながる環境を築いていきたいですね。