テニス業界にビジネスの視点を取り入れ、事業と人の成長を支えるテニビズ
テニビズ株式会社 代表取締役社長 満岡 英生氏
テニビズ株式会社は、2023年3月2日に創業し、現在4期目を迎えました。テニス事業に特化したコンサルティングを起点に、新規事業の立ち上げやテニススクールのマーケティングなど、テニス事業全体の拡大を支援しています。満岡氏は、電機メーカーでの新規事業経験と、テニススクールや業界団体での実務経験を持つ人物です。ビジネスとテニス業界の双方を知る立場から、業界課題や社会課題の解決を目指す同社の現在と今後について伺いました。
目次
テニス人口を増やすため、事業を支える仕組みそのものをつくる
――現在の事業内容について教えてください。
当社は、テニス事業を拡大するための支援を行っています。以前は「テニス事業に特化したコンサルティング」という表現を中心にしていましたが、現在はコンサルティングだけでは収まらない事業展開になってきました。
新規事業の立ち上げやテニススクールのマーケティングなど、事業全体を拡大していくための仕組みづくりにも関わっているところです。単に相談に乗るだけではなく、事業をどう成長させるのか、そのための体制や仕組みをどうつくるのかまで支援する企業という表現が、今の当社には近いと捉えています。
――企業として大切にしている理念や使命は何でしょうか。
私が一番大切にしているのは、テニス人口を増やしたいという思いです。現在、テニス人口は微減していると捉えています。そのため、まずはテニスをしたことがない方に知っていただき、体験してもらう機会や仕組みをつくることが必要だという認識です。
同時に、すでにテニスをしている方に、どうすれば長く続けていただけるのかも考えなければなりません。この2つが当社の使命です。その手段として、業界課題や社会課題の解決にも取り組んでいます。
ビジネスとテニス業界の間に立つ「翻訳者」という役割
――これまでのキャリアについて教えてください。
私は高校、大学でテニスを続けた後、シャープに入社しました。そこで新規事業などに携わる一方、社内MBAのような形でビジネスについて学ぶ機会もあったのです。
そのなかで、ビジネスで学んでいることは、実はテニスや部活動を通じて学んできたことと重なるのではないかと気づきました。表現や言葉は違っても、根本となる部分には共通点があるのではないかと考えるようになったのです。
――テニス業界に入ったきっかけは何だったのでしょうか。
ビジネスとテニス業界はリンクするのではないかという仮説を持ったことがきっかけです。その仮説を確かめる意味もあり、まずテニススクールに転職しました。その後、日本テニス協会や日本テニス事業協会の仕事にも携わっています。
そこで、ビジネスの考え方はテニス事業にも十分応用できる一方、そのまま持ち込んでも伝わらないことがわかりました。ビジネス用語をそのまま使っても、テニス関係者には関心を持ってもらえないことがあります。
反対に、テニス業界の言葉をそのまま受け取るだけでは、ビジネスとは異なる方向に進んでしまうこともありました。そこで必要だと感じたのが、「翻訳」や「意訳」をする人でした。
ビジネスとテニス業界の両方を理解した上で、相手の環境や考え方に合った言葉に置き換える必要があります。そうした「翻訳者」の役割に気づけたことは、私にとって非常に大きな経験でした。
数字だけでは判断しない。人の熱量まで見る組織運営
――経営判断で大切にしていることは何ですか。
まず、その判断が業界のためになっているかどうかが出発点です。最終的にテニス人口の増加につながるのかという視点を、大切な判断軸の1つにしています。
もう1つは、相手とWin-Winの関係になっているかどうかです。私だけが得をする、あるいは相手だけが得をするのではなく、お互いに何らかのメリットをきちんと享受できる関係を重視しています。
――コミュニケーションや情報収集で意識していることはありますか。
私が意識しているのは、デジタルとアナログの両面から情報を見ることです。AIやインターネット、本、新聞、統計データなどから得られる情報や数字だけで判断することはありません。
対面で話したときの熱量や感覚、人間味といった部分も重視しています。例えば、売り上げが良くても、話を聞いたときに明るさを感じなければ、数字だけでは判断しません。
反対に、売り上げが低くても担当の方が前向きに取り組んでいるのであれば、なぜ伸びていないのか、今後どこに可能性があるのかを考えます。その際に大切なのが、数字と現場の感覚の両方です。
新規事業とラケットスポーツへの展開で、次の成長を目指す
――現在、テニビズはどのような段階にありますか。
当社として本格的に事業へ取り組み始めたのは、2025年8月ごろでした。それ以前は協会の仕事を中心にしていましたが、その後は自社事業に力を入れるようになりました。
現在は単年度で黒字化し、売り上げや利益も大きく伸びています。資本金も100万円から1,000万円に増やしました。これまで蒔いてきた種が形になり始め、需要があることを実感しているところです。
――今後の売り上げ目標について教えてください。
数年で売り上げ1億円規模を目指したいと思っています。現在は3か年計画の策定中です。まずは6,000万〜7,000万円を当たり前の規模にして、その先は1億円を目指します。
そのために、スクール事業や顧問、コンサルティングなどの既存事業を軸にしながら、現在進めている2つの新規事業を基本モデルとして育てる考えです。これらを安定した事業モデルにすることで、事業の拡大につなげていきます。
――今後、事業領域を広げる可能性はありますか。
事業領域を広げる可能性はあるという認識です。テニビズという名前は「テニスビジネス」から来ていますが、現在はピックルボールにも可能性を感じています。
私が得意としているのは、競技技術を高めることではありません。体制をつくること、新しい事業を立ち上げること、人を育成することが中心です。こうした領域には、テニス以外のラケットスポーツにも共通する部分が多いと感じています。
また、スポーツ業界にはアナログな要素が多く残っているのが現状です。それをどうデジタル化するか、さらに私自身が持っている暗黙知をどう形式知に変えていくかにも取り組んでいきたいと考えています。
テニスだけを盛り上げるために、ほかのスポーツを蹴落とすという考えはありません。手段を選ばずテニス界だけを大きくするのではなく、スポーツ界全体が盛り上がるようなモデルをつくりたいと思っています。Win-Winの関係を大切にしながら、そうした仕組みを事業として広げていく考えです。