地域密着の学習塾を軸に新事業へ挑む、合同会社キャンパスの経営と組織づくり

合同会社キャンパス 代表 千葉 康平氏

合同会社キャンパスは、学習塾事業を軸に、コーヒーのEC販売や学校の部活動への運動指導など、複数の事業を展開しています。千葉氏は、既存の仕組みをそのまま受け入れるのではなく、「本当に求められているものは何か」を考えながら事業を形にしてきました。教育業界で感じた疑問を原点に起業し、現在は組織づくりや人材育成、さらなる事業拡大に取り組んでいます。経営で大切にしている考えや、今後描く展望について伺いました。

業界の「当たり前」を見直し、求められるサービスを形にする

――現在の事業内容について教えてください。

当社は学習塾事業を中心に展開しています。「学習塾Canpass」と、個別指導に特化した「個別指導Polariss」を運営しており、現在は計4校舎です。

そのほか、コーヒーのECサイトを運営し、豆やドリップバッグを販売しています。また、学校の部活動にトレーナーを派遣し、体の使い方や調整力を高めるコーディネーショントレーニングの指導も事業の1つです。

――学習塾事業には、どのような特徴がありますか。

「Canpass」では、講師全員が社員です。大学生のアルバイトが指導する塾も多いなか、経験のある担当者が授業を行っています。

また、地域密着型の運営も特徴です。校舎ごとに主に担当する中学校を定め、それぞれの学校に合わせた対策を行っています。

土曜日を補習日としていることも特徴の1つです。通常授業だけでは理解が追いつかなかった生徒に、追加料金なしで個別に指導できる時間を設けています。

――企業として、どのようなビジョンを掲げていますか。

それぞれの業界でロールモデルとなることが、当社の目指す姿です。今あるものを同じように続けるのではなく、まだ一般的ではなくても、実際には求められているものを形にしたいと考えています。

学習塾であれば、業界で当たり前とされている仕組みに疑問を持ち、より良い形に変えていく。コーヒーであれば、注文を受けてから焙煎し、新鮮な状態で届ける。運動指導では、「運動神経は伸ばせる」という考えを広げていきたいです。

学生時代に抱いた疑問が、起業の原点になった

――経営者を目指すようになったきっかけを教えてください。

中学生の頃から仲の良かった友人と、大学時代に同じ学習塾でアルバイトをしていました。そのなかで、「なぜこの教え方をするのだろう」「なぜこのような仕組みなのだろう」と疑問に思うことがあったのです。

そこで、いつか2人で起業すれば、もっと良い塾をつくれるのではないかと話すようになったことが、起業の原点です。その後、私は学習塾業界に入り、友人は一般企業で経験を積んでいます。それぞれ異なる視点を持ち合わせた上で、2018年に創業しました。

――経営判断では、何を大切にしていますか。

特に意識しているのは、過去にとらわれないことです。過去にこうだったから、これからも同じようにすればいいとは考えていません。未来の可能性を見ながら、自分自身も組織も変わっていく必要があるからです。

また、データに基づいて判断することも大切にしています。直感だけで決めるのではなく、まず数字を確認し、その上で最後の判断をする方針です。サンクコストにとらわれず、必要であれば切り替えることも意識しています。

――経営を続けるなかで、考え方は変化しましたか。

今の考え方が、最初から固まっていたわけではありません。社員が増え、組織が拡大し、状況が変わるなかで、日々勉強しながら考え方も変わってきました。

私は、停滞は後退だと思っています。周囲が進んでいるなかで、現状維持だけでは前に進めません。だからこそ、過去にこだわるのではなく、未来に向けて前に進むことを大切にしています。

年齢や役職にとらわれず、チームで遠くまで進む

――組織運営で意識していることは何ですか。

年功序列ではなく、力のある人に役職を任せるフラットな評価を意識しています。トップダウンですべてを決めるのではなく、年齢や役職に関係なく意見を出してもらい、チームで一緒に進めていきたいからです。

毎月の全体会議や部署・校舎ごとのミーティングに加え、四半期に1回は全社員と1対1で面談しています。

――採用では、どのような点を重視していますか。

学歴よりも、一緒にチームとして仲良く、楽しく働けるかを大切にしています。塾の先生として採用する以上、「自分の子どもをその人に任せたいと思えるか」という視点も判断軸の1つです。

すぐに成果を出せる人だけを求めているわけではありません。協調性があり、時間がかかっても一緒に遠くまで進んでいける人と働きたいと考えています。

8校舎への拡大と、その先に見据える全国展開

――学習塾事業を今後どのように展開していく考えですか。

まずは市内で8校舎を目指す方針です。中学校ごとに1つの「Canpass」がある状態をつくり、それに合わせて「Polariss」も増やしていきたいと考えています。

さらに、中学受験の専門校と大学受験の専門校も開校する予定です。その先は、地域密着で培った運営やブランディングの仕組みを1つのパッケージにし、フランチャイズなども含めて全国に広げられる形を目指したいと考えています。

――事業拡大に向けて、現在の課題は何でしょうか。

大きな課題は人材です。塾は人が中心の事業なので、人がいなければ新しいコースも校舎もつくれません。一方で、誰でも採用すればいいとは考えていないため、一緒に働ける人かどうかを慎重に見ています。

現在はリファラル採用が中心ですが、今後は一般採用にも取り組みたいです。また、校舎が増えればマネジメントを担う人材も必要になるため、社員研修や役職者の育成を強化しています。

――学習塾以外の事業では、どのような挑戦を考えていますか。

コーヒー事業では、2030年にカフェを店舗として出すことを目標にしています。現在のEC販売やマルシェでの販売は、そのための事前ブランディングという位置づけです。

運動指導についても、さまざまな学校に指導者を派遣して実績を積み、コーディネーショントレーニングを広げていきたいと考えています。

好きなことを仕事にし、海外で新たな刺激に触れる

――仕事から離れるときは、どのように過ごしていますか。

経営者なので、明確に「休み」と切り分ける感覚はあまりありません。私は経営そのものを楽しんでおり、社員にも「好きなことをして生きていけばいい」と話しています。

あえて事業から離れるという意味では、海外によく行きます。年に2回は行っていて、今年はマレーシア、セブ、エジプトに行く予定です。日本にいるとどうしても事業のことを考え続けてしまうため、海外に出ることが刺激にもなっています。

――最後に、これから起業する方へ伝えたいことを教えてください。

社会を変えていくのは、マジョリティではなく、挑戦するマイノリティだと思っています。また、当社の保護者や生徒には「いい塾に通っている」と感じてもらい、社員には当社を誇りに思ってもらいたいです。

私たち自身が夢を持ち、その夢を実現していく姿を、子どもたちにも見せていきたいと考えています。

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