一般社団法人トラフィックセーフ 代表 花月 文武 氏
ペーパードライバー講習を通して、もう一度「安全に運転したい」という人々の願いに寄り添う。一般社団法人トラフィックセーフは、京都を拠点に活動する交通安全支援団体です。元教習所指導員の代表・花月氏が立ち上げた同法人は、地域密着型のレッスンで多くのドライバーの不安を解消してきました。今回は、設立の経緯から事業の強み、そして今後の展望について話を伺いました。
地域に根ざした交通安全支援
──現在、どのような事業をされていますか?
もともとはNPO法人トラフィックセーフとして活動していました。地域の交通安全の向上を目指す中で、ペーパードライバー講習が主な活動になってきたのですが、燃料費や車両維持など運営上のコストもあり、収益事業として独立させたのが一般社団法人トラフィックセーフです。
教習所の指導員として長年にわたり運転教育に携わってきました。日々多くのドライバーと接する中で、「運転に不安を感じている人が再び安全に運転できるようにサポートしたい」という想いが芽生えたのです。ただ免許を取るだけでなく、運転を“続ける”ことに寄り添う仕組みを作りたい…その想いが法人設立の原点になりました。
自宅の周辺で練習できる利用者目線のレッスン設計
──従来のサービスにはない御社ならではの強みはありますか?
トラフィックセーフの大きな特徴は、指導員が受講者の自宅近くまで出張し、そのエリアで講習を行うスタイルです。自分が運転する地域の道で練習できることが大きな安心感につながっています。どの交差点が危ないのか、どの道を避けるべきか…その土地ならではの交通環境に合わせた実践的な指導ができるのです。
また、指定教習所と比べて料金が抑えられている点も利用者から好評を得ています。さらに、講習が終わったあとも「困ったときはいつでもご相談ください」と伝えています。単発で終わる関係ではなく、長く安心して運転できるサポートを大切にしています。
主な利用者層は30〜40代の主婦層
──どんな方々が利用されていますか?
実際に多いのは30代から40代の主婦の方です。子育てが落ち着いて、もう一度運転を再開したいという方が中心ですね。高齢者からの依頼もありますが、多くは家族からの紹介や勧めによるものです。高齢の方ご本人がホームページを探すケースは少ないですが、ご家族が“もう一度安全に運転してほしい”と申し込まれるケースがあります。社会的にも大きな意義がある活動だと思っています。
コロナ禍をきっかけに需要が増えた印象を持つ業界も多いですが、私たちの講習は以前から安定した需要を維持しています。体感的にも、コロナ前後で大きな変化はないですね。むしろ今後は、運転人口の減少や車の自動化によって、別の形の交通支援が必要になるのではと感じています。
京都を中心に、全国へ広がるサポートの輪
──普段の活動拠点は?
活動拠点は京都府ですが、出張範囲は広いと思っています。基本は京都市内ですが、依頼があれば兵庫県や千葉県まで行くこともあります。予約の状況に応じて柔軟に対応しています。“必要としてくれる人がいるなら、どこへでも行く…そういった経営スタイルこそが、地域から信頼を集める理由だと考えています。
京都は道が狭く、観光客や自転車も多くて運転が難しいエリアです。だからこそ、地元の方が安心して運転できるように支える存在でありたいです。利用者の中には「久しぶりに運転できた」「怖くなくなった」と笑顔で報告する人も多いんですよ。
“安全運転”を次世代へつなぐ
──今後の展望は何かありますか?
ペーパードライバー講習を軸にしながらも、今後は交通安全教育の裾野を広げていきたいと考えています。将来的には、企業研修や学校教育とも連携し、より広い世代に安全運転の大切さを伝える取り組みも視野に入れています。
事故を防ぐのは技術だけではなく、心のゆとりです。運転に不安を抱えた方々が“もう一度運転を楽しめる”よう、これからも寄り添い続けたいと思っています。

