株式会社エールコネクト 代表取締役 宮本 昌尚氏
エールコネクト代表・宮本昌尚さんは、トライバルメディアハウスやアクセンチュアでの支援経験、そしてDeNAで個人間カーシェア「エニカ」のマーケティング責任者を務めた事業会社の経験を併せ持つマーケターです。少人数体制で走るスタートアップに「外付けのマーケティング・プレイングマネージャー」（以下PM）として入り、戦略づくりから実務の推進、人材の育成まで一気通貫で伴走しています。ミッションは「挑み手と祝杯を」。挑戦する人が報われる社会をどう実装していくのか、具体例とその哲学を伺いました。
外付けマーケPMで、戦略と現場を一体化する
――御社の事業内容と特徴を教えてください。
株式会社エールコネクトは、スタートアップや新規事業に「外付けのマーケPM」として参画し、戦略立案から広告運用、CRM、PR、調査までをハンズオンで推進する会社です。
私たちの会社は、クライアントに限りなく近い立ち位置で、マーケの「司令塔」と「プレイヤー」を兼ねて関わります。最初に顧客・競合・チャネルの全体像を設計し、KPIと検証計画を置いたうえで、広告運用やCRM、PR、調査、クリエイティブの改善までを担います。フルタイム常駐ではなく時間稼働を用い、必要に応じて副業マーケターの専門スキルを束ねています。
対象はECやサブスク領域が多く、フードロス削減の取り組みなど社会的意義の高い事業にも多く携わってきました。歴史ある教育機関のデジタル新規も支援し、既存資産を活かした市場拡張も設計しています。最終的には、社内人材をメンタリングし、自走できる体制に持っていくところまで見据えています。
部分最適を捨て、事業全体で成果を取りにいく
――仕事で大切にしている価値観は何でしょうか。
これまで、コミュニティマーケティングやSNSマーケティングのような顧客との関係構築・ファン化に取り組んできたキャリアがあります。
このため、「事業を顧客と共に伸ばす」共創マーケティング的な考え方を持っています。具体的には、顧客の声を聞くインタビューなどから、事業の価値を再発見して、愛されるブランドになることを重視しています。
もう1つは、「チームの一員になる」ことです。提案前のミーティングの時にも、その事業のVISIONを聞いて、私たちが事業に共感できるかを重視しています。また、プロジェクトが始まれば一度は必ず食事をご一緒し、プライベートなコミュニケーションも通じて信頼関係を築きます。
また、業務を一部領域だけに固定しないようにもしています。事業は複合要素で動いていきます。SNSだけ、広告だけを部分最適で磨くより、事業に必要なことを全体最適することが重要だと思っています。
――印象に残るエピソードを教えてください。
クライアントインタビューの際、「外部委託ではなく、社内で採用したメンバーのように感じている」と言っていただけたことです。
事業は関わる人が力を合わせて一緒に作り上げるものです。このため、私たちは、数値的な成果も達成しますが、同時に共に事業を作るパートナーと感じてもらえるかも重視しています。
「エールコネクトを社員のように感じていただいている」のは、成果と関係性を両立できている証だと受け止めています。
T字型人材を増やし、学びの副業で裾野を広げる
――チーム体制や人材への向き合い方を教えてください。
現在、正社員は2名（うち私1名）で、業務委託が6名ほど。採用・協業のテーマは「T字型のキャリアを作る」です。広告に強い人には戦略やCRMにも触れてもらい、PRに長けた人にはデータ解析やLPOを一緒に回してもらう。募集は「学べる副業」として打ち出し、意欲ある人に門戸を開いています。
コミュニケーションは週次、1on1を基本に、各人が「もし自分がこのプロダクトのマーケ責任者だったら」を前提に議論します。前職DeNAの価値観に影響を受け、視座を一段上げる「ランクアップの視点」を共有しています。役割の線を引きすぎず、事業視点で提案・実行できる人を増やしています。
――影響を受けた言葉や、意思決定の軸はありますか。
国際医療の現場で活動する方の「誰かのためではなく、自分のためにやっている」という言葉が印象に残っています。
究極的に、人は自分のためにしか本気になれない。私も、自分の力が最大化される環境を選び、そこで生まれた価値をクライアントと社会に還元する、という順番を大切にしています。結果として誰かのためになる、そのような循環を重視しています。
「挑み手と祝杯を」を社会に実装する
――今後の展望と、直面している課題を教えてください。
ミッションは「挑み手と祝杯を」です。挑戦者と事業を成長できるまで伴走し、祝杯の数を増やしていきたいです。
そのためには、関わっているスタートアップや新規事業が成長する必要があると思っています。
とても思いを持って自分の事業に取り組んでいる方々がクライアントなので、その方々が「この事業うまくいったね！」そう思える事業を共に作りたいです。
サウナで新しい発想が生まれる
――リフレッシュの方法を教えてください。
リフレッシュ方法は、サウナと社交ダンスです。
マーケティング課題などをオフィスでじっと考えていても思考が固定化しやすいです。そんなときは、サウナに入ると、アイデアが発散してサウナから上がる頃にはいいアイデアが浮かんでいることが多いです。
