ジセイ株式会社 代表取締役 朝倉 昌也氏
自らもコンプレックスを乗り越え、化粧品の力で人生を豊かにしてきた朝倉昌也氏。大手化粧品ODM企業での開発経験を活かし、初期ロットの壁を打ち破る「極小ロット50個」からのブランド立ち上げ支援に特化しています。自由度の高いものづくりで、韓国や中国コスメに押され気味の日本業界に新たな風を吹き込み、業界全体の活性化を目指す同氏に、その原動力と未来への戦略を伺いました。
目次
化粧品ODMで“極小ロット”を実現する会社の現在
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
事業内容は化粧品関連で、主に2つの事業に着手しています。メインはODM(Original Design Manufacturing)で、アパレルさんや個人の方に向けて化粧品のブランドを立ち上げる受託製造を一貫して行っています。中身からパッケージ、イメージまで全て提案させていただく形です。
――業界内での強みはどのような点にありますか。
一番の強みは、そのロット数です。一般的にメイクアップ化粧品のODMは3,000個から、少なくても1,000個からが主流ですが、弊社は50個からの極小ロットでブランド立ち上げを可能にしています。これにより、新規参入されるお客様は在庫リスクを大幅に減らし、テストマーケティングをしながら自分のブランドを試行錯誤して作れる点が大きな強みです。
独立の背景にあった“自由なものづくり”への渇望
――経営者になられた経緯を教えてください。
大学では食品系の研究をしていましたが、元々見た目にコンプレックスが多く、内気な人間でした。それを化粧品で少しずつ変えていけた経験から、「化粧品は人を豊かにできる」という思いが一番の発端となり、物作りに携わりたいとこの業界に入りました。
ODM業界を選んだのは、いろんな会社さんの作りたい中身を知れるからです。約4年勤めていたんですが、次第に会社的なしがらみやロットの都合で自由度が利かなくなり、「自分だったらもっと自由に、面白いものを作って業界を活性化できるのではないか」と考えるようになり、独立を決めました。
――仕事に対する夢や目標、そして大切にしている価値観は何ですか。
開発者で独立するというのは珍しいことかもしれませんが、まずは自社ブランドを成功させ、そのノウハウを生かして協力を与えられる会社さんを増やしていくことで、日本のコスメ業界に貢献したいです。
仕事上で大切にしているのは、人との関わりを大事にすることです。特に初対面のフィーリングや、お互いがプラスになれるような関係性というのを重要視しています。また、経営者として全部を自分でやるのではなく、自分より優れた人間が増えた方が絶対に強いという考えです。そのため、「任せる姿勢」というのも常に心がけています。
任せる姿勢と、関わる人を大切にする組織づくり
――組織運営で意識していることを教えてください。
今は、共同経営のエンジニア、デザイナーの3人体制です。ODM事業を行う上で必要な技術を持ったメンバーです。私自身が開発と経営を主に担当しています。
協力メンバーに対しては、とにかく任せる姿勢を大事にしています。自分が作ったものを、次の人に任せて開拓してもらう。私自身がメインで動きがちでしたが、自分と違う考えを持った仲間を尊重し、相手を信頼し任せることで、私より優れた人間がどんどん出てきてくれると思っています。なにより率直にコミュニケーションを取ることを心がけています。
自社ブランドの立ち上げと業界への貢献という未来
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
今はODMとワークショップのみですが、ODMする上での説得力を持たせたり、マーケティング経験を積むためにも、自社ブランドの立ち上げを最優先で動いています。まずは自分の得意な領域であるファンデーションを、年内に発売する予定です。開発者だったので経験が浅いマーケティングを、自分で動いて肌で感じてみたいと思っています。
直面している課題としては、ロット数の拡大です。小ロットの50個から、1,000個や3,000個といったまとまったロット数になったときに、どうしても設備が弱いところがあります。そこをいかにスマートにできるかが課題で、まずは段取りやスケジュール管理を徹底してコンパクトに対応することを考えています。また、私以外の作り手を増やし、開発や製造を任せられるような体制を早急に整えていきたいなと考えております。
今の自分に合ったリフレッシュ
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
少し前まではボクシングをして体を動かすことでリフレッシュしていましたが、最近は「休むのも大事だ」と考えるようになりました。普段、何もしない時間があるとソワソワしてしまう人間なのですが、意識的に何もしない時間を作るようにしています。早めに寝床につき、ぼーっとする時間を作ってリフレッシュするというのが今の習慣です。

