地元企業に熱狂を宿す──“選ばれる理由”をつくるデザイン戦略カンパニーの挑戦

株式会社World Scene 代表取締役 荒武 桂司氏

福岡を拠点に、中小企業の魅力を“正しく伝わる形”へと再構築し、事業成長を支える株式会社World Scene。広告やデザイン制作にとどまらず、企業の「右腕」として意思決定まで伴走する姿勢には、代表・荒武氏の確かな経験と理念が息づいています。音楽業界でのキャリアを経て培った表現力、地方企業への深い敬意、そして「志ある企業が選ばれる社会をつくる」という強い信念。福岡の未来をより豊かにしたいという思いを軸に、創業の背景、組織づくり、そして今後のビジョンについて伺いました。

「志ある企業が正しく選ばれる社会へ」

――事業内容を教えてください

World Sceneは、ブランディング・マーケティング・デザイン制作を軸に、企業の集客や組織課題を解決しています。Webサイト制作や広告運用はあくまで手段であり、最も重視しているのは「企業の本質的な価値をどう伝え、どう選ばれる存在にしていくか」という点です。単に広告を設計するのではなく、企業自身も気づいていない“強み”を言語化し、戦略に落とし込む部分に大きな価値を置いています。

――理念について教えてください。

私たちが掲げるのは「志ある企業が正しく選ばれる社会をつくる」。誇張やテクニックではなく、事業者の想いをまっすぐ受け止め、そのまま市場に届けることを大切にしています。時には依頼をお断りすることもありますが、それが企業の未来にとって最善であれば迷いません。誠実であることが結果的に成果につながる──そんな信念を持っています。

音楽業界から広告、そして独立へ

――どのような経緯で起業に至ったのでしょうか。

もともとは音楽業界で活動しており、アイドルのプロデュースや作曲にも取り組んでいました。しかし突発性難聴を患い、音楽の世界から身を引かざるをえなくなりました。そんな中、広告業界の方に声をかけていただき転身。自分のつくった広告が数字として返ってくる仕組みに強い魅力を感じました。

一方で、戦略をもたず「とりあえず広告を出す」企業の多さに強い疑問を抱きました。福岡には技術も人柄も素晴らしい企業が多くあるのに、それが伝わらずに埋もれていく。この現実を変えたいと強く思ったことが起業の原動力です。

――経営で大切にしている考え方は何ですか?

働く時間は人生の3分の1以上。だからこそ、仕事が輝かなければ人生は輝かない。お客様が成果を出し、関わる人が自信を持てる環境をつくることが私の使命だと感じています。

プロジェクトは「士気」で決まる

――メンバーとの連携方法を教えてください。

正社員は2名、全国の業務委託メンバーは約15名。プロジェクトごとにチームが変わりますが、必ず最初に「オフラインのキックオフ」を行います。目的・ゴール・成功条件を全員で共有し、同じ熱量で走り始めることが成功の鍵だと考えています。スタートの温度感が低いと、どれだけスキルがあっても成果につながりにくいからです。

――組織づくりのこだわりは何ですか?

何よりも“仕事を楽しめる環境”をつくることです。楽しさは自発性を生み、それが成果につながります。メンバーが「この仕事が一番面白い」と感じられる状態を保ち続けることが、私の役割だと思っています。

“地方だからこそできる戦い方”をつくる

――今後取り組みたい挑戦はありますか。

地方には大きな情報格差があります。首都圏では当たり前の知識が福岡には届かず、その遅れのせいで企業が不利な戦いを強いられる場面を何度も見てきました。だからこそ、最近「OHIZAMOTOプラン」という低価格サービスをつくり、地方企業でも最新情報を受け取れる環境づくりを始めました。

福岡企業の強みは“地元に根付く温度感”です。人のつながり、現場の知恵、地域との関係性──これらは東京の模倣では生まれない価値です。地方企業が自らの文化を武器に戦える未来を証明したいと思っています。

支えになっているのは「家族と過ごす時間」

――リフレッシュ方法を教えてください。

1歳の娘と過ごす時間は、仕事の疲れを忘れさせてくれる大切なひとときです。笑顔を見ると自然と力が湧き、判断に迷った時も「自分は何のために働くのか」という軸を取り戻せます。経営とは孤独な瞬間も多いですが、家族がいることで踏ん張れることが何度もあります。

――経営以外で情熱を注いでいることは?

今は仕事一本ですが、家族の存在が仕事の質を高めています。娘が大きくなった時、「お父さんの会社、いいね」と自然に言ってもらえるような働き方をしたい。それが、日々の小さな判断にも影響しています。

これからも家族への想いをエネルギーに変えながら、地域企業とともに成長し、福岡に新しい価値を生み出す存在であり続けたいと考えています。

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