畑から食卓へ――本物の食を未来につなぐ、健康料理家の挑戦

株式会社rich・meal 代表 大岩真寿美氏

30年間にわたり「食」と向き合い続けてきた大岩真寿美氏。病院・学校・企業食堂など多様な現場を経験し、料理教室から始まった活動は、いまや農家・料理家・飲食店をつなぐ全国規模のコミュニティへと広がっています。次世代に本物の食を届けたい――その思いを軸に、1人で立ち上げた株式会社rich・mealが歩む現在地と未来を伺いました。

会社の現状と理念

――まず、メイン事業と会社として大切にしている理念を教えてください。

健康な心と体は日々の食事から生まれると強く感じており、「本物の食を次世代へ伝える」ことを会社の理念としています。メイン事業は健康料理家の育成です。私が30年かけて学んだ無添加・自然食の考え方や調理法を人に伝えられる人材を育て、各地で料理教室や講座を開いていただくことで、健康的な食の広がりを加速させています。

次に、農家さん・飲食店・料理家をつなぐ「リッチミールクラブ」というコミュニティを運営しています。安心できる食材を生産する農家さんの思いを、料理家が受け取り、飲食店や家庭の食卓まで届けていく仕組みづくりです。また、飲食店や食品事業者向けのメニュー開発・商品開発などのコンサルティングも行い、食産業全体の底上げに貢献したいと考えています。

大岩氏のキャリアと転機

――キャリアの歩みを振り返ると、どのような流れで今の事業に至ったのでしょうか。

最初は一般企業でOLをしていましたが、好きなことを仕事にしたいと思い料理の世界に入りました。自然食に出会い、そのおいしさと身体への変化に感動し、調理師や健康関連の資格を取りながら学びを深めていきました。

その後、病院食や学校給食、企業食堂など、多くの現場で責任者を経験しました。そこで感じたのは、「便利さ」を優先した食環境が健康を損なう根本原因になっているという事実です。子どもの健康問題や成人病の増加に触れる中で、「このままでは日本の未来が危ない」と強い危機感を覚えました。料理教室を続けながら、もっと多くの人に届ける仕組みが必要だと感じ、コンサルタントの助言もあり法人化しました。

未来への展望

――今後挑戦していきたいことを教えてください。

まずは健康料理家の育成を全国規模で加速し、自治体や教育機関と連携した食育活動を広げたいです。料理をする人が増えれば、農家さんや地元食材を支える力も強くなります。

また、日本の梅干し・鰹節・味噌などを使用した「健康美食ふりかけ」を開発し、今年リリースしました。素材をそのまま低温乾燥させた無添加のふりかけで、価格帯は一般的な製品より高いのですが、本物の価値を理解してくださる海外での展開にも力を入れていきます。世界に日本の“本物の食”のおいしさを知ってもらいたいです。

大岩氏自身のリフレッシュ方法

――普段のリフレッシュ方法や、仕事以外で大切にしていることはありますか。

旅行が好きでリフレッシュになっています。海外でも日本でも、その土地の方がどのような食事をしているのかに興味があり、つい食に関する場所を見て回ってしまいます。海外ではスーパーマーケットに立ち寄って、現地の食材や暮らしを感じるのがとても好きですね。海やリゾート地でゆっくり過ごす時間も、心がほどける大切なひとときです。日本だと関西はとても好きな地域です。言葉の雰囲気も好きですし、細かいことを気にしない、明るくおおらかな性格の方が多いので、過ごしやすさを感じています。仕事でも訪れる機会がありますが、いつも気持ちよく滞在させていただいています。

また、心身を整えるために、瞑想をしたり音楽を聴いたりしてリラックスするようにしています。読書も長く続けている趣味で、寝る前には健康や腸内環境に関する本、知識が深まる分野の本、そして経営者として役立つリーダーシップや成功哲学の本などをよく読みます。

読者へのメッセージ

――これから起業を目指す方へ、メッセージをお願いします。

まず大切にしていただきたいのは、「仕事を楽しむ」ということです。我慢を重ねたり、ストレスの中だけで働き続けたりするのではなく、自分の好きなことや得意なことで、誰かの笑顔をつくるには何ができるのか――それを若い段階から考えていくことが、人生の成功につながるのではないかと思います。

成功とは、お金をたくさん持っていることだけではありません。どれだけ楽しく幸せに生きているか、その豊かさこそが本当の成功だと感じています。もちろんお金も大切ですが、お金だけでは満たせない領域がありますし、ビジネスは自分だけが得をすればいいものでもありません。自分の心が喜ぶ方向へ、情熱を持って取り組めることを見つけてほしいと思います。

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