沖縄からインドへ。“思いつき”が未来を切り開く──沖縄ヨガ協会・坂上恭子代表の挑戦

一般社団法人沖縄ヨガ協会 代表取締役 坂上恭子(ケイシー)氏

2019年の設立以来、約300名のメンバーが所属し、沖縄を拠点にヨガやアーユルヴェーダの資格発行、社会貢献活動、インストラクター派遣など幅広い事業を展開する一般社団法人沖縄ヨガ協会。代表の坂上恭子(ケイシー)さんは、世界一周や海外生活を経て沖縄に移住し、ゼロからキャリアを築いた。人生経験をすべて事業に活かしながら、「人を育み、社会に還元する仕組みをつくりたい」と語る。その原動力はどこからくるのか、そして未来にどんなビジョンを描いているのか。率直に話していただいた。

ヨガと東洋医学を軸に、資格発行から社会貢献まで展開する独自の事業モデル

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

弊社ではヨガやアーユルヴェーダを中心に、主に4つの柱で事業を行っています。1つ目はヨガのインストラクター資格やアーユルヴェーダ資格の発行。2つ目はホテルや企業へのインストラクター派遣、出張ヨガ、オンラインレッスンなどの提供です。3つ目が社会貢献活動で、食料配布や親子向けイベントなどを開催しています。そして4つ目が、協会メンバー向けの交流活動や学びの機会づくり。店舗は持っていませんが、海辺でのビーチヨガやオンラインでの受講など、沖縄ならではのスタイルで活動しています。

――個人事業から一般社団法人に移行した理由は何だったのでしょう?

もともとは自宅のキッチンでヨガを教えるところからのスタートでした。家具を全部外に出して、ヨガマットを2枚敷くところから始まり、気づけば家では収まらないほどお客様が増えました。そこでスタジオを借りたのですが、同時に「資格を取った人が活躍できる場所を作りたい」と強く思うようになったんです。株式会社では利益優先という印象があったので、資格発行団体として透明性を保てる一般社団法人の形が適していると感じ、法人化を決めました。

世界一周で芽生えた「人を支える」意識。経営の原点となった経験

――キャリアの中で最も印象に残っている出来事は?

一番嬉しかったのは、私が出産などで現場に立てない時期に、協会メンバーが自主的に社会貢献活動を続けてくれたことです。お願いしたわけではありませんが、思いや価値観を受け継いで行動してくれた姿を見て、「仕組みを作った意味があった」と心から感じました。

一方で、価値観の違いから人が離れていく時期は苦しい経験でした。でも今は、同じタイミングで同じ方向を向いて行ける人と大切な瞬間を共有できればいい、と自然に思えるようになりました。

――世界一周の経験が経営に影響していると感じることはありますか?

ありますね。3年ほどかけて約30カ国を巡り、時にはスラム街や紛争地域にも行きました。怖い思いもしましたが、それ以上に「知らずに死ねない」という強い好奇心が勝っていました。その体験が“未知への恐怖を乗り越える力”を与えてくれたと思います。経営では常に新しい壁が現れますが、私はあえてその壁に向かっていくようにしています。それは世界を旅した経験があるからこそだと感じています。

1人代表だからこそ見えた課題。協力者と仕組みづくりで乗り越える

――組織運営での課題と、どのように向き合っているかを教えてください。

代表は私1人で、企画・営業・運営・雑務までほとんどを担っているため、正直大変です。一度採用もしましたが、ライフステージの変化もあり、長く続けてもらうことが難しい場面もありました。今は無理に雇用するより、成果報酬の業務委託で関わってくださる方に力を借りる形に切り替えています。

また、講座を動画化したレバレッジ商品の導入やAIツールの活用も、時間確保に大きく貢献しています。現場を任せられるメンバーも増え、少しずつ仕組み化が進んできました。

インドとの架け橋に──未来はアーユルヴェーダの本場へ

――今後挑戦したいこと、そして3年後の展望を教えてください。

インドへ進出したいと考えています。アーユルヴェーダの本場であるインドには現地ドクターの知人もおり、ハーブの輸入事業を立ち上げたいと思っています。免疫向上など効果の高いハーブを、日本に正式に輸入できる仕組みを作りたい。2~3年以内にインドで会社を設立し、私は日本とインドの2拠点で動くことが目標です。

売上は3年後に現在の3倍を目指しています。ヨガ協会は将来的にさらに社会貢献寄りの団体にしていきたいと考えており、インド事業が軌道に乗れば、その実現がより近づくと思っています。

旅と学びが原動力。最終的に目指すのは、子どもたちを支える場所づくり

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

旅が一番のリフレッシュです。子どもがいても一人旅をしたくて、最近は屋久島に行きました。縄文杉の森を歩き、木の皮で箸を作ったり、現地の人にマッサージをしてもらったり…自然の中に身を置くことで心が整います。

――最終的な人生のビジョンは何でしょう?

最終的には、子どもたちを守り育てる施設をつくりたいです。世界一周でスラム街や紛争地域の子どもたちを見た経験、そして沖縄や日本の子どもたちを取り巻く環境を知ったことで、「居場所が必要な子を支えたい」という気持ちがずっと心に残っています。教育の場としてフリースクールのような役割も持たせたいと考えています。

今は子育てと仕事で慌ただしい毎日ですが、必ず実現したい未来です。

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