株式会社SCマーケティング総合研究所 代表取締役 魚谷 昌哉氏
ショッピングセンターを取り巻く環境は転換期を迎えています。消費者行動の変化やデータ活用の進展、人材育成の課題に向き合ってきたのが、株式会社SCマーケティング総合研究所です。三井不動産で20年以上ショッピングセンター事業に携わってきた魚谷氏は、業界の内側を知る立場だからこそ見える課題と可能性をもとに独立を選びました。マーケティングの革新と人づくりを軸に、同社が目指す現在地を伺います。
目次
ショッピングセンターに特化したマーケティング支援の現在地
――現在の事業内容について教えてください。
当社は、ショッピングセンターのマーケティング全般を対象に、コンサルティングや調査、社員研修を行っています。ショッピングセンターは、単にテナントを集めて箱を貸すだけの存在ではありません。どのようなコンセプトで、どんな価値を提供していくのか。その全体設計をマーケティングの視点から支援しています。
――「マーケティングの革新と人づくり」というスローガンに込めた思いを教えてください。
流通や不動産の分野では、マーケティングの考え方が十分に更新されていないと感じる場面が多くありました。そのため、あえて「マーケティングの革新」を掲げています。また、マーケティング業務を担う人材も不足していることも痛感していました。人が育たなければマーケティングは機能しません。だからこそ、人づくりも同時に重視しています。
業界の現場で培った経験と、独立への転機
――これまでのキャリアと、マーケティングに深く関わるようになった背景を教えてください。
三井不動産に20年以上在籍し、ほとんどの期間をショッピングセンター関連業務に携わってきました。開発や運営を経験する中で、2003年頃からマーケティングを本格的に整備する役割を担いました。その一環として、三井不動産グループ独自のCRMシステム構築を任され、業界内外から多くの相談を受けるようになりました。
――独立を決意された理由を教えてください。
社内で一定の役割を果たしたと感じたタイミングで、自分のやり方でマーケティングを追求してみたいと思うようになりました。業界全体から声をかけていただく機会も増え、独立を決断しました。
少人数組織だからこそ重視する役割分担と現実
――現在の会社の体制と、組織運営で意識していることを教えてください。
設立から13年が経ち、現在は私を含めて3名の体制です。少人数だからこそ役割分担は明確にしていますが、営業、コンサルティング、経営のすべてを自分が担っています。その分、営業に十分な時間を割けない点は課題だと感じています。
――事業を進める上での課題は何でしょうか。
データやAIを活用した新サービスでは、どうしてもコストがかかります。価格設定と受注先の開拓は大きな課題で、手間と価値に見合った価格をどう伝えるかを常に模索しています。営業は既存取引先や業界内の紹介が中心です。
データとAIで切り拓く、新しい調査の形
――今後、特に力を入れていきたい事業領域について教えてください。
現在注力しているのが調査領域です。従来の来館者調査は現地インタビューが主流でしたが、今後はビッグデータやAIを活用することで、より効率的で精度の高い分析が可能になります。競合データを含めて分析できる点は、大きな強みです。
――中期的な目標を教えてください。
3年後に売上規模を現在の2倍にすることを目標としています。ただし、無理な拡大はせず、質を高める成長を重視しています。
旅から得る刺激と、仕事への還元
――プライベートでのリフレッシュ方法と、仕事への影響について教えてください。
旅行が好きで、国内外を問わず出かけます。海外ではバンコクが印象に残っています。街を歩き、新しいショッピングセンターを見ること自体が仕事の学びにもなり、現地の空気や運営の工夫から多くの刺激を受けています。
――最後に、これから起業を考える方へのメッセージをお願いします。
起業は不安も多いものですが、日本が停滞してきた背景には、新しい事業が生まれにくかった側面もあります。制約はありますが、ぜひ新しい世界に飛び込み、社会の成長を支える存在になってほしいと思います。

