ジャパンM&Aソリューション株式会社 代表取締役 三橋 透氏
東京証券取引所グロース市場に上場し、“断らないM&A”を掲げるジャパンM&Aソリューション株式会社。中小企業の抱える事業承継・資金繰り・先行き不安といった課題に対し、業界の常識に縛られないアプローチで向き合ってきました。本記事では、三橋代表に、事業の特徴、起業の背景、組織づくりのこだわり、そして未来への展望を伺いました。
目次
中小企業のための“断らないM&A”という理念
――現在の事業内容と特徴について教えてください。
当社は社名の通り、M&A専門の会社です。大きな特徴は「相談を断らない」ことです。業界では手数料が2,000万〜1億円を超えることも多く、中小企業がM&Aという選択肢を取りづらい環境があります。しかし当社は間口を広げ、規模の大小や赤字・黒字に関係なく、すべての相談を受け入れています。
実際、半分以上の案件が金融機関からの紹介で、税理士や成約した企業からのご紹介も増えています。小さな飲食店の廃業案件でも事業を引き継げれば従業員・取引先・地域が救われる。どんな案件でも価値があると考えています。
――理念として大切にされていることは何でしょうか。
「中小企業にM&Aという選択肢を届けること」がすべての原点です。日本の99%を占める中小企業の半数以上が後継者不在といわれ、原材料高や業界再編に不安を抱いています。銀行や証券だけでは解決できない課題を、M&Aで支援したい。こうした思いで上場し、信用力を高め、全国の金融機関と連携できる体制を作りました。
銀行員から“断らないM&A”へ――起業の背景と原点
――経営者になられたきっかけを教えてください。
私は大学卒業後、大手銀行で約20年働きました。しかし、銀行では融資の基準を満たさない企業は断らざるを得ず、相談に来た中小企業がどうなっていくのか、常に気がかりでした。「訪ねてきた人を断りたくない」という思いが強くなり、40歳でM&A業界へ転身しました。
大手M&A会社では“小さな案件は扱いづらい”という壁にも直面しました。ならば自分で、中小企業のためのM&A会社を作ればいい。そう考えて立ち上げたのが、今の会社です。
――キャリアの中で印象的だった出来事はありますか?
廃業寸前だった小さなラーメン店の事業を引き継いだ案件が忘れられません。ご主人が急逝し、残された家族は廃業を考えていましたが、譲渡先が見つかって従業員や取引先も守られた。
大きなM&Aでも小さな案件でも、喜びの大きさは変わりません。「誰かが救われる」という点で価値は同じだと感じました。
協力し合い、共に成長する組織づくり
――組織運営や社員との関係で大切にしていることはありますか?
営業35名・管理5名の約40名体制で、全員が同じフロアに集まり、互いの案件が見える環境にしています。M&Aは専門知識が必要な場面が多いため、「医療案件ならこの人」「許認可ならあの人」というように、自然と相談し合う文化が出来上がっています。
案件を新規で獲得した場合は全員の前で共有し、意見や紹介先を募る仕組みもあり、非常に協力的な組織です。
――社員の成長をどう支援していますか?
当社は未経験者の採用も多く、まずは先輩社員と2人1組で案件に取り組みます。独り立ちしてリーダーになれば、部下を育てる側に回る。成約件数を重視した人事評価制度もあり、半年ごとに職位・給与に反映しています。
小さな案件でも月1件の成約を目指し、成果と成長を実感できる環境づくりを心がけています。
日本中の中小企業を救うために――未来への展望
――今後挑戦したいことを教えてください。
金融機関との提携は北海道から沖縄まで広がりつつありますが、さらに拡大し、1社でも多くの中小企業を支援したいと考えています。
目標は、4年後に成約件数で日本一になることです。事業承継が深刻な業種とも積極的に組み、業種特化型のM&A支援も推進しています。
中小企業の悩みに真正面から向き合い、「M&Aで未来が開ける」という認識を社会に広げたいと思っています。
仕事を支えるリフレッシュ方法
――お休みの日のリフレッシュ方法を教えてください。
体を動かすことが好きなので、休日はジムで走ったりトレーニングをしたりしています。運動すると気持ちが晴れますし、健康管理にもつながるため、週1回は必ず時間をつくるようにしています。
これからも、心身のバランスを整えながら、より多くの中小企業の未来を支える取り組みに全力で向き合っていきたいと考えています。

