クックピット株式会社 代表取締役 外園 史明氏
クックピット株式会社は、ラーメン店・飲食店向けのストレートスープを製造・提供する専門メーカーです。大釜で炊き上げる本格的なスープづくりと、業界では珍しい強力なWEBマーケティングを掛け合わせ、全国から多数の問い合わせを獲得してきました。創業20期目を迎えるいま、“第2創業”として新たな舵を切る同社。代表の外園史明氏に、事業の現状、キャリア、組織づくり、そして未来の展望について伺いました。
目次
本格スープを全国へ届ける──事業の特徴と現在の姿
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
主にラーメン店・ラーメンを取り扱う飲食店・宿泊施設等に向けに「ストレートスープ」を製造してお届けしています。一般的なエキス系スープとは異なり、店舗で寸胴で炊くのと同じ工程を、大型釜でそのまま再現しているのが特徴です。お店で長時間かけて行う“仕込み”の部分を、外注として担っているイメージですね。
スープが主軸ですが、開業準備のお客様からの要望に応じて、麺やチャーシューなど食材のパッケージも一式揃えています。現在はWEBサイト経由の問い合わせが非常に多く、多い月は350件ほど。その4割ほどが成約につながるため、食品メーカーでありながら“デジタルマーケティングに特化した会社”とも言えるかもしれません。
今後も、まずはこのWEBサイトの強化を進め、アクセス数を国内トップクラスにさらに押し上げたいと考えています。
経営者としての歩みと、大切にしている価値観
――どのような経緯で代表に就任されたのでしょうか。
もともとは漫画家である父のプロデュースをしていましたが、以前から付き合いのあったクックピットがコロナ禍で窮地に陥り、「助けてほしい」と声がかかったことがきっかけです。当時は、債務超過もあり厳しい状況でしたが、財務改善に取り組み、黒字化の見通しが立ったタイミングで事業を引き継ぎ、先月正式に代表に就任しました。
――経営する上で大切にしている価値観を教えてください。
先代から受け継いだ「味を大切にする」という想いを軸にしながらも、私はデジタル領域の人間として「良いものを確実に売る」ことを重視しています。当社のスープはミシュラン採用店などにも選ばれる品質が強みです。この価値をより多くの人に届けられるよう、WEB上で“ラーメンを調べたら必ずクックピットに行きつく”状態をつくることに力を注いでいます。
組織づくりと、仲間との関係性
――社員との関わり方や組織運営で意識されていることはありますか。
正直、私は組織づくりが得意ではありません。以前から弟子入りを希望する若い人も多かったのですが、私の考え方が伝わらず、なかなか育成できませんでした。
そんな中、現在右腕として支えてくれているのが62歳のベテランで、中華料理チェーンのナンバー2を務めていた人物です。私が前線でマーケティングや集客を牽引し、彼が“兄貴”として現場をまとめる──そんな二人三脚で会社を支えています。
社内はとても明るく、いわば“毎日文化祭のような雰囲気”です。週に数回飲み会があり、缶ビール片手に語り合うことも少なくありません。成果が出たらすぐに共有し、誰かが決めると「俺も決める」と火がつく。そんなポジティブな連鎖が、ベンチャーらしい勢いを生み出していると感じます。
今後挑戦したいこと──BtoCへの本格参入
――今後の展望を教えてください。
BtoBの事業は安定していますが、大幅な成長には時間がかかります。そこで次の柱として、BtoC市場へ本格参入する準備を進めています。
ラーメン関連の新商品を複数開発し、その中から3年以内に“ヒット商品を必ず1つ生み出すこと”が目標です。ここが実現できれば、会社規模を大きく伸ばすための大きなブースターになると考えています。
ゆくゆくはスープメーカーとしてだけでなく、“食の体験をつくる企業”へと進化させていきたいですね。
リフレッシュ方法──人との出会いを楽しむ時間
――リフレッシュの方法や、仕事以外で大切にしている時間はありますか。
趣味と言えるものはほとんどなく、強いて言えば「お酒」ですね。居酒屋で隣の席の人と話して仲良くなることも多く、昨日も偶然大手飲食チェーンの幹部の方と出会って驚きました。
お酒の場は、新しい出会いや刺激をもらえる場所。気づけば仕事につながることもありますし、人とのつながりに助けられる場面も多いです。そうした一期一会を楽しむ時間が、私の一番のリフレッシュですね。
これからも仲間とともに勢いを絶やさず、スープ業界に新しい風を起こせるよう挑戦を続けていきたいと思っています。

