おもてなしを“力”に変える──テーブルマナーと接客教育で現場を支える理由

オフィスらん 代表 福本衣李子氏

帝国ホテルで培った確かな所作と、現場での“恥をかいた経験”を糧に、和洋中すべてを教えられるテーブルマナー講師として独自の道を歩む福本衣李子氏。現在は接客コンサルタントとテーブルマナー講師の二軸で企業・団体を支援している。従業員が中心にある“三方よし”の理念や、旅館・ホテルで見てきた人の在り方、そして今後の挑戦について伺いました。

接客コンサルタントからスタートした事業──和洋中のマナーを軸に

――まずは御社の事業内容と現在の取り組みについて教えてください。

現在は接客コンサルタント、そしてテーブルマナー講師として活動しています。接客コンサルタントとしては飲食店やホテル、旅館に入り、従業員教育やサービス改善を行い、現場がより働きやすく、従業員が自信を持って接客できる環境づくりを支援しています。

テーブルマナー講師としての活動は、和食・洋食・中国料理を横断して教えられる点が特徴です。この道を深く学び始めた理由は「和洋中すべてをきちんと説明できる講師は意外と少ない」と気づいたことにあります。特に日本料理は感覚的に語られることが多く、「なぜそうするのか」を明確に説明できる人が少ないため、自分自身が理由まで理解して伝えられる講師になりたいと強く思いました。

中国料理についても、世界的に正式なテーブルマナーが体系化されているわけではなく、日本で一般的に行われている会食スタイルの背景を自分で調べて整理する必要がありました。そうして10年以上にわたり、書物だけでなく実際の店舗や現場での所作、歴史的背景を学び続けてきました。

いま提供している講座は、形式的な作法ではなく、実際の会食の場で迷わず対応できる“実務的なマナー”を中心に構成しています。

経験から生まれた価値観──従業員が中心にある“三方よし”

――会社として大切にしている理念についてお聞かせください。

「三方よし」を掲げていますが、中心にあるのは従業員です。お客様の満足、経営者の満足を支えるのは現場で働く人の力。その人たちが“気持ちよく働けているか”が、サービスの質に直結します。

実際、どれだけ料理が美味しくても、スタッフの表情が暗いだけでお客様は敏感に空気を読み、“また来たい”という気持ちが薄れてしまいます。反対に、楽しそうに働くスタッフがいる店は、料理よりも「またあの人に会いたい」が理由でリピートが生まれることもあります。

――旅館やホテルの現場で感じたことはありますか。

ホテルのスタッフは柔軟な方が多いのですが、旅館の場合は文化や慣習が深く根づいており、変化に時間がかかることもあります。その一方で、心から人を想う素晴らしいおかみさんに出会ったこともあります。

ある旅館では、年配のスタッフの負担を考え、繁忙期後に必ず連休で旅行へ連れていくという取り組みをされていました。結果として売上も上がったと伺い、「人を大切にするという発想が組織を強くする」ことを改めて実感しました。

現場改善のカギは“組織の空気づくり”

――外部コンサルタントとして多くの現場に入られてきた中で、組織運営において重要だと感じていることはありますか。

私は自分の会社に社員を抱えているわけではありませんが、その分、ホテル・旅館・飲食店など“数え切れない組織の内部”を外部から見てきました。その経験から強く感じているのは、「働く人たちが安心して声を出せる職場は、必ずサービスが良くなる」ということです。

現場の空気が優しく、スタッフ同士が自然に声を掛け合っている組織は、お客様が感じる雰囲気まで柔らかくなります。反対に、上下関係が強すぎたり、誰も意見を言えない環境では、サービスがぎこちなくなり、お客様もどこか緊張してしまうものです。私は指導に入る際、その“空気の違い”を敏感に見るようにしています。

未来への視点──“おもてなし”をもっと日常に広げたい

――今後挑戦したいことはありますか。

テーブルマナーは特別な日のためだけにあると思われがちですが、本来は「相手を不快にさせない」「自分を美しく見せる」ための生活技術です。今後はこの技術をもっと日常に落とし込み、学生や若い社会人にも広く伝えていきたいと考えています。

また、接客の現場には悩みがつきません。人間関係、忙しさ、自信のなさ…。それらを教育や指導で改善し、働く人の心が軽くなるようなサポートを続けていきたいと思っています。おもてなしは“負担”ではなく“人を強くする力”になり得ます。その感覚を多くの現場で共有していくことが今の私の使命です。

私の仕事を支える“軸”

――お仕事に向き合ううえで、大切にしている言葉はありますか。

仕事の軸になっている言葉はいくつかありますが、特に大切にしている言葉があります。

それは、ある日ふっと自分の中に降りてきたもので、

「労を惜しまず、見返りを求めない。私たちの辞書に“手抜き”という文字はない」

という言葉です。

この言葉をある方に話したとき、とても褒めてくださいました。そして、その方から新たにいただいた言葉があります。

「マナーは成功者をつくる」

成功している人は、技術や立場だけではなく、“人としての美しい振る舞い”を身につけている。だからあなたの仕事は、多くの人の成功を支える本質だよ──そう言ってくださったのです。自分が幸せになるためにも人に貢献していくことが最高の幸せになるっていうこと、これが皆さんにでも何か響いてくれたら嬉しいです。

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