丸心産業株式会社 代表取締役 小口 幸太氏
1970年創業の丸心産業株式会社は、ゴム・スポンジ・テープ・シート類の加工を中心に事業を展開する老舗製造業だ。3代目として経営の舵を取るのが、小口幸太代表。プロボクサーを目指し、上京、 見ず知らずの土地で、0から、自分の存在価値を構築しました経験を活かし、家業に入り、10年間(現場、営業、その他 一部経営にかかわりながら、2024年4月に代表取締役へ就任した。「自分がどうありたいか」を軸に、組織の体制づくりから未来の事業拡大まで、挑戦を続ける小口代表に、現在の取り組みから経営観、そして今後の展望まで話を伺った。
3代目としての覚悟 ― 経営者になったきっかけと価値観
――事業内容と、経営者になられた経緯についてお聞かせください。
丸心産業株式会社は、ゴム、スポンジ、テープ、シートといった緩衝材を主にプレス機で打ち抜く水加工をしています。女性の比率が高い職場ですが、3Kというイメージを脱し、高い品質を維持しています。創業55年を迎え、中期的なビジョンとして事業拡大に伴うM&Aを中心とした事業展開を考えています。特に後継者不足に悩むゴム製品を扱う同業者や企業さんを取り込み、ある程度の業界シェアを確保することが目標です。
私自身は3代目で、高校卒業から約10年間プロボクサーとして活動し、日本ランキングに入り、実績も残し、30歳の時に結婚のタイミングで家業にはいりました。入社してからの約5年間は、製造部門と営業部門、すべての現場を回り、会社の流れを一通り経験しました。そこで感じたのは、組織に属して働くことへの「これで大丈夫か」という戸惑いでしたね。
転機となったのは、約3年前。かしこまって「組織」という箱に収まろうとするのではなく、「自分が取り組んできたことを活かすしかない」「自分にしかできないことをやろう」と開き直ったんです。そこからは、自分が培ってきた考え方や、非日常的な空間を「常態化」させるようなイメージで、社内研修や取り組みを導入しました。常に刺激、発見、ドキドキというステップを楽しみながら、うちの会社を利用してほしい、という考えで動いています。
任せる組織づくり ― 主体性を育てるコミュニケーション
――社員さんとの関わり方で大切にしていることを教えてください。
経営者が実務を抱えてしまうと組織が伸びません。ここ3年ほどは、できる限り社員に裁量を渡し、任せる体制をつくってきました。まずは私がやって見せて、そこから主体的に動いてもらう流れを意識しています。
――組織づくりで工夫している点は?
部署ごとの業務範囲を明確に分け、“見える化”したことです。見えない不安は前向きな行動を妨げます。役割や制度、退職金規定なども含めて明文化することで、安心して仕事に向き合えるようにしています。
――社員に求める人物像はどんな方でしょうか。
「自分の人生を自分でつくってきた人」です。経験の多さよりも、自分で考え、行動し、試行錯誤してきたプロセスを持つ方は、どんな局面でも対応力があります。採用でも第一印象を大切にしていて、形式的な履歴書より、その人の“人間力”を重視しています。
未来への挑戦 ― 次なるステージに向けて
――今後の展望と、個人的な価値観についてお聞かせください。
中長期的な展望は、М&Aによる事業規模の拡大と業界シェアの確保です。これを実現するために、自社だけでは難しいと判断し投資ファンド活用し、各ファンドとトップ面談を重ねるうちに、課題点が見えてきたので、各仕業様と連携をしながら、少しでもリスクを可視化し、体制を整える事を第一優先に、もう一度交渉を進めていきます。今までになかったことをやろうとするとき、未知の領域に入るのは好きなのですが、思いつきではなく、現状をちゃんと理解した上で可能性のある場所に行きたいと考えています。今の環境で満足するのではなく、会社が持つノウハウや資産を世の中に広げることが使命だと思っています。
そして、尊敬する人物は「自分」なんです。他人に憧れを持つのは素晴らしいことですが、どう頑張ってもその人にはなれません。それよりも、なりたい自分、こうなったときの自分を具体的に思い浮かべ、その未来の自分を尊敬しながら日々行動する。自分が目標であり、象徴です。
私自身は、何の能力もない、レベルの低い人間だというコンプレックスを持っています。だからこそ「どう生きていくか、どう勝っていくか」という姿勢が、今に繋がっています。コンプレックスが、私にとっての最大の原動力になっているんですね。
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
筋トレですね。リフレッシュというより、常に良い身体の状態を保つための習慣です。頭の中は常に会社のことでいっぱいですが、身体が整っていると自然と前向きに動けるので大切にしています。

