仲間を信じ、任せる組織へ。DIY文化で成長する居酒屋づくり

株式会社ハカタネクスト 代表取締役 池田壮志氏

福岡・長崎・東京で居酒屋事業を展開する株式会社ハカタネクスト。代表の池田壮志氏は、幼い頃から親しんだ“福岡の居酒屋文化”を全国に届けるべく、自社施工による店舗づくりと、人を大切にする経営を貫いてきました。今回は、事業の特徴、池田氏のキャリアと価値観、組織づくり、未来の展望、そしてリフレッシュ方法について伺いました。

生まれ育った“福岡の居酒屋文化”を再現する

――現在の事業内容と会社の特徴について教えてください。

福岡・長崎・東京で居酒屋事業を展開しています。平均年齢は35歳ほどで、若い社員が中心です。大きな特徴は、店舗の内装を社員たち自身でDIY施工している点です。父が大工だった影響もあり、創業当初から「手作りの居場所」を大切にしながら店舗づくりをしてきました。知人から依頼を受けて施工をお手伝いすることもあります。

福岡に出店した理由は、自分が育った場所で、幼い頃によく通っていた居酒屋の雰囲気を再現したかったからです。その思いを長崎、そして昨年は東京へと広げ、「子どもの頃に感じた居酒屋」を形にし続けています。

挫折が原点となったキャリアと、“人を認め思いやる”という経営者としての価値観

――経営者になられたきっかけを教えてください。

とにかく「居酒屋をつくりたい」という情熱がありました。仲間と語り合い、料理を楽しみ、人が集まる空間が好きで、自分ならそれを実現できると信じて独立しました。

――これまでのキャリアで、最も印象に残っている出来事はありますか。

新卒でチェーン居酒屋に就職した頃の経験です。朝まで働き、片づけを終える頃にはビジネスパーソンが通勤している。その中で「働くとは本当に大変なことなんだ」と痛感しました。あのつらさは、今でも強く記憶に残っています。

――仕事で特に大切にしている価値観は何でしょうか。

「人を認め、人を思いやる」という姿勢です。行動の裏には必ず背景があるので、その人の立場や状況も含めて理解しながら接するように意識しています。スタッフを大切にするという想いは、経営者として譲れない部分です。

任せることで主体性を育てる、ハカタネクスト流の組織運営とコミュニケーション

――組織運営で意識されていることを教えてください。

ポイントは「任せる」ことです。店舗やエリアの運営は管理職に委ね、途中で細かく指示を出さないようにしています。主体性を引き出すには、責任と権限のバランスを整えて渡すことが不可欠だと考えています。

――コミュニケーション面で工夫されていることはありますか。

情報伝達は役職に沿って段階的に行うよう意識し、役職を飛び越えて直接指示が行かないようにしています。会議の開催時期や進め方も、店長や管理職に判断を任せています。私は必要なタイミングで相談を受ける側に回っています。

――組織文化として特徴的な点はありますか。

社員は40名弱、アルバイトを含めると200名規模です。店舗ごとが“ひとつの会社”のように機能し、店長が裁量をもって運営しています。今後は、店長として活躍できる人材を育てるため、育成の仕組みを整えることが重要だと感じています。

東京エリアでの売上10億をめざし、飲食一本で勝負する

――今後の展望を教えてください。

今後は東京での店舗展開を本格化させていきます。東京駅や上野などのターミナル駅への出店を計画しており、東京だけで売上10億円をつくることを目標にしています。事業は飲食一本で進める方針です。

――店舗拡大に向けての課題はありますか。

最も大きいのは人材育成です。店長に責任だけでなく権限も渡し、店舗を任せられる人材を育てたいと考えています。「素直で、いいやつであること」という採用基準を大切にしながら、外部・内部問わず仲間を迎え入れていく予定です。

静かな温泉で心を整える

――仕事のリフレッシュ方法を教えてください。

温泉やお風呂が好きで、時間ができればよく行きます。都会ではなく、静かで自然の多い場所でゆっくり過ごす時間が、自分にとって一番の癒しです。忙しい週は、毎日のように湯船に浸かることもあります。

――現在の業務では、どのような役割を担っていますか。

現場の運営は店長や管理職に任せています。新しい店舗の開発や経営判断が今の主な仕事で、基本的には口出ししすぎず、数字が大きくぶれないかを見守るスタンスです。アルバイト採用を含め、現場の運営判断も店舗側に委ねていますが、必要なときには相談に乗り、一緒に方向性を考えるようにしています。

これからは、仲間が安心して働ける組織づくりと東京での挑戦を進めながら、人を思いやる文化を大切に、居酒屋づくりの可能性を広げていきたいと思っています。

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