ポジウィル株式会社 代表取締役 金井芽衣氏
キャリアを「仕事」だけでなく「人生」そのものと捉え、一人ひとりの生き方に寄り添うポジウィル株式会社。
20〜30代を中心に、転職や職場の悩みはもちろん、結婚・出産といったライフステージの変化まで、多様な相談に応じています。
今回は、代表取締役の金井氏に、事業の現状やこれまでの歩み、そして未来への展望について伺いました。
人生を軸にしたキャリア支援のかたち
――現在の事業内容と特徴を教えてください。
私たちは「キャリア=仕事」ではなく「キャリア=人生」と捉えています。相談者の多くは20代〜30代ですが、悩みは仕事に限らず、結婚や出産、パートナーとの関係など人生設計全体に及びます。
主力事業はキャリアのパーソナルトレーニング「POSIWILL CAREER(ポジウィルキャリア)」です。単なる転職支援ではなく、一人ひとりの「生き方のデザイン」を重視しています。大学教授と共同開発したプログラムを用い、学術的裏付けに基づく支援を提供できる点も強みです。
――企業理念やビジョンについて教えてください。
理念は「どう生きたいかを基盤にキャリアを築く」ことです。キャリアは本来、人生そのものを意味します。前職リクルート時代は転職支援をしていましたが、人生全体を見据えるには限界がありました。そこで、仕事にとどまらない支援を実現するため会社を立ち上げました。社員やお客様が迷ったとき、頼れる存在でありたいと考えています。
起業家としての歩みと学び
――経営者になったきっかけは何ですか。
社長を目指していたわけではありません。前職で働く中で、自分がどんな環境・働き方であればより力を発揮できるかを考えるようになったことがきっかけです。
子育てやライフイベントを迎えながらも、自分らしく働き続けられる形を模索したいと思い、独立を決意しました。
当初は一人で続けられれば十分と考えていましたが、事業を進める中で、人生やキャリアに悩む人の多さに気づき、より多くの人の支えになりたいという想いから、ミッションを広げていきました。
――印象に残っている出来事はありますか。
大きな学びは、採用と上場準備でした。当時の自分の力不足もあり、外部から経験者をお招きしたものの、組織との噛み合わせがうまくいかずに苦戦した時期もありました。さらに、上場を急ぐあまり「形だけ整った状態」になっていたことに気づかされたのは、本当に痛烈な経験でした。
そこから、経営者として「どんな市況でも社員に給料を払い続けられる会社でなければならない」と、強い覚悟を持つようになりました。会社を続けるということは、どんなに状況が厳しくても守るべき人たちに責任を果たすことだと実感した瞬間でもあります。
一方で、キャリア相談を単発型から継続型に切り替えたことは、大きな成功でした。お客様と深く関わることで確実な変化を生み出せると実感でき、この経験が自分の中で大きな自信につながりました。
あのときの手応えが、今の事業モデルを形づくる原点になっています。
社員と共につくるオープンな組織
――社員の主体性を引き出すために工夫されていることはありますか。
社員との距離を近く保ち、コーチング文化を社内に根づかせています。トレーナー同士が社内でセッションを行ったり、1対1で率直に話すワンオンワンを頻繁に実施しています。さらに、全社員でのランチ会などを通じて、日常的に意見を交わせる環境をつくっています。
――社内コミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。
最も重視しているのは忌憚のないフィードバックです。厳しいことを伝えるのは勇気が要りますが、成長を願うからこそ率直に伝えます。これはリクルート時代に自分自身が厳しくも愛あるフィードバックを受け、成長できた経験から来ています。
「生き方」の選択肢を広げる未来へ
――今後の展望について教えてください。
これまでは、キャリアを軸に「どう生きるか?」を考える支援をしてきましたが、今後は、人生全体の生き方や選択肢を広げる取り組みに進化させていきたいと考えています。
働き方や副業の多様化、ライフプランや資産形成など、人生をより豊かにする領域にも踏み込み、一人ひとりが自分らしい生き方を選べる社会をつくっていきたいです。
キャリア形成はもはや仕事だけにとどまらず、人生全体をデザインする時代に入りつつあります。その変化をリードしながら、これからも「自分らしく生きる人」を増やす支援を続けていきたいと思っています。
経営の裏にある価値観と日常
――経営において大切にしている価値観は何ですか。
「自分を嫌いにならないこと」です。困難に直面して諦めてしまうと後悔が残り、自分を否定してしまうからです。だからこそ最後までやり抜く姿勢を大切にしています。
――プライベートのリフレッシュや経営以外の情熱について教えてください。
日課のピラティスで心身を整えています。また、1歳9か月の子どもと過ごす時間は大きな喜びであり、経営に向き合う活力になっています。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
将来的には、副業や新しい働き方、ライフプランや資産運用など「生き方の選択肢」を広げられる会社を目指しています。誰もが自分らしい道を選べる社会の実現に向けて、挑戦を続けていきたいと思います。

