丸井織物・宮本社長が語る「組織の力」と「人間成長」──伝統と革新の両輪で挑む経営の未来
丸井織物株式会社 代表取締役 宮本 智行 氏
石川県に本社を構える丸井織物株式会社。国内外で展開する繊維事業を中心に、IT関連や産業資材といった多角的な事業を手がける総合企業グループとして成長を続けています。伝統工芸の地・石川から世界へ。組織力を武器に持続的成長を目指す同社の経営観と、宮本氏が描く未来像についてお話を伺います。
目次
伝統的なものづくりを世界へ
──現在の事業内容と特徴について教えてください。
事業は大きく3つの柱があります。一つは創業時からの「テキスタイル事業」、次に「IT関連事業」、そして「産業資材事業」です。グループ全体で見ると、テキスタイルが約40%、ITが20%、産業資材が10%、残りの30%ほどがトレーディングなどの商社機能です。国内外の両面で展開しており、伝統的なものづくりに加えて、デジタルやグローバルの要素も強くなっています。
弊社としての強みは、やはり「組織力」ですね。織物の世界は技術力が前提ですが、それを安定的に発揮できるのはチームとしての力があるからこそ。現場・開発・営業が一体になって動ける強さが丸井織物グループの一番の特長だと思っています。
自然な流れで、事業を継承
──経営者になられた経緯をお聞かせください。
正直に言うと、オーナー企業なので、自然な流れでした。いわゆる「息子だから」戻った、というシンプルな理由です。ただ、それだけではなく、自分でも会社を経営していた経験があるので、経営というもの自体には以前から携わってきました。今も別の事業を継続しており、それぞれの現場で学びながら会社を見ています。
自立して、考え、行動できるように
──経営において大切にしている価値観は何でしょうか。
事業によっても異なりますが、グループ全体として掲げている価値観は「人間成長」です。社員一人ひとりが成長し、自立して考え、行動できるようになることが、結果として会社の力につながる。これはどの事業にも共通している理念です。企業としての成功よりも、人としてどう成長していくかを重視しています。
経営に「処方箋」は存在しない
──社員の主体性を高めるために意識していることはありますか。
基本的には「任せる」ことです。メーカーとして品質や手順を変えてはいけない部分も多いですが、その中でどう成果を出すかは、個々に考えてもらっています。KPI(重要業績指標)を明確に設定して、目標達成の意義や意味を伝えた上で、やり方は任せる。報告よりも実行を重視しています。こちらがすべてをコントロールするのではなく、自分の頭で考えて行動できる人を増やしたいという思いがあります。
社員とコミュニケーションをするうえで、特別なルールは設けていません。TPOに応じて柔軟に対応しています。すべてを任せるわけでもなく、ときには明確な指示が必要な場面もあります。経営には「処方箋」はないと思っています。
心のエネルギーを持っている人たちとともに
──社員に求める資質についてはいかがですか。
ポジションや業務によって異なりますが、全員に共通して言えるのは「元気であること」。
結局のところ、どんなスキルよりも前向きに考え、元気にコミュニケーションが取れる人が組織を活性化させてくれるのです。細かなスキルは後からいくらでも学べますが、心のエネルギーを持っている人と一緒に働きたいですね。
これからも持続可能な成長モデルを
──今後のビジョンについて教えてください。
2036年にグループとして1000億円の売上、経常利益100億円を目標にしています。現在の売上は約340億円。まだ道半ばですが、焦らず確実に進めていくつもりです。伝統産業でありながらも、ITや新素材、海外展開などを積極的に取り入れることで、持続可能な成長モデルを築きたいと思っています。
伝統づくりを継承し、変化を恐れず挑み続ける
──最後に、今後の経営におけるキーワードを挙げるとすれば?
「挑戦と継承」です。伝統を守りながらも、変化を恐れずに挑戦し続ける。ものづくりの本質を大切にしつつ新しい分野に踏み出す勇気を持ちたいですね。企業も人も、成長は常に変化の中にあると思っています。