幸せが循環する場所をつくる──株式会社アッティ・梁燦久が描く、健康と人を起点にした経営のかたち

株式会社アッティ 代表取締役 梁 燦久(リャンチャング)氏

小売、治療院、飲食、介護、人材・キャリア支援など、健康産業を軸に多角的な事業を展開する株式会社アッティ。代表の梁燦久氏は、「どうすれば関わる人たちが幸せな人生を送れるのか」という問いを、経営の中心に据えてきました。派手な成長を追うのではなく、着実に基盤を整え、人と組織が長く輝き続ける仕組みをつくる。その背景にある考え方や経営に至ったきっかけ、組織づくりへの思い、そしてこれから目指す未来について、梁氏ご自身の言葉でお話を伺いました。

健康産業を軸に、幸せが循環する事業をつくる

――まず、御社の事業内容について教えてください。

私たちは2011年に創業し、現在16期目になります。東京都品川区をメイン拠点に、事業としては、小売、治療院、治療院の姉妹ブランド、飲食事業、そして人材やキャリア支援と、いくつかの柱を展開しています。実家の広島では介護施設を中心とした事業にも関わっているため、全体としては「健康産業」を軸にしています。いろんな形はありますが、根っこにあるのは「幸せが溢れるような場をつくりたい」という思いですね。

――事業の中でも、特に特徴的な取り組みはどのような点でしょうか。

小売事業は治療院との相関関係が強く、インナーケアやヘルスケア、スキンケアといった分野を扱っています。今はECでの展開が中心ですが、いわゆるウェルネス商品というイメージになると思います。自分自身が「本当にいいな」「使いたいな」と思えるものを事業として形にしていて、大切な人たちにも安心して使ってもらえるものを選んでいます。

治療院についても、日本を代表するような治療家を集めたいという思いで取り組んでいますし、飲食も、美と健康に良い美味しい料理やお酒を楽しめる場をつくりたいという気持ちから始めています。介護施設についても、自分の親を預けたいと思える安心した場所を目指しています。

――経営全体としては、どのようなスタンスで進めているのでしょうか。

派手に売上を追いかけるというよりは、きちんと利益を確保しながら、着実に進めていくという考え方です。自分が「最高だな」と思えるものを自社の事業体にしているので、外に流れるコストが少なく、結果として経費が抑えられている部分もあります。

まだまだ発展の途中で、スタートラインに立ったばかりという認識ではありますが、長く続き、多くの人に貢献できる企業になりたい。そのための土台を、今まさに作っている段階だと思っています。

「一人で背負わない」ために選んだ、経営という道

――経営の道に進まれたきっかけについて教えてください。

正直なところ、最初から起業しようと思っていたわけではありませんでした。もともとは大学時代に鍼灸の国家資格を取得し治療家として、サービス業の現場で働いていましたし、仕事そのものに不満があったわけでもありません。むしろ天職だと感じておりました。ただ、治療という仕事はどうしても長時間労働になりがちで、指名してくださる方が増えれば増えるほど、責任感から無理をしてしまうタイプでもありました。

もしこの先、大切な家族や身近な人に何かあったとき、自分が一個人としてしか動けなかったら、守れるものが限られてしまう。そう考えたときに、「オーナーとしての立場になる必要がある」と感じたのが大きな転機でした。

――ご自身にとって、経営は向いている選択だったと思われますか。

向いているかどうかは、正直今でも分かりません。ただ、これまでの人生で多くの出会いに恵まれてきました。勉強でもスポーツの世界でも、治療家としての現場でも、非常に厳しくも真剣に向き合ってくれる指導者や先輩方に育ててもらいました。若い頃から高い基準を求められる環境に身を置かせてもらえたことは、今の考え方の土台になっていると思います。

そうした経験があったからこそ、リスクを最小限に抑えながらも、家族や身近な人たちを含めて、より多くの人を守れる形を考えた結果が「経営」でした。

――治療院事業について、特徴的な取り組みもされていますよね。

会員制治療院では、私自身が「この先生はすごい」と感じた治療家の方々に集まっていただいています。なかなか出会えないような治療家の方々と一緒に、質の高い治療を提供する場をつくっています。一方で、ボディコンディショニングの方は、日常的に身体を整えていくための、いわば“かかりつけ”的な存在です。

それぞれ役割は違いますが、どちらも、常にベストコンディションを保ちながら、「長く健康でいられること」を大切にしている点は変わりません。

「必ず会う場」をつくり、想いでつながる組織へ

――多くの方が関わる組織の中で、社員の主体性やモチベーションについて、どのようなことを意識されていますか。

正直なところ、何か特別なことをしているという意識はあまりないんです。ただ、一つ必ずやっているのは、「会う場」をつくることですね。コロナの時期も含めて、どんなに忙しくても、人と人が顔を合わせる場は意識的につくるようにしてきました。月に一回だったり、四半期に一回だったり、事業部によって頻度は違いますが、「同じ想いでつながっている」という感覚を大事にしています。

――コミュニケーションの取り方で、特に工夫されている点はありますか。

役員や各事業部のコアメンバーとは、かなり密にやり取りしています。ほぼ毎日顔を合わせたり、すぐに連絡が取れる状態をつくったりして、優先順位をすり合わせる時間を大切にしています。ただ頑張るだけではなくて、「今、何が一番大事なのか」「逆に、今はやらなくていいことは何か」を一緒に整理する。その時間があるだけで、動き方は大きく変わると思っています。

――事業をまたいだ関わり方についてはいかがでしょうか。

うちはジョブローテーションも多い方だと思います。その中で、売上目標やKPIを達成するために、すべてを均等にやるのではなく、何が決定的に重要なのかを明確にすることを重視しています。やることを書き出して、その中で本当に大事な二割は何なのかを一緒に考える。トップがそこを明確にすることで、事業部のスタッフ一人ひとりの動き方も自然と変わってくると感じています。

「どうすれば、みんなで幸せになれるか」を問い続ける未来

――これから実現していきたい夢や目標について、教えてください。

まず定性的なところで言うと、関わった人たちが「幸せな人生だったな」と思えるかどうか、そこにどれだけ貢献できたかが一番大事だと思っています。私と出会ったことで、「最高に輝けた人生だった」と思ってもらえるような関わり方ができるか。そのために自分が何をできるのか、正直そこしか考えていない部分もあります。

ただ、経済活動である以上、想いだけではなく、どう定量化していくかも必要になってきます。会社としては、関わった仲間たちがしっかり育ち、できることなら経営者として羽ばたいていく。そういう人が増えていったらいいなと思っています。指導したいというよりは、自分自身が模範であり続ける必要がある、という感覚ですね。

――事業としては、どのような姿を目指しているのでしょうか。

各事業や地域において、「ここが一番だね」と言われる存在をつくることはかなり意識しています。それが売上なのか、利益なのか、規模なのか、知名度なのかは、事業ごとに違いますが、それぞれに合った指標を定めて、目標設定をしています。

「人を残すは上なり」という言葉が、自分の中ではすごくしっくりきています。地域や業界を牽引するような経営者・事業家が増えていくことが、結果的に社会全体の豊かさにつながると思っています。

――代表ご自身として、これから挑戦していきたいことは何でしょうか。

これまでは、体力や行動力に頼って、現場に深く入りながら走り続けてきました。ただ、これからは少しずつ立ち位置を変え、各事業部のトップが主体的に経営していく形へ移行していきたいと考えています。大切にしてきた価値観やDNAが受け継がれ、それぞれが個性を発揮しながら輝いていく組織になることが、結果的に社会への貢献になるのではないかと思っています。

現場に入りたい気持ちは今でも強いですが、次のステージに求められている役割を受け入れながら、やるべきことを徹底的にやり切る。その先は、天命を待つだけだと思っています。

限られた時間の中で、心を整えるひととき

――お忙しい日々の中で、リフレッシュ方法や趣味はありますか。

毎日朝から晩まで仕事をすること、日々自分と他の人との約束を守り続け、成長・達成をしていくこと。これ以上に楽しくスリリングで価値あることはないと感じているので、正直なところ、あまり「これが趣味です」と決めているものはないかもしれません。自分の日々の思考・行動と、目的・目標を連動させているためか、元々あまりストレスは溜まらないですね。毎日気負わずに過ごしています。強いて言うなら、読書をすること、身体を動かすこと、大切な仲間たちと軽くお酒を飲むことくらいですね。どちらも、日常の延長線上にあるような感覚です。

――ご家族と過ごす時間も、大切にされているのでしょうか。

最近は特に、家族と過ごす時間が大きなリフレッシュになっています。息子が二人いて、上が小学生、下がまだ小さいんですけど、限られた時間の中でも一緒にじゃれ合ったり、遊んだりしています。こちらが遊んであげているというより、一緒に楽しんでいる感覚の方が強いかもしれません。子どもの挑戦している姿や成長を見ていると、私も負けてられないという気持ちと、幸せだなと感じる時間ですね。

――忙しい中でも、自然体で過ごされている印象があります。

あまり無理に切り替えようとはしていないですね。仕事も生活も、きっちり分けるというよりは地続きのものとして捉えています。その中で、本を読んだり、家族と笑ったりする、そういう何気ない時間が結果的に心を整えてくれているんだと思います。

日々の中にある小さな充足感を大切にしながら、自分自身が心地よい状態でいることが、結果的に仕事や周囲の人との関係にも良い影響を与えてくれる。そう感じています。これからも、自分自身の本当に求めているものに沿って仕事と向き合い、世の人たちが求めているものを提供し続け、自分自身と仲間たちの基準を上げ続け、関わる人たちとともに前へ進んでいけたらと思っています。

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