日本のものづくりとキャンプ文化を世界へ――コミュニティから広がる「neru design works」の挑戦

株式会社neru design works 代表取締役 重弘 剛直氏

アウトドアカルチャーが広がる中、独自の世界観と高いデザイン性で注目を集めているブランドが株式会社neru design worksです。キャンプ用品を中心としたプロダクトを展開しながら、SNSを通じてコミュニティを形成し、国内外のファンを増やしてきました。ブランドを立ち上げたのは、長年メーカーに勤めていた重弘剛直氏。日本のものづくりへの想いを原点に、キャンプという文化を軸にした独自の活動を続けています。本記事では、事業を立ち上げた背景や現在の取り組み、今後の展望について伺いました。

日本のものづくりを未来へつなぐために

――現在の事業内容について教えてください。

当社はいわゆる「ガレージブランド」と呼ばれる形態で、キャンプ用品を中心に商品を企画・展開しています。基本的には私一人で運営しており、製品づくりは職人の方々と協力しながら進めています。

もともと私は素材メーカーである東レに20年以上勤務していました。繊維事業に関わる中で、日本のものづくりが海外へ移転していく流れを現場で見続けてきました。大きな企業の一員としてその流れを推進する立場でもありましたが、同時に日本のものづくりが衰退していく現実を強く感じていました。

そこで、自分の立場で何かできることはないかと考え、当ブランドを立ち上げました。もともとキャンプが好きで、ものづくりにも興味があったため、その二つを掛け合わせた形で活動を始めました。

ブランドを立ち上げたのは約12年前です。当時はちょうどSNS、とくにInstagramが広がり始めた時期でした。SNSがあれば個人でも情報発信をしながら商品を広められる時代が来ると感じ、職人の方々と協力して製品を作りながら、その魅力を世界へ発信してきました。

現在ではキャンプ用品にとどまらず、アパレルや靴、ビジネス用品、さらには車のプロデュースなど、幅広いプロダクトにも取り組んでいます。コミュニティを基盤にしたブランドであるため、ユーザーの趣向に合ったものを企画しながら展開しています。

――この事業を通じて実現したい想いを教えてください。

大きく三つあります。一つ目は、日本のものづくりに貢献することです。ブランドを始めた原点でもあり、今も変わらず大切にしています。

二つ目は、キャンプという遊びを「流行」ではなく「文化」として定着させることです。コロナ禍でキャンプブームが広がりましたが、その後はブームが終わったと言われることもあります。しかし私としては、日本のキャンプ文化そのものを長く根付かせたいと考えています。現在アジア各国で活動しているのも、その文化を広げるためです。

そして三つ目は、日本の会社員の方々に元気になってほしいという想いです。私自身も長くサラリーマンとして働いてきましたが、海外と比較すると日本の会社員は元気がないように感じることがあります。本来、仕事はもっと楽しいものであるはずです。

私のフォロワーには会社員の方が多いこともあり、毎日メルマガを書きながら、働くことの意味や考え方についてメッセージを発信しています。

職人と共につくるプロダクト

――ものづくりにおいて大切にしていることは何でしょうか。

一緒に製品を作る方の多くが職人です。職人の方々は強いこだわりを持っている人が多く、ものづくりに対して非常に真剣に向き合っています。

私が大切にしているのは、その技術や価値を商品にきちんと反映することです。日本のものづくりを衰退させないことが目的なので、加工費を安くしてほしいといった交渉は基本的にしません。職人の技術が適正に評価され、その価値が製品に反映されることが重要だと考えています。

そのうえで私の役割は、デザインやマーケティングです。職人の技術を最大限活かした商品をつくり、それを世界中に届けることが私の仕事です。適正な価格で販売できるようにブランド価値を高め、より多くの人に届けることを目指しています。

例えば刃物製品などでは、鍛冶職人の高齢化が進んでいるという課題があります。若い人が職人にならない理由の一つは、そこに十分なお金が回らないからです。きちんと価値が評価されれば、若い世代も職人という仕事を選ぶようになるはずです。そうした流れを生み出すことも、ブランド活動の重要な役割だと考えています。

コミュニティから広がるブランド

――今後の挑戦や展望について教えてください。

今取り組んでいる大きなテーマの一つが、海外でのコミュニティづくりです。現在は韓国、中国、台湾、タイなどでキャンプイベントやポップアップイベントを開催しています。

これまで日本でブランドを広げてきた方法は、大規模な展示会に出ることではなく、ファンとのコミュニケーションを積み重ねることでした。イベントなどを通じてコミュニティを作り、そのつながりの中でブランドを育ててきたのです。

その方法を海外でも同じように展開していきたいと考えています。アジア各国でコミュニティを作り、日本のキャンプ文化を広げていくことが今後の目標の一つです。

もう一つの挑戦は、会社員に向けたメッセージ発信の拡大です。現在は毎朝メルマガを書き、千人以上の方に届けています。ただ、より多くの人に伝えていくためには発信の幅を広げていく必要があります。

その取り組みとして、現在は出版社と話を進めながら書籍の出版も検討しています。キャンプの話というよりも、働き方や考え方についての内容を発信していきたいと思っています。

一人で続ける経営の可能性

――現在の経営における課題はありますか。

事業自体が行き詰まっているわけではありません。ただ、これまでずっと一人で事業を続けてきた中で、今後の方向性について考えることはあります。

ブランドの規模が大きくなっていく中で、会社を組織化して人を増やすべきなのか、それとも今のように一人で運営しながら自分のペースでやりたいことを実現していくべきなのか。どちらが正しいのかは、正直まだ分からない部分もあります。

周囲からは「もっと人を雇って組織化したほうがいい」と言われることもあります。ただ、規模を大きくすることだけが正解とは限りません。今後の事業の方向性を見ながら、自分にとって最も自然な形を見つけていきたいと考えています。

好きなことを仕事にするということ

――リフレッシュ方法について教えてください。

実はここ2年ほど、週末はほぼ毎週イベントを開催しています。昨年は何も予定がなかった週末が2回しかありませんでした。今年も年明けからずっとイベントが続いています。

そのため、いわゆる「休みの日」という感覚はあまりありません。ただ、自分の好きなことを仕事にしているので、キャンプイベント自体がリフレッシュになっています。仕事をしながら楽しんでいる、という感覚に近いかもしれません。

好きなことを仕事にできると、働くことそのものが前向きな時間になります。そうした働き方の価値も、発信を通じて伝えていけたらと思っています。

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