AIで業界の未来を切り拓く――ピーメディアジャパンが描くパチンコ業界の再成長戦略
株式会社ピーメディアジャパン 代表取締役 髙橋和輝氏
株式会社ピーメディアジャパンは、長年パチンコ業界に携わってきた経験を基盤に、AIを活用した新たなサービスを展開する企業です。従来のコンサルティングやプラットフォーム事業で培った知見をもとに、2025年よりAI事業を本格始動。業界特化型の経営支援や顧客接点の高度化を通じて、新たな価値創出に挑戦しています。本記事では、代表取締役の髙橋和輝氏に、事業の背景や特徴、経営に対する考え方、そして今後の展望について伺いました。
パチンコやレジャー業界に特化したAI事業の全体像
――現在の事業内容について教えてください。
現在はAIを軸としたサービスに注力しており、特にパチンコホール向けに、経営支援や顧客対応の向上を目的としたAIサービスを展開しています。パチンコ業界は大きな市場規模を持つ日本独自の産業であり、縁あって長年パチンコ業界に関わってきた経験から、この業界に貢献したいという想いがあります。
AI事業では大きく三つのサービスを提供しています。
一つ目は経営分析です。AIを活用して店舗のデータを分析し、売上や稼働状況、顧客動向などを可視化することで、より精度の高い経営判断を支援します。これまで経験や勘に頼っていた部分をデータに基づく経営へと転換する取り組みです。
二つ目は顧客接点を担うチャットボットです。単なる問い合わせ対応ではなく、ホールごとの経営方針や考え方を学習し、「どの台を選ぶか」といったお客様の本質的なニーズに応えます。さらに、ホール側の意図や戦略を適切にお客様へ伝える仕組みとしても機能します。
三つ目は顔認証による接客支援です。例えば、1ヶ月ぶりのお客様と3日連続で来店されたお客様では、かけるべき言葉は異なります。こうした違いをAIと顔認証の組み合わせで実現し、来店頻度、遊技スタイル、好みに応じた接客を可能にすることで、顧客との関係性の向上につなげています。
――なぜAI事業に注力されたのでしょうか。
背景には、業界全体の将来性への危機感があります。パチンコ業界に限らず、日本の多くの産業は成長の面で厳しい状況にあります。その中で、本業であるパチンコ業界に軸足を置きながら、もう一方の足は成長産業に置く必要があると考えました。これまでプラットフォーム事業やSaaSにも取り組んできましたが、現在の時代における成長分野はAIであると判断しました。「パチンコ業界に貢献できるAIサービスをつくる」という想いが、現在の事業の出発点です。
東日本大震災をきっかけに歩んだ経営の道
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
大きな転機は東日本大震災です。当時はすでに独立してコンサルタントとして活動していましたが、全国で仕事をしていた中で、被災地の仲間が困っている状況に直面しました。しかし、コンサルタントという立場では現場を離れることはできず、すぐに現地へ駆けつけられないもどかしさがありました。
自分の意思で必要な場所にすぐ動ける存在でありたい――その想いが、本当の意味での独立、そして経営の道へとつながっています。単なるビジネスではなく、「人の役に立ちたい」という原点が、現在の事業にも通じています。
AI事業の拡大と成長戦略
――今後の展望について教えてください。
AI事業は2025年に開発を開始し、現在はすでにサービスをローンチしています。今後はこのサービスを広げていくフェーズに入っています。4年後には営業利益3億円規模を目指しており、EBITDA倍率5倍を前提とした企業価値15億円規模の実現を目標としています。
この事業は利益率が高いモデルであるため、成果がそのまま利益として積み上がりやすい構造です。すでに市場からの反応も良く、想定以上の引き合いがある状況です。そのため、まずは一つひとつの顧客に真摯に向き合い、サービスの質を高めていくことが重要だと考えています。
――経営において、課題との向き合い方についてどのようにお考えですか。
課題は多くありますが、明確なボトルネックがあるとは考えていません。苦手を克服するよりも、強みを伸ばすことを重視しています。コンサルティングの経験から、弱点の改善だけでは企業は大きく成長しにくいと感じてきました。長所を伸ばし続けることが、結果につながると考えています。
組織としても同様で、現在は少人数体制ながら、柔軟な働き方を取り入れています。業務を細かく分解し、短時間でも高い能力を持つ人材が活躍できる環境を整えています。その結果、大企業出身の優秀な人材が参画するなど、組織の質を高めることにつながっています。
AIで業界に価値を生み出す理由
――事業を通じて社会にどのような価値を提供したいとお考えですか。
パチンコ業界は大きな産業ではありますが、飲食や他のレジャー、エンターテインメントなど、さまざまな業界と時間やお金を巡って競争しています。その中で、10年後、20年後も業界が生き残っていくためには、私たちの世代がAIを活用し、お客様の満足度を高め、接客の質を向上させていくことが不可欠だと考えています。
売上や利益の向上を支援することが、そのままこの産業への社会貢献につながると捉えています。また、弊社としても「良い仕事・良い報酬・良い学び」の三つが揃う企業でありたいと考えています。
経営者としての価値観とこれから
――休日の過ごし方や、仕事以外の側面についても聞かせてください。
現在はなかなか時間が取れませんが、以前はスキューバーダイビングで日本各地や海外の海に潜っていました。AI事業を本格的に始めてからは物理的に時間が足りず、まだ一度も行けていない状況です。いずれはまた海に潜る時間をつくり、リフレッシュしたいと考えています。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
起業について偉そうなことは言えませんが、自分の子どもに伝えるとしたら、「会社は自分でやった方が人生は面白い」と思います。もちろん大変なこともありますが、それ以上に得られる経験や楽しさがあります。
「高みを目指す」という言葉がありますが、上に行くというよりも、「より遠くへ進む」「より深く掘り下げる」という感覚に近いと感じています。人に上下はなく、それぞれが自分の道を進んでいくものです。その中で、少しでも遠くへ進める可能性があるのが、経営の面白さだと思います。
一緒にその先へ進んでいけたら嬉しいです。