地方から“食のエンターテインメント”を生み出す――朝日ドライブインの挑戦

有限会社朝日ドライブイン 社長 橋本 隆光氏

有限会社朝日ドライブインは、福島県矢吹町で食堂を中心とした飲食店を運営する企業です。約50年以上の歴史を持つドライブインとしてスタートし、長距離ドライバーや旅行者が休憩しながら食事を楽しめる場所として地域に親しまれてきました。現在はその歴史を受け継ぎながら、地域のソウルフードを提供する食堂として3店舗を展開しています。近年ではSNSを活用した情報発信や店舗づくりにも力を入れ、飲食店を“目的地”として楽しめる新しい形を模索中。本記事では、3代目として事業を引き継いだ橋本隆光氏に、事業の歩みや経営の考え方、今後の展望について伺いました。

ドライブインから“地域の食堂”へ

――現在の事業内容について教えてください。

当社はもともと大型駐車場を備えたドライブインとしてスタートしました。トラックドライバーや長距離移動の方が休憩しながら食事をする場所として始まった施設です。

現在はドライブインの形を残しつつ、どちらかというと地域のソウルフードのような食堂へとシフトしてきています。いわゆる昭和レトロな雰囲気の食堂で、現在は3店舗を経営しています。

大型車が入りやすい駐車場など、ドライブインの名残は残していますが、今では地域の方や観光客など幅広いお客様が来店する場所になっています。昔から通ってくださる常連のお客様も多く、地域の方にとって身近な食堂として親しまれていると感じています。

――お店の始まりについて教えてください。

この店を始めたのは祖父で、私は3代目です。

朝日ドライブインがオープンしたのは約53年前。当時はまだ高速道路ができる前で、「これからインターチェンジができる」という話がありました。

そこで祖父が「大型車が休める場所をつくれば地域のシンボルになるのではないか」と考え、ドライブインを始めたそうです。

当時は長距離トラックの運転手の方などが多く利用し、休憩や食事ができる場所として地域の交通を支える存在でもあったと聞いています。その後、父が2代目として引き継ぎ、現在は私が3代目として経営しています。

飲食店の常識を変えたい「食とエンターテインメントの融合」

――事業を引き継いだきっかけは何だったのでしょうか。

正直に言うと、最初から本気で継ぐつもりだったわけではありません。
私が事業を継いだのは約7〜8年前、39歳の頃でした。

それまで飲食業界の働き方を見ていて、「長時間労働・低賃金」という古い体質が残っていると感じていました。このままでは今の時代に合わなくなるし、未来がないのではないかと思っていたんです。

だからこそ、昔ながらの食堂の形を残しながらも、今の時代に合った形に変えていく必要があると考えました。

地方にはエンターテインメントが少ないと言われますが、だからこそ食がエンターテインメントになり得ると思っています。当社では「食とエンターテインメントの融合」を一つのテーマに取り組んでいます。

SNSがもたらした大きな転機

――事業の転機となった出来事はありますか。

大きな転機になったのはSNSですね。2年ほど前から本格的にSNSを活用するようになりました。

それまでの飲食店は「美味しい料理を提供する」ということが中心でしたが、SNSを使うことでお店そのものを好きになってもらうことが大切だと感じました。

「料理を食べに来る」というよりも、「この店に行ってみたい」「この店に来たよと発信したい」という目的地のような存在に変わってきたと感じています。

実際にSNSを始めてから、お客様の来店動機も変わってきました。遠方から足を運んでくださる方も増え、地域の食堂でありながら観光の目的地のような役割も生まれてきていると感じています。飲食店のあり方自体が変わってきていると実感しています。

権限を現場に任せる経営スタイル

――組織づくりで意識していることはありますか。

以前はトップダウン型の経営でしたが、それでは社員の主体性が育たないと感じました。そこで現在は各店舗の店長や役員に大きく権限を任せています。

「自分たちで店を盛り上げていく」という意識を持ってもらうことで、働いているというよりも自分の店のように考えて行動してくれるようになってきました。

また、上下関係をあまり意識させないことも大切にしています。社長だから偉そうにするのではなく、言いたいことは言える関係をつくるように心がけています。そうした環境があることで、現場から新しいアイデアや取り組みが生まれやすくなると感じています。

地方から面白いことを生み出す

――今後の展望について教えてください。

現在の年商は約2億円ほどですが、まずは10億円を目指しています。そのためには、社員一人ひとりが主体的に考え行動する組織づくりが重要だと思っています。

また将来的には、大きな駐車場を活かして民間の道の駅のような施設をつくりたいと考えています。行政主導ではなく、自分たちの発想で地域を盛り上げる場所です。

最終的には「ご飯を食べる場所」ではなく、「ここに行きたい」と思ってもらえる目的地のような場所になればいいと思っています。

地方には魅力がないと思われがちですが、地方でも面白いことはできる。そんな思いでこれからも挑戦を続けていきたいですね。

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