営業力で地元を支える――ふるくまが描く熊本発の価値創造と挑戦
株式会社ふるくま 代表取締役 高田 信太郎氏
株式会社ふるくまは、熊本を拠点に生産者や企業に向けた営業支援を行う企業です。食品業界を中心に20年にわたり営業経験を積んできた高田信太郎氏が、地元への強い想いを背景に創業しました。営業のプロとしての知見を活かし、地域の魅力を広く発信しながら、生産者の価値を市場へ届ける役割を担っています。本記事では、代表取締役の高田 信太郎氏に事業の特徴や創業の経緯、経営における価値観、今後の展望について伺いました。
目次
地元・熊本への想いから始まった営業支援事業
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
会社名の通り、ふるさと熊本を応援することが事業の軸になっています。私は熊本で生まれ育ち、地元が本当に住みやすく魅力的な場所だと感じてきました。その熊本に何かしらの形で貢献したいという想いが、起業の原点です。
これまで食品や雑貨などの営業に約20年携わる中で、生産者の方々が営業面で課題を抱えている場面を数多く見てきました。生産者はあくまで生産のプロであり、営業のプロではありません。だからこそ、自分が得意とする営業という分野で支援できるのではないかと考えました。
現在は、農畜産の生産者や食品メーカーを中心に、営業支援を行っています。企業と企業をつなぐ役割を担いながら、それぞれの価値を適切に届けることを大切にしています。
――業界内での強みはどのような点にありますか。
営業の現場で培ってきた経験をベースに、クライアントの状況に応じた伴走型の支援ができる点です。一方的に提案するのではなく、お客様の考えやビジョンに寄り添いながら進めていくことを重視しています。
また、熊本という地域に根ざし、その特性や魅力を理解した上で営業活動を展開できることも強みの一つです。例えば、熊本の水資源の魅力を観光と掛け合わせて発信する取り組みや、コラボレーション企画を通じた認知拡大など、地域性を活かした支援を行っています。
転職活動から一転、起業へ――経験を地域の力に
――経営者になられた経緯を教えてください。
もともと起業を目指していたわけではなく、昨年(2025年)までは会社員として働いていました。転職を考え活動していた中で、生産者の方々から営業支援の相談をいただく機会があり、自分の経験が役立つのではないかと感じたことがきっかけです。
熊本では営業代行という形態がまだ広く浸透していないこともあり、地域に必要とされる分野だと実感しました。明確な計画があったというよりも、現場で感じていた課題に向き合う中で、起業という選択に至った形です。
――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。
「できない」と最初から否定しないことです。お客様にはそれぞれ実現したいビジョンがあります。その想いを尊重し、まずはしっかりとヒアリングを行うことを大切にしています。
コンサルティングの立場として難しいと感じるケースもありますが、頭ごなしに否定してしまうと、お客様の可能性を狭めてしまうことにもつながります。そうではなく、寄り添いながら一緒に進んでいく“伴走”の姿勢を重視しています。
――これまでのキャリアで転機となった経験はありますか。
営業のスタンスが大きく変わったのは、調味料メーカーで働いていた時期です。それまでは営業視点で商品をどう売るかを考えていましたが、消費者の立場に視点を置くようになってから、伝え方が大きく変わりました。
どのように伝えれば価値が届くのかを考えることで、営業の成果にもつながり、視野が大きく広がったと感じています。
小さな組織だからこそ大切にする連携と価値観
――組織運営で意識していることを教えてください。
現在は家族経営の形で、役員3名体制で運営しています。私が営業を担当し、妻がデザインや経理を担っています。小規模な組織だからこそ、クライアントの意見を正確に共有し、連携を密に取ることを大切にしています。
――今後、どのような人材と一緒に働きたいですか。
地元が好きで、お客様の目線に立てる方です。この事業は単なる営業支援ではなく、地域や人への想いが前提にあるものです。そのため、同じ視点で物事を考えられる人と一緒に働きたいと考えています。
特に、ヒアリング力があり、相手の立場に立って行動できる方は重要だと思っています。
熊本の魅力を広げる挑戦と“新たな土産”づくり
――今後の展望や挑戦について教えてください。
熊本をより多くの人に知ってもらい、訪れてもらうためのきっかけづくりに取り組んでいきたいと考えています。イベントの企画や観光と連動した取り組み、食に関する商品や店舗の展開などを通じて、地域の魅力を発信していきたいです。
その中で大きな目標として掲げているのが、熊本を代表する新たなお土産の開発です。既存の定番商品に続く“第三の土産”となるような、誰もが思い浮かべる商品を生み出したいと考えています。
――その実現に向けた課題と取り組みを教えてください。
鍵になるのは、生産者や加工メーカーとのつながりです。原料となる特産品を生み出す方々、そしてそれを商品化する企業との連携が不可欠です。
そのため、今後はより多くの生産者やメーカーとの関係構築を進め、ネットワークを広げていくことが重要だと考えています。
――業界の今後についてどのように見ていますか。
観光や商品PRにおいて、SNSの活用は今後ますます重要になると感じています。情報収集の手段が大きく変化している中で、オンラインでの発信力が鍵になります。
一方で、生産者の中にはSNSが苦手な方も多くいらっしゃいます。そのため、そうした方々に対して知見を共有しながら、一緒に取り組んでいくことが必要だと考えています。
努力の積み重ねが未来をつくる
――影響を受けた言葉や価値観について教えてください。
「努力した者が成功するとは限らないが、成功した者はすべからく努力している」という言葉です。サッカーをしていた頃にコーチから教わった言葉で、今でも強く印象に残っています。
仕事においても同じで、努力の積み重ねがあってこそ結果につながると実感しています。この考え方は、今の自分の軸になっています。
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
休日は娘のバスケットボールの応援に行くことが多いです。忙しい日々ではありますが、その時間が楽しみでもあり、良いリフレッシュになっています。娘の活動を通じて得られる時間に、感謝しています。