地方の移動課題に挑む――格安中古車と金融で描く新たな価値創造
株式会社AOZORA COMPANY 代表取締役 高橋 拓巳氏
株式会社AOZORA COMPANYは、50万円以下の中古車販売を軸に、全国へと事業を拡大してきた企業です。新潟県での創業からスタートし、独自の販売ノウハウをもとにフランチャイズ展開を進め、現在では全国に直営店・FC店舗を構えています。近年は中古車販売にとどまらず、金融領域への挑戦も進めており、従来の車販売の枠を超えたビジネスモデルを構築しています。本記事では、高橋拓巳氏に事業の特徴や創業の背景、今後の展望について伺いました。
目次
格安中古車で全国展開――独自モデルの強みとは
――現在の事業内容について教えてください。
中古車販売を中心に事業を展開しています。特徴としては、50万円以下の中古車に特化している点です。創業は新潟県で、当時はこの価格帯の中古車を扱う店舗を直営で8店舗展開しました。その結果、新潟県内の中小企業の中ではトップクラスの販売台数を記録しました。この販売ノウハウは全国でも通用すると考え、2020年にフランチャイズ展開を開始しました。北海道から沖縄まで出店し、現在は直営18店舗、FC40店舗の合計58店舗まで拡大しています。直営店舗の運営とフランチャイズ本部としての機能、両方を軸に事業を進めています。
――他社にはない強みはどのような点にありますか。
低価格帯の中古車を大量に販売するノウハウです。この価格帯は一般的には利益が出しづらいとされますが、回転率を高めることで事業として成立させています。また、全国展開によって市場の広がりを確保している点も強みです。
「生きるために始めた」――異色の創業ストーリー
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
特別な志があって起業したわけではありません。高校卒業後、就職も進学もせず、そのまま車のブローカーとして働き始めました。生活のために車を売るという感覚で、気が付いたら法人化していたという流れです。
最初は友人に車を販売するところから始まりました。免許を取ったばかりの友人たちには車のニーズがあり、そこに応える形です。仕入れは車屋から行い、販売後のメンテナンスも仲間と夜中に対応するなど、手探りの状態で事業を続けていました。
――当時の心境はいかがでしたか。
「やっていける」という自信があったわけではなく、やらなければ生活できないという状況でした。その日を生きるために動いていたという感覚です。
組織拡大で変化したマネジメント
――組織運営で大切にしていることは何でしょうか。
現在は従業員が約100名規模になり、以前とは考え方が変わりました。今はまず肯定から入り、問題解決に焦点を当てるコミュニケーションを意識しています。組織が大きくなるほど、感情ではなく論理で動く必要があると感じています。
――採用や育成で重視している点を教えてください。
「素直さ」です。スキルよりも、教えたことを吸収できる姿勢が重要だと考えています。どの職種でも最初は洗車からスタートし、車に触れることで仕事の基礎を身につけてもらいます。
金融領域への挑戦――新たなビジネスモデル
――今後の展望について教えてください。
これまで格安中古車を扱ってきた背景から、一定の経済状況にあるお客様が多いという特徴があります。コロナ禍以降、ローン審査が通りづらくなった方も増えたため、「自社ローン」という仕組みを導入しました。
現在は中古車販売に加え、リース債権を活用した金融モデルの構築に取り組んでいます。将来的には、この債権を証券化し、流動化させることで事業を拡大していきたいと考えています。
――その取り組みの背景にはどのような課題がありますか。
地方では車が生活インフラです。車がなければ通勤や買い物、子育てにも支障が出ます。しかし、従来の金融サービスでは対応できない層が一定数存在します。そうした方々に移動手段を提供することが、社会的な課題解決につながると考えています。
――現在直面している課題について教えてください。
最大の課題は資金調達です。ビジネスモデルの特性上、金融機関からの理解を得るのが難しく、運転資金の確保に苦労しています。そのため、全国の金融機関を回り、事業説明を行いながら資金調達の可能性を模索しています。今後は外部資本の導入やIPOも視野に入れています。
「感動」を軸にした経営哲学
――経営において譲れない価値観は何でしょうか。
「価格以上の価値を提供すること」です。単に安いだけではなく、「この価格でここまでやってくれるのか」と感じてもらえる体験を大切にしています。車は日常的に使うものだからこそ、細部まで丁寧に仕上げることを意識しています。
――将来的にどのような会社を目指していますか。
自社ローンの分野で日本一の会社になることです。また、全国の店舗ネットワークを連携させ、「どこでも頼れる車屋」としての存在価値を高めていきたいと考えています。販売だけでなく、整備やサポートまで一貫して提供できる体制を構築することが目標です。
海でリフレッシュする日常
――休日の過ごし方について教えてください。
沖縄でダイビングやシュノーケリングを楽しんでいます。船を所有しており、無人島に行って過ごすこともあります。フランチャイズオーナーとも交流しながら、リフレッシュしています。
長く続く経営のために
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
目先の利益だけでなく、お客様に感動を与える商品やサービスを優先することが重要だと思います。その積み重ねが、結果として長く続く事業につながります。時代によって手法は変わりますが、お客様に価値を提供するという本質は変わりません。
商売を長く続けることを目指すのであれば、その本質を大切にしてほしいと考えています。