企業の“個性”を社会とつなぐ――伴走型広報で価値を最大化する挑戦
株式会社ベートーベン 代表取締役 西出実華氏
株式会社ベートーベンは、企業の広報を戦略立案から実行まで一貫して支援するPR伴走型広報プロダクションです。行政案件で培ったノウハウを強みに、社会課題と企業価値を結びつける広報を展開しています。本記事では、代表の西出実華氏に取り組みや考え方について伺いました。
広報を一気通貫で支えるPR伴走型広報プロダクション
――現在の事業内容について教えてください。
当社は「PR伴走型広報プロダクション」として、企業の広報全般をお手伝いしています。企業ごとに状況は毎年変わるため、単発ではなく年間を通じた広報戦略の立案から関わっています。
まずはその年における広報戦略を設計し、それに基づいて具体的な実行プランをご提案します。例えば、ウェブサイトのリニューアルやイベントの実施など、その企業にとって必要な広報手段を選び、実行まで社内で伴走しながら進めていきます。戦略と実行を切り分けるのではなく、一緒に走りながら形にしていくことを大切にしています。
――他社にはない強みはどのような点でしょうか。
当社の特徴の一つは、行政の広報に長く携わってきた点にあります。内容が固くなりがちな情報を、一般の方の興味関心と結びつけながら届けてきました。
その経験があるからこそ、民間企業の広報においても、単にサービスの魅力を伝えるだけではなく、それが社会の中でどのような価値を持つのか、どんな意味を持つのかまで伝えられると考えています。企業の発信を、社会との接点の中で捉え直すことができる点は、当社ならではの強みです。
例えば、ある高級飲食店の広告運用を支援した際は、単に料理の魅力を発信するだけでなく、日本の食文化や職人の哲学を海外からの訪日客にどう届けるか、という視点で発信全体を設計し直しました。商品やサービスを、それが持つ社会的・文化的な意味と結びつけて伝える。行政広報で培ってきたこの視点は、業種を問わず活かせる強みだと感じています。
もう一つは、広報の戦略立案だけでなく、実行までを一気通貫で担える体制です。ウェブサイト、ムービー、デザイン、イベントといった広報に必要な手段をすべて社内で内製化しているため、施策ごとに分断されることなく、一貫した世界観で表現できます。伝えたい価値をぶらさずに届けるために、全体を通して関わり続ける。この姿勢も当社の大きな特徴だと考えています。
企業の個性に寄り添う広報という考え方
――理念やビジョンに込めた思いを教えてください。
企業理念を考えるにあたって、何を大切にすべきかをずっと考えてきました。その中で感じたのは、世の中には多くの会社がありますが、一社一社と向き合っていくと、それぞれ全く異なる背景や価値観、想いを持っているということです。社風や背景まで含めて、同じ会社は一つもありません。
だからこそ、その会社らしさや個性をしっかりと理解し、それを引き出す広報支援ができる存在でありたいと考え、「個性を大事にする会社」という言葉を理念の中心に据えました。
また、行動指針として掲げている「クライアントは親友」という言葉には、単なる支援者ではなく、最も身近な理解者でありたいという思いを込めています。表面的に関わるのではなく、深く寄り添いながら一緒に考え続ける。その姿勢を実現するために、戦略立案から制作、そして改善までを一気通貫で担う体制を整えています。
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
大学時代に脚本家の方と出会い、文章を書くことを学び始めたのが一つの転機でした。もともと書くことが好きで、「もっと力をつけたい」と思い、弟子入りしたのがきっかけです。
その後は舞台監督助手やイベント、事業プロデュースと、表現や場づくりに関わる仕事を経験してきました。そうした中で、「そもそも企業は何を目的にこれらを行っているのか」と考えるようになりました。
行き着いたのは、“サービスを世の中に広く伝えること”が本質だという気づきです。だからこそ、その手段を個別に担うのではなく、全体を設計したい。そう考えるようになり、広報を一貫して担う今の事業へとつながりました。
「結果が出るまでやる」伴走型広報の本質
――経営の判断の軸になっている価値観や、譲れない信条を教えてください。
お客様が困ったときに、「まずあの人に聞いてみよう」と思い出してもらえる存在でありたいと考えています。誰に相談すればいいか分からない悩みも多いですよね。そんなときに、「相談すれば何とかしてくれそう」と思ってもらえる存在でありたい。
その上で譲れないのは、「結果を出す広報」であることです。途中で終わらせるのではなく、納得のいく結果にたどり着くまで向き合い続ける。せっかく頼っていただいた以上、成果でお返しし、喜んでいただきたい。
だからこそ、納品して終わりにはしません。修正も無制限で対応し、結果が出るまで伴走し続けます。
――社内のコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。
社内でも「個性を大事にする」という考え方は変わりません。多様な専門性を持つメンバーがいるからこそ、その違いを尊重することを大切にしています。
そのため、立場はできるだけフラットにしています。誰が偉いという関係ではなく、対等に意見を出し合える状態でいたいんです。メンバーが「これをやりたい」と提案したことは、その本人がリーダーとなり、他のメンバーがサポートに回る形で進めています。実際に物販やコーヒーショップなど、それぞれの挑戦を形にしてきました。
採用に関しても同じで、無理に人数を増やすのではなく、巡り合わせを大切にしています。最初は3カ月ほど、フラットな立場でお互いに合うかどうかを見ていきます。スキルよりも「仕事を楽しみたい」という感覚が合うかを重視しています。
民間企業と海外への広がりを目指して
――今後の展望について教えてください。
これまで行政の広報を中心に取り組んできましたが、今後は民間企業との関係もさらに広げていきたいと考えています。行政広報で培ったノウハウは、当社の確かな土台として大切にしながら、今後は民間企業との関係もさらに広げていきたいと考えています。固い情報を生活者の関心と結びつける視点や、社会的価値を意識した発信設計は、業種を問わず活かせる強みだと感じています。
あわせて、海外にも力を入れていきたいと思っています。社内には英語ができるメンバーも複数おり、私自身も含めて対応できる体制がある中で、日本企業の海外進出支援をきっかけに海外案件にも対応してきました。
例えば、グローバル教育サービスを展開する企業の支援では、ランディングページの全面改修からSNS広告運用、競合分析までを一気通貫で担当しました。海外を視野に入れたブランド設計とコンバージョン最適化を両立させる取り組みは、当社の総合力を活かせる領域だと考えています。
目の前の仕事に向き合う中で自然と広がってきた流れだからこそ、それを大切にしながら、国内外問わず、より多くの企業の広報に関わっていきたいと考えています。
――現在の課題と取り組みについて教えてください。
これまで当社は営業活動をほとんど行っておらず、ご紹介や入札を中心に広げてきました。そのため、営業力は一つの課題だと感じています。これまで当社は、ご紹介や入札を中心に事業を広げてきました。目の前のお客様一社一社に丁寧に向き合うことを優先してきたからこそ、今度は自社の発信にもより力を入れていきたいと考えています。
その中で取り組んでいるのが、「自社の広報を外に任せる」ということです。広報は外の視点を取り入れることに価値があると考え、お客様にも提供してきましたが、自社では実践できていませんでした。
だからこそ今は、自分たちの見え方を外から見直すことに挑戦しています。自分たちが提供している価値を、自分たちでも体現していく――その積み重ねが、次の成長につながると捉えています。
広報は“外の視点”で変わる
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
もし広報を、ウェブサイトはA社、イベントはB社というように分けて発注されている場合は、一度まとめて見直してみるのも一つの方法だと思います。
発信の軸がそろうことでブランドの一貫性が生まれ、結果的に時間やコストの無駄も減らすことにつながります。
広報は、全体を通して設計することで価値が大きく変わる領域です。もし少しでも課題を感じていらっしゃるようであれば、一度ご相談いただけると嬉しいなと思います。