技術力と提案力を磨き、顧客の課題に応える――日成化学鍍金工業が描く次の成長
日成化学鍍金工業株式会社 代表取締役 中島 秀和氏
日成化学鍍金工業株式会社は、金属への表面処理を中心に、各種めっき加工を手がける企業です。現場社員の技能向上に力を注ぎ、半数以上が技能検定2級以上の資格を保有するなど、単に加工を請け負うだけでなく、顧客の相談に対して専門的な知識をもとに説明・提案できる体制を強みとしています。本記事では、代表の中島秀和氏に、技術力を支える人材育成や海外進出の背景、今後の展望などについて伺いました。
現場社員まで顧客の相談に応えられる体制が強み
――現在の事業内容について教えてください。
当社では、金属への表面処理を主力事業としており、硬質クロムめっきやニッケルめっき、ハンダ・鉛めっき、無電解ニッケルめっき、黒クロムめっきなどを手がけています。多品種・少量の部品にも対応し、お客様の用途や製品仕様に応じた表面処理を提供している点が特徴です。
また、亜鉛めっきや銅めっき、錫めっき、金めっき、銀めっきなど、自社設備だけでは対応できない表面処理についても、協力会社との連携によって幅広く対応可能です。案件ごとに材質や求められる性能、仕様を確認し、適切な加工方法や協力先を選定することで、お客様の多様なニーズに応えられる体制を構築しています。
――御社の強みはどのような点にありますか。
当社の強みは、社員の高い技術力と、現場でもお客様の相談に柔軟に対応できる体制です。人材育成や資格取得には特に力を入れており、現場社員の半数以上が、めっきの技能検定2級以上を取得しています。
こうした取り組みにより、難易度の高い加工にも対応できる技術を蓄積してきました。社員が尼崎市の「ものづくり達人賞」を受賞した実績もあります。
営業だけでなく、現場の社員も専門知識を持ち、お客様の相談に応じて適切な提案ができることが、当社ならではの強みです。
「なぜこの加工なのか」まで伝えることが信頼につながる
――お客様との関係で大切にしていることを教えてください。
大切にしているのは、専門的な内容をわかりやすく説明し、お客様に納得していただくことです。めっきに詳しくないお客様も多いため、加工方法だけでなく、「なぜこの加工が必要なのか」「なぜ難しいのか」という理由までていねいにお伝えしています。
例えば、特殊な素材で加工が難しい場合も、その特性を説明することで状況を理解していただけます。専門知識を持つだけでなく、お客様に伝わる形で説明する――その積み重ねが、「この会社なら相談できる」という信頼につながると考えています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
採用では、能力や経験だけでなく、人間性や協調性を重視しています。仕事は一人で完結するものではなく、周囲と連携しながら進めていく姿勢が欠かせないためです。
高い能力を持っていても、一人で仕事を進めるだけでは組織として十分な力を発揮できません。周囲と協力し、相手の立場を考えながら行動できる人と働きたいですね。お客様への説明や提案にもコミュニケーションが求められるため、技術力と同様に協調性を大切にしています。
約1年半をかけて実現したベトナム進出
――ベトナムへ進出されているそうですが、その背景をお聞かせください。
きっかけは、2013年ごろでした。当時は円高が進み、国内市場だけで事業を続けていくことに将来的な懸念がありました。中長期的な成長を考えるうえで、成長性のある海外市場にも事業基盤を築く必要があると判断したんです。
そのようななか、知人から神戸市の海外ビジネスミッションを紹介されました。案内に「めっき企業歓迎」とあったことからベトナムを視察したところ、日本企業の進出が増える一方、現地ではめっき会社が不足し、依頼を断るケースもあることを知りました。そこで、当社の技術を活かせる市場として可能性を感じたことが、進出につながりました。
――進出にあたって苦労したことはありますか。
めっきは排水や廃棄物が関係するため、環境基準への対応が大きな課題でした。現地の行政からも基準をどのようにクリアするのかといった説明を何度も求められ、ベトナムの環境コンサルティング会社と契約しながら申請を進めました。
最終的にライセンスが下りるまでには、約1年半かかっています。それでも取り組みを続けられたのは、10年後、20年後を考えたときに成長している国へ投資していく必要があるという想いがあったからです。
若手への技能継承を進め、対応できる領域を広げる
――今後、どのような会社にしていきたいと考えていますか。
技術力をさらに高めながら対応できる領域を広げ、安定して仕事を受注できる会社にしていきたいです。同時に、社員が働きがいを持って力を発揮できる職場づくりも大切にしています。
そのために力を入れたいのが、若手への技能継承です。現在、技能検定の資格保有者は中堅以上が中心ですが、今後は若手にも資格取得を促し、会社全体の技術力を底上げしていきます。
また、めっきだけでなく、設備の修繕など周辺業務に必要な技能も社内で身につけていく方針です。外部へ依頼すると時間がかかる作業の一部を内製化できれば、設備トラブルにも迅速に対応できます。
これまで培ってきためっき技術を次世代へ継承しながら、社内で対応できる領域を着実に広げ、お客様のさまざまな相談により早く応えられる会社を目指していきたいです。