最先端の環境素材と再生電池で、世界へ挑む脱炭素、環境エネルギー分野のものづくり
GSアライアンス株式会社 代表取締役 森 良平 氏
GSアライアンス株式会社は、環境に配慮した素材やエネルギー分野の研究開発に取り組む会社です。植物や天然由来の素材を活用したプラスチック、樹脂、コーティング材料、塗料、3Dプリンター製品、ネイルコスメ、袋など、石油由来製品に代わる商材の開発を進める一方、再生資源を活用した電池材料の開発にも力を入れています。森氏は、代表でありながら研究者としても自ら開発に関わり、国内だけでなく海外展開にも積極的に取り組んでいます。環境分野の研究はすぐに収益化しにくい面もありますが、10年以上にわたり継続してきた取り組みが、今まさに少しずつ形になろうとしています。
目次
石油に頼らない素材と、再生資源を生かす電池開発
――現在取り組まれている事業の特徴を教えてください。
柱になっている事業がいくつかあります。その中でも特に力を入れているのが、植物や天然素材を使ったプラスチック、樹脂、コーティング材料、塗料、3Dプリンター製品、ネイルコスメ、袋などの開発です。石油由来の製品を、植物や天然由来のものに置き換えていくような取り組みを進めています。
もう一つの大きな柱が電池です。スマートフォンやEVなどにも関係する分野ですが、電池の廃棄物や再生資源を使って、もう一度電池材料をつくるようなリサイクル型リチウムイオン電池の開発をしています。
レアメタルなどを含む電池廃棄物から、再び同じような材料をつくることに取り組んでいて、日本だけでなく、スイスを中心としたヨーロッパでの展開も進めており、現在、インド、アジア、北中南米とも交渉を進めています。
うまくいけば、世界初の再生型リチウムイオン電池となり、世界中の電池を安くできる取り組みになる可能性もあると考えています。
——他社にはない強みを教えてください。
環境素材の分野では、国連の助成金などの支援を受けて、ウクライナの植物資源を使ったプラスチックや塗料の開発にも取り組み始めています。また、日本政府からも助成金の支援を頂き、メキシコの資源を活用しながら、同じように植物由来や環境対応型の事業を広げていこうとしています。
小さい会社ではありますが、他にも量子ドット、金属有機構造体(MOF)、深共晶溶媒、イオン液体、カーボンナノチューブ、固体酸触媒、次世代型太陽電池、燃料電池、人工光合成などマニアックな最先端の技術を研究開発するよう心がけています。
最近は、これらの先端素材を応用したネイルコスメや化粧品などもビジネス化し、国内外に展開し始めています。
研究者として、経営者として、最先端を追い続ける
――森さんが経営の道に進まれたきっかけは何でしたか。
もともと私は、若いころは熱心に勉強してきたタイプではなく、自分の好きなこと、興味のあることに携わっていました。しかしながら、40歳を超えたころから、研究というのは面白いかもしれないと気付き、研究開発に注力するようになってきました。
会社を大きくしていくうえでも、他と差別化するには、最先端の研究開発に取り組むことが近道なのではないかと感じるようになったんです。環境や脱炭素の分野は、将来的に必要になる時代が来るのではないかという感覚もありました。
そこで、環境分野や最先端技術の研究開発に集中できる体制にしました。10年以上続けてきましたが、最初から簡単に理解されたわけではありません。収益化しにくい部分もあり、社内でも「お金がかかるからやめてほしい」という空気がありました。
ただ、中東情勢などをきっかけに、石油に頼り続けることへの見方も変わってきたように感じています。ようやく少しずつ、世の中の雰囲気が変わってきたのではないかと思います。
――経営判断の軸として大切にしている価値観はありますか。
無駄をなくすこと、スピード感を持つことを大事にしています。目的はもちろん事業として成り立たせることですが、中小企業だからこそ、上だけではなく現場も含めて気持ちを上げながら攻めていくことが必要だと考えています。
一方で、環境分野の研究開発は、すぐに売上につながりにくいところもあります。そこは10年以上、苦しい思いもしてきました。それでも、やるからには負けないように、どんどん大きくしていきたいという想いがあります。日本市場は閉塞感が強いので、特に海外にも事業展開を進めています。
若い人の意欲を生かし、気持ちよく働ける環境へ
――社内のコミュニケーションで大切にしていることを教えてください。
50歳を超えてから、ようやく自分の意識も変わってきたように思います。以前は研究に集中する癖がありましたが、最近は少しずつ周りに任せたり、社員と会話したりすることを意識するようになりました。
会社にはいろいろな考え方の社員がいます。特に最近入ってきてくれる若い人たちは、しっかりしている人が多いと感じています。
環境や脱炭素、新しい事業に対しても「やってみたい」「学んでいきたい」という気持ちを持っている人が多いです。そういう若い人たちは大事にしたいと思っています。
――一緒に働きたいと感じる人には、どのような特徴がありますか。
新しいことに対して柔軟に取り組める人です。環境や脱炭素のような新事業は、これまでと違うことをやらなければならない場面も多いです。面倒に感じることもあると思いますが、それでも固まらずに、新しいことを学びながらやっていける人がいいですね。
特に上の立場になる人には、柔軟さを持っていてほしいと思います。「自分はこれしかやらない」という姿勢ではなく、今の時代に合わせて動いていけることが大事です。
海外展開と特許を武器に、小さな会社から世界へ
――今後取り組んでいきたい挑戦や展開について教えてください。
今後は、海外展開にさらに力を入れていきたいです。先ほど話したウクライナ、メキシコでの植物資源を使った事業も、今後大きくしていきたい取り組みの一つです。
もちろんスイスの再生型リチウムイオン電池の事業もです。国連支援のネットワークも生かして、場合によっては投資家から投資を受け入れながら加速させ、海外で展開していくことも考えています。
また、以前からの事業と新事業をうまく分けながら、スピード感を持って進めていきたいです。最先端の研究開発を追求し、特許も多く取得しています。小さい会社が勝っていくためには、そうした技術や知的財産を武器にすることが重要だと考えています。
――経営の中で、これだけは譲れないという想いはありますか。
今の時代、企業は柔軟に動いていかなければならないと思っています。一つのポジションや一つのやり方に固まるのではなく、状況に応じて変わっていくことが必要です。
新しい事業に挑戦する時にリスクばかり指摘して、やらないだけでなく、そのリスクを減らしながら、どのように新事業を進めていくのかを話し合うことが重要です。リスクの指摘、文句を言うのは一番簡単です。もっともらしいことを言うのは誰でもできます。
今は会社の売り上げは伸びている傾向ですが、売上が下がっている時代でも、できるだけ人員削減のような形にはしたくありません。
社員が気持ちよく、安心して働ける会社でありたいという想いがあります。
健康を意識しながら、次の挑戦へ向かう
――お休みの日やリフレッシュの仕方を教えてください。
最近は、運動を意識するようになりました。スポーツクラブのようなところに行って、体を動かしています。以前はお酒を飲むことも多かったのですが、健康のことも考えるようになりました。やはり健康は大事です。
仕事では、環境素材や電池、色材、海外展開など、やることがたくさんあります。
小さい会社ではありますが、世界的に大きくしていきたいという想いを持って進めています。これからも、最先端の研究開発を追いながら、海外にも展開し、事業を広げていきたいです。