何者でもなかった自分を変えた“営業”──ACT-Rが描く、人生を好転させる組織づくり
株式会社ACT-R 代表取締役 河野 泰佑 氏
営業を通じて人生を変える──そんな想いを軸に事業を展開する株式会社ACT-R。BPOを中心とした営業支援・セールスプロモーション事業と人材育成を掛け合わせながら 、全国に組織を広げています。本記事では、事業の特徴や創業の背景、組織づくりの考え方、そして今後の展望について河野泰佑氏に伺いました。
目次
営業を軸に価値を生み出す──ACT-Rの事業と現在地
――現在の事業内容について教えてください。
当社は営業支援を中心としたBPO事業を軸にしています。全国から営業人材を集めて、案件を持っている企業様にアサインしていく形です。いわゆる営業会社と人材の機能を掛け合わせたようなモデルで動かしています。
主に扱っているのはWi-Fiや光回線などの固定費削減系の商材です。テレアポや訪問、商業施設でのイベント販売など、複数の手法を組み合わせながら営業活動を行っています。現在は全国で約80名ほどの体制となっており、エリアごとに連携しながら組織を広げている段階です。
営業が難しい人に対しては、コールセンターやバックオフィス業務などの案件を用意し、それぞれの適性に応じた役割を担ってもらっています。無理に営業にこだわるのではなく、その人が活躍できる場所を見つけることも重視しています。ただ、会社としては営業組織をさらに強化していきたいという方向性は変わりません。
また、未経験からでも営業ができるようにするための研修制度や教育プログラムも整えています。年収が伸び悩んでいる方や、自信が持てない状態からスタートした方でも、オフラインで営業できるレベルまで引き上げる仕組みです。単にスキルを教えるだけでなく、マインド面から変えていくことを大切にしており、継続的に成長できる環境づくりにも力を入れています。
人生を変えた経験が原点──創業の背景と想い
――起業に至った経緯について教えてください。
僕自身、営業によって人生が変わった人間です。もともとは芸能の世界にいたのですが、時間とお金の問題で夢を諦めた経験があります。そのときの挫折は今でも強く残っています。
その後、不動産営業を始めて収入は上がりました。ただ、過去に夢を諦めた経験への劣等感は消えず、どこか満たされない感覚を抱えたまま働いていました。そんな中で転機になったのが、恋愛リアリティ番組への出演です。共演者の多くが経営者で、撮影の合間に話を聞く中で、初めて経営という世界に触れました。
そこで「今しかない」と感じました。もともと弟と何か一緒にやりたいという想いがあったので、すぐに連絡して帰国後すぐに起業しました。立ち上げは本当にスピード感のあるものでした。迷っている時間はなかったですし、動くなら今しかないと腹を決めていました。
さらに言うと、過去にはホームレスの経験もあります。芸能を辞めた後、借金や家庭環境の問題も重なり、路上生活をしていた時期がありました。お金がない状態を経験し、その後収入を得たことで、逆に時間や人間関係、健康を失うという現実にも直面しました。
そうした背景があるからこそ、「お金だけではない豊かさ」を大切にしたいと考えています。そして、かつての自分のように夢を諦めてしまう人を減らしたい。その想いが事業の原点になっています。
本音と向き合う組織づくり──メンバーとの関係性
――組織運営で大切にしていることを教えてください。
僕が意識しているのは、ネガティブな情報をしっかり共有できる環境をつくることです。良い報告だけではなく、悪い話もきちんと上がってくる組織でないと、信頼は生まれません。
全員を見ることは難しいので、組織は階層的に分けています。僕は幹部メンバーを中心に見て、そのメンバーがさらに下のメンバーを見る形です。その中で、月に一度はネガティブな意見を出すミーティングを設けています。僕や弟に対する意見も含めて、本音を出しやすい空気をつくることを意識しています。
また、レスポンスの速さや丁寧さといった「当たり前のこと」を徹底する文化も重視しています。特別な強みをつくるのが難しいビジネスモデルだからこそ、量とスピード、そして細やかさで差をつけていくしかないと考えています。例えば、連絡の返信を遅らせない、相手の立場で物事を考えるといった基本を、組織全体で徹底しています。
評価制度には人間性の要素も組み込んでいます。営業スキルだけでなく、周囲との関係性や日々の姿勢も評価の対象です。結果だけを見るのではなく、どのように向き合い、積み重ねているかを重視しています。そうしたプロセスに目を向けることが、組織全体の成長につながると考えています。小さな違和感や変化にも気づけるよう意識しながら、仕組みそのものを見直していく姿勢も欠かせません。
ワクワクを原動力に拡大へ──今後の展望
――今後の展望について教えてください。
売上などの数値目標ももちろんありますが、それ以上に「ワクワクできる目標」を大切にしています。例えば、営業メンバーを全国で100名規模にすることや、より良いオフィスに移転することなど、具体的なイメージを共有しています。数字だけではなく、その先にある景色をみんなで想像できる状態をつくることを意識しています。
その実現に向けて、採用数や面談数などのKPIも細かく設定しています。現在は僕や弟も前に立って採用活動に関わっている段階です。毎月どれくらいの採用が必要か、そのためにどれだけの母集団を集めるべきかまで逆算して動いています。現場感を持ったまま拡大していくことを大事にしています。
将来的には、僕たちがいなくても組織が回る状態を目指しています。組織としての再現性を高め、誰が入っても一定の成果を出せる仕組みを整えていきたいです。採用から育成、現場での活躍まで一貫して再現できる状態をつくることで、より強い組織にしていきます。
営業未経験でも成長できる環境をさらに広げていくことで、多くの人の人生に変化を与えられる組織にしていきます。かつての自分のように可能性を閉ざしてしまう人を減らし、「ここに入れば変われる」と思ってもらえる場所にしていきたいと考えています。
真の豊かさを追求する──大切にしている価値観
――大切にしている価値観を教えてください。
会社として掲げているのは「真の豊かさ」と「愛される人間性」です。豊かさはお金や時間だけでなく、健康や人間関係、メンタルも含めて考えています。どれか一つだけが満たされていても、長く続く幸せにはつながらないと考えています。
営業で成果を出せる人は多いですが、それだけでは長く続かないと感じています。人として愛されることも同じくらい重要です。そのため、研修や日々のコミュニケーションでも人間性の部分を伝え続けています。結果だけで評価するのではなく、周囲への関わり方や姿勢も含めて見ていくようにしています。
過去の経験から、お金だけを追うと失うものがあることを知りました。だからこそ、バランスの取れた豊かさを実現できる組織にしたいと思っています。メンバー一人ひとりが無理なく続けられる状態をつくることも大切にしています。
営業スキルを教えるだけではなく、その先の人生まで変えていける存在でありたい。そのための環境づくりに、これからも向き合い続けていきます。ここでの経験が、その人の将来にとって意味のあるものになるよう、丁寧に積み上げていきたいと考えています。