現場で積み重ねる――「修行」と「ご縁」で紡ぐ造園のかたち

現場で積み重ねる――「修行」と「ご縁」で紡ぐ造園のかたち

四季万葉 代表 佐々木 伸次氏

大阪を拠点に造園業を営む四季万葉。庭木の手入れから外構まで幅広く対応しながら、現場ごとに最適な形を追求しています。代表の佐々木伸次氏は、花業界での経験を経て造園の道へ進み、すべては「修行中」という姿勢で現場に向き合っています。他社と比較せず、自分の道を突き進む。その根底にあるのは、日本文化への想いと「ご縁」を大切にする考え方です。本記事では、その歩みや仕事観について伺いました。

自然と向き合い続ける造園という仕事

――現在の事業内容について教えてください。

庭に関することであれば、何でも対応しています。庭木の手入れに限らず、お客様のお困りごとに幅広く対応しています。

実際に現場へ伺って手入れをすると、目に見える部分だけでなく、今後起こり得る問題も見えてきます。例えば、木の上の状態は気にされる方が多いですが、根のことまでは意識が向きにくいものです。しかし、根が成長することで石垣の隙間に入り込んだり、構造に影響を与えたりすることもあります。

また、雑草の問題やフェンスの劣化など、庭に関する悩みは一つではありません。庭がきれいになるほど、これまで気にならなかった部分が目につくこともあります。

そうした流れの中で、庭木の手入れから外構の相談へと広がったり、逆に外構から庭全体の管理へと発展したりと、対応が広がることも多いです。お客様の状況に合わせて、その場その場で最適な対応をしていくことを大切にしています。

――他社との違いや、大切にしているこだわりはありますか。

すべてまだ「修行中」だと思っています。完成ということはなく、常に学び続けるものだと考えています。今の自分が一番未熟であり、これから先も成長し続けていきたいと思っています。

他社と比較することはあまりありません。他がどうしているかに興味がないというより、自分の道を突き進むことがすべてだと考えています。その中で結果として違いが生まれるのだと思います。

以前、松の剪定講師として黄綬褒章を授与された方から「今のやっている道のまま進めばいい」と背中を押していただいたことがあり、自分の進んでいる道に迷いがなくなりました。

あえて言うなら資格を持っていないことが特徴かもしれません。ただ、それも含めて自分のあり方です。大切なのは肩書きではなく、現場でどう向き合うかだと考えています。

その時々の現場に対して、自分が持っているすべてで向き合い続けること。それ自体が自分の強みだと思っています。

花との出会いが導いた現在の仕事

――この仕事に至るまでの経緯や、これまでの転機について教えてください。

花業界には約10年携わってきました。最初は冠婚葬祭の生花部で経験を積み、花祭壇の装飾を通して、花のバランスや美しさ、活かし方を学びました。どの花をどう配置すれば最も輝くのかを考える中で、自然と花の世界に引き込まれていきました。

葬儀は人生最後の場でもあります。豪華であるかどうかではなく、限られた花の中でも美しく表現することができる。その奥深さに魅力を感じました。シンプルであっても最大限に活かすという考え方は、現在の仕事にも通じています。

その後、花市場ではセリ人も経験し、現場の最前線で花に向き合ってきました。朝2時から現場に入り、準備や配達、営業を繰り返す日々の中でも、生産者のもとへ足を運び、直接話を聞くことを大切にしていました。顔を見て話すことでしか得られない学びがあると感じていたからです。

そうした経験の中で、ダリアとの出会いは大きな転機となりました。生産者の方の想いや、日本におけるダリアの歴史に触れる中で、その奥深さに強く惹かれていきました。自らハウスを建て、電光栽培にも取り組みましたが、台風災害によって失う経験もしました。

その後、ご縁があった社長から声をかけていただき、大阪城の緑地管理に携わることになったのが造園業の始まりです。これまで花と向き合ってきた経験が、現在の造園の仕事にもつながっていると感じています。

日本文化とご縁を大切にする考え方

――仕事をする上で大切にしている考え方を教えてください。

日本の文化を大切にすることです。花を供えることや先祖に感謝することなど、もともと当たり前だった習慣が、今は少しずつ薄れてきていると感じています。便利な時代になり、目の前のことだけで満たされてしまうことで、本来大切にすべきものが見えにくくなっているのではないでしょうか。

例えば生け花の世界には、それぞれの枝や花に役割があります。一つでも欠けてしまうと成り立たない。その考え方は非常に美しく、日本人が長く大切にしてきた価値観だと思います。

ただ、そうした文化に触れる機会は年々減ってきています。だからこそ、自分の仕事を通じて、そういった大切なことをもう一度思い出してもらうきっかけをつくっていきたいと考えています。

――人との関わりについてどのように考えていますか。

すべては「ご縁」だと考えています。人との出会いは不思議なもので、つながるべき人とは自然とつながっていくものだと感じています。

僕はご縁に恵まれていると思っていますし、人一倍そのつながりを大切にしてきました。出会いの中でひらめくことも多く、その人と関わることで新しい道が見えてくることもあります。

そういったご縁の中で、自分にできることがあれば目いっぱい関わっていきたいと思っています。

一人で担う現場と、次世代への想い

――組織体制や人材について教えてください。

現在は一人で仕事をしています。従業員はいませんが、子どもが手伝いに来てくれることがあります。

子どもには、考え方や体の使い方など、伝えたいことがたくさんあります。言葉だけでは伝わらない部分も多いので、実際にどんどん経験させながら、違うところを指摘するようにしています。

人は何かを考えて行動しますが、その「考え方」自体を見ていくことが大事だと思っています。なぜそうしたのか、その理由を理解した上で、違う視点を伝える。そうすることで、同じことの繰り返しではなく、自分で考えて動けるようになるのではないかと考えています。

ただ作業を覚えるのではなく、どう考えて動くか。その部分を伝えていきたいと思っています。

ご縁の中で広がるこれからの仕事

――今後取り組んでいきたいことを教えてください。

やりたいことは数えきれないほどあります。ただ、一人でできることには限りがありますし、焦っても意味がありません。タイミングが来れば自然と必要な人と出会い、形になっていくと考えています。その流れを大切にしながら進めていきたいです。

日々の中で得る学びとリフレッシュ

――リフレッシュ方法について教えてください。

特別なものはないんですけど、現場でいろんな場所に行くので、仕事をスピーディに終わらせて、その地域を歩いたり、歴史を知ったりすることがリフレッシュになっています。

たまたま温泉を見つけたら入ることもありますね。体を使っているので、入ったときに「あ、楽になったな」と実感できるんです。そういう時間を挟むことで、仕事のモードから一度フラットに戻せて、次の仕事へのエネルギーになります。

時間は限られているので、無駄にゆっくりするというよりは、その中でどう動くかを大事にしています。

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