歯科技工とカイロプラクティックを掛け合わせ、子どもたちの健やかな未来を支える

株式会社アテップ 代表取締役 安藤 大悟 氏

子ども向けの矯正歯科技工物の製作と、カイロプラクティック施術を一つの場所で提供するアテップ整体。歯並びだけでなく、姿勢、口腔内のトレーニング、鼻呼吸まで含めて健康を捉え、根本的な土台づくりを支えています。役者として身体と内面に向き合った経験、施術との出会い、そして、歯科技工士としての技術を重ねた安藤氏が目指すことについて伺いました。

歯科技工と施術をつなぎ、健康の土台を整える

——現在の事業内容について教えてください。

主な事業は、子ども専用の矯正歯科技工物を作ることと、カイロプラクティックの施術です。施術を行う場所の隣に歯科技工の作業場があり、施術を受ける方からも仕事の様子が見える空間にしています。

歯科技工士は一般の方から見えにくい仕事ですが、近くに小学校もあるため、子どもたちにも技術や仕事を知ってもらえる場所にしたいと考えました。子どもの歯並びを整えるには、大人の歯が生える前に土台をつくることが大切です。

顎の成長や口腔内のトレーニングだけでなく、姿勢も重要です。私は矯正装置を作ることができ、カイロプラクティックによって姿勢や身体の状態も確認できます。

さらに、口腔内のトレーニングや鼻呼吸の大切さも伝えられます。これらを組み合わせ、根本的な健康を支えたいと考えています。

——カイロプラクティックでは、どのような施術を行うのでしょうか。

症状が出ている場所だけを見るのではなく、その原因を検査しながら探していきます。例えば腰が痛い場合でも、原因が首や足首にあるかもしれません。その方にとって何が原因なのかを見極め、必要な箇所を適切な方向へ矯正し、症状の改善へ導いていく施術です。

身体はすべての土台です。歯や噛み合わせも、姿勢も、筋肉も、生活していくうえで欠かせません。人生100年時代と言われる中で、年齢を重ねても自分で生活し、楽しく過ごせる身体を保ってほしいと思っています。

そのため、理念として掲げているのが「健康で楽しい暮らしをサポートしたい」という思いです。

——「アテップ」という名称には、どのような意味がありますか。

「あなたと次のステップに行きたい」という思いから作った言葉です。歯科技工物を作ること、身体の原因を探して施術すること、姿勢や鼻呼吸について伝えることを通じて、一人ひとりがより健康な状態へ進むお手伝いをしたいと考えています。

子どもが少なくなっている今だからこそ、一人でも多くの子どもが健康で楽しく成長していくことが、日本のためにもなると思っています。

役者として身体に向き合い、施術の道へ

——現在の仕事に至るまでの経緯を教えてください。

最初に目指したのは役者でした。高校卒業後に東京へ出て、新国立劇場の演劇研修所に第4期生として入り、本格的に演劇を学びました。脚本に書かれた人物の背景や生活を考察し、内面を作ってから外側の形を作るという役作りを学びました。

伝え方や声の出し方、自分の言葉を相手に届ける方法など、演劇を通して得たものは多かったです。

一方で、役に深く入るほど、本来の自分と役の境界が分からなくなる感覚もありました。身体も疲れていた時期に施術を受け、身体が楽になったことは、人生にとって大きな転機です。

実は、演劇の前に野球を9年間続けていたことで、役作りのためのバレエや日本舞踊、三味線にも取り組んでいたのですが、身体に力が入り、柔軟な身体が使えず、硬くなっていた事で思った動きや芝居できなかったことに気がついたのです。施術によって身体が脱力し、動きやすくなったことで、身体の重要性を強く実感しました。

——カイロプラクティックの世界へ進む決め手は何だったのでしょうか。

施術を受けた経験から、自分も人の身体に関わる仕事をしてみたいと思い、カイロプラクティックについて調べ始めました。その過程で、以前施術を受けた施術家の師匠にあたる日本人がアメリカにいると知り、21歳ごろに初めて海外へ行きました。

行き先はカリフォルニアで、日程は2泊4日です。詳しい所在地も分からない中、電子辞書を持って現地で尋ねながら探し、アポイントもない状態で会いに行きました。

実際に会って話を聞けたことで、この世界でやっていきたいという気持ちが固まりました。何の約束もない中で出会えたことに運命のようなものを感じ、帰国後に役者を休止し、カイロプラクティックの道へ進みました。

——仕事をするうえで、大切にしていることは何ですか。

人との出会いやご縁です。AIが発展しているのは、人間がより楽しむためだと思っています。だからこそ、人と人とが直接会えることの価値は、これからさらに大きくなると考えています。

アテップ整体は、施術を通して人と会える場所です。また、普段は表に出る機会の少ない歯科技工士と直接会える場所でもあります。

私自身も多くの人に助けてもらい、助言をいただきながら歩んできました。アメリカでの出会いも含め、ご縁は自分の人生で最も重要なものの一つです。

一人で築く現在地から、全国へ広がる仕組みへ

——現在の運営体制について教えてください。

現在は私一人で運営しています。歯科技工の仕事では営業の電話をかけ、事業内容を伝えています。カイロプラクティックでも新規のお客様に知っていただくため、チラシを作り、交流会に参加しています。

Webではnote、Threads、Instagramを使っていますが、すべてを一人で進めているため、更新まで十分に手が回らないこともあります。現在はAIも活用しながら、情報発信や業務を進めています。

歯科技工とカイロプラクティックは別々のものではなく、互いに生かせる関係です。歯科医院には、口腔機能の発達を支援するためのトレーニング方法を伝えることもできます。

矯正装置の製作だけでなく、姿勢や口腔内のトレーニングまで伝えられることが、自分にしかできない掛け合わせだと考えています。

——今後、どのようなことに挑戦していきたいですか。

まずは従業員を増やし、歯科技工の仕事を担える人を増やしたいです。歯科技工士は全国的に減っており、資格を持っていても現在は仕事をしていない方もいます。

私が行っているような、ワイヤーを曲げてレジンを盛り、矯正装置を作る技術を身につける人も増やしていきたいです。

歯科技工士は長時間座り、力をかけながら同じ姿勢で作業を続けるため、身体への負担が大きい仕事です。歯科技工と施術を同じ場所で提供できれば、歯科技工士が身体を整えられます。さらに、歯科技工士が施術を学べば、施術者を増やすことにもつながります。

将来は、東京、大阪、福岡などの主要都市を含め、アテップの形を全国に少しずつ増やしていきたいです。そのためにも、まずは自分自身が静岡で知られる存在になり、歯科技工士、カイロプラクティック、姿勢、鼻呼吸の重要性を発信していきます。

役者として学んだ「伝える力」も生かしながら、会える歯科技工士、会えるカイロプラクターとして認知を広げていきたいと考えています。

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