フリーランスの力を束ね、可能性を最大化する――「フリーランスプロダクション」が描く新しい働き方
株式会社LiKG 代表取締役社長 近藤 光生 氏
2022年7月に創業し、現在4期目を迎える同社は、Webマーケティングの総合支援を手がけています。SEOや広告、CRM、Web制作などを個別に提供するのではなく、顧客の課題に応じて必要な専門家を選び、戦略策定から施策の実行までを一貫して支援する点が特徴です。正社員を置かず、近藤氏が一人で経営しながら、多数のフリーランスと連携する独自の組織を構築しています。創業以来、2期目は前期比約3倍、3期目は約2倍と成長を続ける同社。その背景にある事業への考え方や、近藤氏が目指す未来について伺いました。
目次
課題に合わせ、最適な専門家を組み合わせる
――現在の事業内容について教えてください。
Webマーケティングの総合支援を行っています。マーケティングの土台設計から認知拡大、リード獲得、顧客化まで、入口から出口までを広く支援しているのが特徴です。
SEO対策、広告運用、CRM、記事制作、Web制作、LP制作、バナー制作など、必要な施策は顧客ごとに異なります。そのため、特定の手法を前提に提案するのではなく、まず課題を把握し、その解決に適した施策を考えることを大切にしています。
――事業を支える組織には、どのような特徴がありますか。
独自に連携しているWeb系、IT系のフリーランスの中から、顧客の課題に合う人材を選び、案件ごとにチームを編成しています。直接連絡できるフリーランスは約3000人おり、そのうち実際に面談した方は累計で500人を超えています。
連携する人材には段階を設けており、継続的な取引実績がある優秀な方を「共創パートナー」と位置づけ、その中でもさらに選抜した全体の約0.5%の人材を「共創マイスター」と呼んでいます。
マイスターは提案段階からプロジェクトマネジメントまで重要な役割を担い、その下に必要な経験やスキルを持つパートナーを配置します。提案した人と実際の担当者が入れ替わることがなく、経験豊富な人材が継続してプロジェクトに関わる体制です。
起業への思いを胸に、力を蓄えた5年間
――経営者を目指したきっかけを教えてください。
20歳頃から起業したいと考えていました。学生のうちに起業することや、大学卒業後すぐに独立することも考えましたが、当時の自分には実力が足りないと感じていたのが本音です。そこで、力をつけるために都内のベンチャー企業へ入社し、5年間勤務しました。
大学時代から営業を経験。入社1年目も営業に携わりました。その後はWeb業界で経験を積み、SEO領域を中心に事業責任者を務めたこともあります。
社内異動によって、それまで担っていた責任を引き継ぎ、自分の身が一度軽くなった時期がありました。そのタイミングで「今しかない」と考え、独立を決断しました。
――経営で譲れないことは何ですか。
社会にとって価値のあることをすることです。もちろん利益を出すことは重要です。利益がなければ新しいことに取り組めませんし、人を雇うこともできません。ただし、価値を提供し、その対価として報酬をいただくという関係を外してはいけないと考えています。
相手に喜んでもらい、その結果として自分たちも報酬を得る。双方にとって良い関係をつくれることが、ビジネスの魅力です。Web業界には、やり方によってはグレーな領域で利益を得られる場面もあると思いますが、そのような方法は選びません。
一人で抱えず、専門性を持つ人がチームで支える
――正社員を置かず、多数のフリーランスと連携する体制を選んだ理由は何ですか。
Web業界では、高いスキルを持つ人ほど独立する傾向があります。そうした方々と組んで仕事をするほうが合理的だと考えています。現在、経営者は私一人で、広報や営業を含めて外部の方に協力してもらい、業務委託を中心に組織を運営しています。
フリーランスは、能力や経験に幅があります。そのため、プロフィールを一件ずつ確認し、AIも活用しながら、話してみたい方とは面談を行います。その後、まず仕事を依頼し、取引を重ねながら実力や相性を見極めています。
責任の重い仕事を担う人と、実務を担う人の役割を分けることで、チームとして機能する体制を整えています。
――フリーランスと働くうえで重視していることは何ですか。
単に案件と人材を結びつけるだけでは不十分だと考えています。顧客の課題を理解すると同時に、フリーランス一人ひとりの得意分野や経験を把握し、適切に組み合わせることが必要です。
戦略提案は得意でも制作ができない人もいれば、文章やデザイン、開発の技術は高くても、上流の提案を不得意とする人もいます。
それぞれが単独で抱える弱点は、チームを組めば補えます。個人の専門性を生かしながら、組織として成果に責任を持つことが、私たちの運営の基本です。
「フリーランスプロダクション」という働く基盤へ
――今後、どのような事業をつくっていきたいですか。
目指しているのは、芸能プロダクションのフリーランス版ともいえる「フリーランスプロダクション」です。フリーランスがより高いパフォーマンスを発揮できる、働くためのインフラをつくりたいと考えています。
私自身、独立後の約半年間はフリーランスとして働きました。その中で、孤独やリソースの限界、情報収集、営業、事務作業もすべて自身で行う必要があるなど、さまざまな課題を感じました。能力があっても、一人ではできることに限界があります。
そこで、コミュニティ、専門家への相談、情報収集、学びの機会、チーム編成、アシスタント業務といった機能を統合し、フリーランスが安心して能力を発揮できる基盤をつくりたいと考えるようになりました。
――会社を将来、どのような存在にしたいですか。
会社のビジョンとして掲げているのは、「本源的に備わる人間の可能性を最大限引き出す会社になる」ことです。まずは、Web系のフリーランスにとって働きやすい環境をつくり、「この会社があったからフリーランスとして働きやすくなった」と言ってもらえる存在を目指します。
さらに将来的には海外展開にも挑戦したいです。また、長くサッカーを続けてきた経験から、Jリーグのクラブ経営にもいつか携わってみたいという想いがあります。
そうした挑戦ができる規模を考えると、売上高1000億円が一つの目安になると捉えています。あくまで長期的な夢の話になりますが、そこに向けて現実的な足元では、3年後に現在の10倍程度の売上規模を目指し、今やるべきことを着実に積み重ねていきます。
日々の食事を大切にし、仕事への集中力を整える
――仕事を離れた時間は、どのようにリフレッシュしていますか。
趣味はポーカー、ゴルフ、食事、サッカー観戦です。特に食事については、最近になって自分の趣味だと気づきました。
高価なものを食べるという意味ではなく、誰と食べるか、何を食べるかを大切にし、一回一回の食事に満足できる時間を持ちたいと考えています。1日3回ある食事の時間が、気分転換にもなっています。
ゴルフに関しては、仕事とのバランスを考え、年間3~4回程度に抑えています。仕事関係の方と回ることもあれば、プライベートの友人と回ることもあります。将来、事業や組織がさらに成長したときには、今よりも楽しむ機会を増やせたらいいですね。